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創業期の経営者に伝えたい、インキュベーション施設の活用方法

掲載日:2020年4月24日創業関連情報

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創業予定者および創業間もない経営者にとって、創業時の固定費、特に事務所の賃料はできる限り抑えたいことでしょう。創業時の固定費を抑えるための選択肢の1つとして「インキュベーション施設」の利用があげられます。

またインキュベーション施設では、他の創業者との交流や伴走支援をしてくれる「インキュベーションマネージャー」など、創業時の成長に必要な様々な支援が得られ、創業者にとって様々な魅力があるようです。本稿では、創業者の味方となりうるインキュベーション施設の活用方法について紹介します。

インキュベーション施設とは

「インキュベーション施設」とは、これから創業しようとする人、または創業後一定期間内の創業者の入居施設を提供し、支援するものです。周辺の賃料相場より低廉な場合が多く、例えば、賃料相場の半額や、月額2万円から利用できる施設などもあり、創業時の固定費を低く抑えることができるようです。
「インキュベーション施設」には運営主体別に異なる特徴があります。

  1. (1)公的機関
    公的機関が提供するインキュベーション施設は、事務所だけでなく、新製品・新技術の研究開発に特化した施設がある場合も多いことが特徴です。研究開発には大規模な設備が必要となりますが、場所によっては工業用機器も接続できる電気設備など、民間事業者では配備しにくい設備が整っています。大学・研究機関・他企業との共同研究を支援するため、大学構内、または近隣に立地している施設もあるようです。
  2. (2)民間事業者
    近年は、民間事業者が運営するインキュベーション施設も増えており、運営事業者の強みを生かした施設が多いといえます。例えば、大手不動産会社が出資する会社が運営している施設の場合は、主要駅から近いなどアクセスの良いことが多いようです。

豊富な支援をフルに活用

次に「インキュベーション施設」を活用する大きなメリットである、創業者への支援体制について事例をもとに解説します。語学サービス事業を展開するA社は、創業期に公的機関の「インキュベーション施設」に入居し、各種支援をフルに活用していました。卒業後は東証マザーズに上場を果たすなど、成長を遂げている企業です。

  1. (1)入居の動機
    A社が「インキュベーション施設」の利用を検討した理由は、a)賃料が割安で、創業期の固定費を低く抑えることができること、b)「インキュベーションマネージャー」(以下「IM」という。)に相談をすることができること、c)同施設に入居する、創業間もない企業と親睦を深めることができること、という3つの点からでした。
  2. (2)IMによる伴走支援
    この施設には、入居者の課題解決に向けて伴走支援をする専門家であるIMが配置されていました。IMは定期的に入居者を訪問し、様々な悩みの相談に応じています。
    A社は入居後、会社法や契約に関することについて、IMを通じて経営相談窓口を紹介してもらい、弁護士に相談していました。また、A社は退去後もこの経営相談窓口を活用し、発生した課題は各種専門家のアドバイスを受けながら解決を図っていました。
  3. (3)他の入居者との交流
    この施設では、知的財産権に関するセミナーや退去した企業との交流会など、数多くのセミナーを開催しています。A社は積極的にこれらのセミナーに参加し、知識を得るとともに人脈を広げていました。特に、入居している他の企業と親睦を深めることが、ビジネス上のヒントを得ることにつながったということです。
    創業時期の経営者は、次々に発生する課題に1人で立ち向かわなければなりませんが、インキュベーション施設には相談できる仲間がたくさんいるといえるでしょう。

以上のように、「インキュベーション施設」は創業時の成長を止めないよう、IMを始めとする支援体制が整っていることが最大のメリットとして挙げられます。

事業の成長を止めないポイント

「インキュベーション施設」は、あくまで創業予定者または創業後一定期間内の創業者を支援する施設であるという理由から、入居可能な期間を設けているところもあります。それでは施設を卒業してからも、事業の成長を止めないためのポイントとはなんでしょうか?

  1. (1)5年後、10年後の事業ビジョンを具体化させる
    ある公的機関の施設では、施設を退去した企業との交流会を開いています。先輩の創業者がぶつかった壁や成功事例について惜しみなく情報を提供することで、卒業後の事業イメージをより具体化させることを目的としています。卒業後も成長を続ける企業は、利益を生み出す事業モデルをしっかりと構築していることが特徴といえます。入居者は、先輩の創業者に直接質問をぶつけながら、中長期的な事業計画を具体化することも考えてみましょう。
  2. (2)人材確保と資金繰りが課題
    インキュベーション施設を卒業するときは、企業の成長ステージも導入期から成長期に移る段階であり、事業の成長に伴い、人材確保と資金調達が課題となることが多いといえます。人材確保の課題であれば人材採用や組織体制作り、資金調達の課題であれば調達方法の検討や金融機関との交渉が必要となっていきます。
    そこで、インキュベーション施設を卒業した後も、運営事業者のサービスを活用していきましょう。公的機関であれば、経営相談窓口や専門家派遣制度などを有していることが多いので、運営事業者のサービスを使いこなし、成長のスピードを止めないように取組むことが大切です。

インキュベーション施設には様々な特徴があるので、十分に調査していただき、事業の成長に役立つ施設があれば、利用を検討してみてはいかがでしょうか?なお、入居には審査が必要な場合があるため、必ず入居できるものではない点は注意が必要です。
創業期に最も重要なことは、「この事業で何を成し遂げたいのか」という、事業目的そのものです。その目的を明確にし、目的を達成するための手段として、「インキュベーション施設」を活用していきましょう。

本コンテンツは中小企業・小規模事業者ビジネス創造支援ポータルサイト「ミラサポ~未来の企業★応援サイト」(https://www.mirasapo.jp/index.html)内の記事「創業期の経営者に伝えたい、インキュベーション施設の活用」(https://www.mirasapo.jp/column/00105/20180615_68627.html)を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

当初作成日:2018年6月15日

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