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会社設立のメリット・デメリットの勘所を押さえてスムーズな起業をしよう!

掲載日:2018年5月30日創業関連情報

キービジュアル

会社設立のメリット10項目

1.信頼が上がる

一般的に、働き方の多様化により少しずつ変化してきてはいますが、やはり個人事業主より会社の方が信頼されるといわれています。

2006年に株式会社のさまざまな規則を定めた会社法が施行され、1円から株式会社が設立できるようになりました。

1円から設立が可能にもかかわらず、多くの会社がある程度の資本金を用意しているのは、取引先等からの信頼度が資本金の額に比例すると考えられているからです。

会社を設立するためには、資本金を用意しないといけません。会社設立時には法務局に設立登記をおこないますが、その際に資本金の金額が入っている通帳のコピーを提示する必要があります。

外部の関係者には、資本金があるということはそれだけのお金を調達する能力があると認識されます。また、登記によって「公的」にその能力が証明されていることも意味します。これらは個人事業主ではできないことです。

2.税金負担が抑制できる

事業をしていくうえではさまざまな税金を負担しなくてはいけません。

個人事業主と会社では税金の計算方法、考え方やそこにいたるまでの経費の考え方などが異なります。

消費税の免税効果
資本金1,000万円未満で新しく会社を設立した場合、2年間消費税が免税されます。2年目については1年目の上半期の売上や給料の支払い額が1,000万円を超える場合は消費税を納付する必要があります。

所得税と法人税の税率の差
個人事業主に課せられる所得税は、累進課税といわれる課税方式です。

これは利益がでるほど高い税率になり、いちばん高い税率では、住民税とあわせると50%を越えます。

会社の場合は、法人税・法人地方税あわせておおよそ30%前後の税率です。

違いを表にしました。

個人事業主
所得税 累進課税5%~45%
住民税 10%+均等割5,000円
事業税 業種による3%~5%
会社=法人(資本金1億円以下)
会社の税金  
法人税 800万円以下15% 800万円超23.9%
地方法人税 1.0516%
地方法人特別税 2.8985%
法人住民税 3.8957%
法人事業税 3.4%
社長の給料の税金
所得税 累進課税5%~45%
住民税 10%+均等割5,000円

400万円の利益があった場合の個人事業主(小売業)と会社の税金の違いを見てみましょう。

会社は利益100万円で、のこり300万円を社長の給料としています。

個人事業主の場合は、所得税・住民税・事業税合わせて832,500円。会社の場合は、社長の給与の税金と会社の税金を合わせて550,000円となり、約280,000円会社の方が税額が低くなります。

  • *社長の給料の税金は、給与所得控除計算後 あくまで目安です。

3.経費処理ができる範囲がひろがる

個人事業主と会社では経費の考え方が異なります。

・ 個人事業主の場合

  1. まずその支出が経費になりえるものか、ならないものかを考えます。
    (例)
    経費になる 経費にならない
    水道光熱費 生命保険
    地代家賃 火災保険
    自動車保険 寄付金
  2. 経費になりえるものを仕事用のものか、プライベートのものか、その両方(家事按分する)かを考え、仕事用部分のみ経費にします。
    • 例)自動車保険→仕事用の車なので経費
    • 地代家賃→自宅のため経費にならない
    • 水道光熱費→60%が仕事でつかっているので60%だけ経費

・ 法人の場合

基本的に支出はすべて経費になる(借入金などの返済や固定資産の購入は除く)という考え方です。個人では経費にならなかった、生命保険や火災保険、寄付金(限度額あり)も経費になります。経費になる幅がひろがります。

4.欠損金を9年間繰越できる

個人事業主も会社も、欠損金(赤字)がでたときに翌年以降に繰り越すことができます(どちらも青色申告が前提です)。しかし、会社のほうが繰り越せる年数が多いためおトクです。

  • 個人事業主 3年間繰越
  • 会社=法人 9年間繰越

5.資金調達の選択肢がふえる

一般的に、個人事業主より会社の方が信頼が増します。そのため銀行からの融資は会社の方が受けやすいです。

会社はお金の流れがすべて帳簿づけされているため、返済能力を判断しやすいと考えられるためです。

個人事業主の場合は、そもそも経費にならない支出は帳簿づけしないため、お金の流れがわからず、融資ができるかどうかの判断がつきにくくなるケースが多くあります。

また、会社の場合は外部から資金を調達する増資という手段もあります。

6.ストックオプション制度をつかえるようになる

ストック・オプションとは、あらかじめ決められた価格で自社株を買う権利をいいます。

従業員は決められた価額で自社株を購入後、会社の利益を出し、高い価額で売却することで利益を出せます。

そのため仕事に対する意欲が増しますし、設立当初のお給料があまりだせない時期でも、優秀な人材を確保しやすくなります。

7.決算月を自由に設定できる

個人事業主の場合は会計期間が1月1日~12月31日、申告・納付時期が翌年2月16日~3月15日と決まっています。必ずその時期に税金を納める必要があります。

会社は決算日を自由に設定できます(通常は定款に記載)。申告・納付時期は決算日の翌日から2ヵ月以内です。

また、会社の場合はつぎのようなことができます。

会社の繁忙期と決算日を離すことができる。
決算では棚卸業務や減価償却費の計算、申告書の作成など、通常と違う業務が発生し仕事量が多くなります。会社は決算期を自由に設定できるので、繁忙期と決算日を離し、毎月の仕事量を調整することができます。

税金納付の資金繰りを調整できる。
特に消費税の納付がある場合など、税金の納付は特定のタイミングで多くの資金が必要となります。通常業務で支払いが多い月が決まっている場合は、その月と税金の納付時期が重ならないように決算日を設定することができます。

8.採用力があがる

個人事業主と会社では、やはり会社のほうに人材が集まりやすいと考えられます。前述のストックオプションの活用は、設立当初でも優秀な人材の採用を試みることに役立つと考えられます。

9.相続税がかからない

個人事業主の場合、個人事業主が亡くなると、その所有しているすべての資産を相続人に相続しなければいけません。そのため、すべての資産に対して最高55%の相続税がかかります。

しかし個人事業主が会社を設立し、その資産を会社に引き継ぎ(売却の形になる)している場合は、すでにある程度の資産が会社に引き継がれているため、個人が亡くなったとしても相続税の対象となる資産は相対的に少なくなります。

また、所有している会社の株式を後継者に引き継ぐ場合、相続税が大幅に軽減される措置もあります。

10.有限責任となる

会社を設立すると、個人はその会社の株主となります。出資した会社が倒産した場合、株主はその出資した金額の範囲内でのみ責任を負うことになっています。

通常は、自分の持っている株の価値が0円になって終わりです。会社の借入に対する連帯保証人になっている場合を除き、それ以上の責任をとる必要はありません。

個人事業主の場合、原則責任は無限です。倒産した場合、事業で借りた借入金等の返済義務はのこりますし、最悪自己破産に陥ることも考えられます。

会社設立のデメリット5項目

会社設立にはデメリットもあります。

1.ランニングコスト

会社の設立にはさまざまなコストがかかります。

印鑑
一般的につぎの印鑑を用意する必要があります。
・代表取締役の実印
・法人の実印や角印(社内用)
・銀行印

定款の作成
定款とは、会社の商号や目的などの基本のルールを定めたもの です。
作成費用は約10万円程度になります。

設立登記
定款作成後、法務局に設立の登記をする必要があります。司法書士などの手数料にもよりますが、20万円~30万円程度はかかります。

税金
赤字の場合でも、都道府県や市区町村に対する税金が発生します。これを均等割りといい、いわば会社がその場所に存在していることに対する税金です。約7万円程度の税金が必要です。

2.社会保険への加入

会社は社会保険への加入が義務づけられています。社長1人で従業員がいない場合でも、加入しないといけません。個人事業主は常時5人以上の従業員が働いている場合に加入します。個人事業主1人の場合は加入する必要はありません。

社会保険料は健康保険料と厚生年金保険料の2つで構成されており、会社と従業員とで折半します。

月給20万円の従業員ひとりあたり、会社負担は3万円弱になります。

3.交際費に上限がある

交際費とは得意先や取引先との食事や接待、中元・歳暮などのことです。

個人事業主の場合は交際費に上限はありませんが、会社には800万円の上限があります。中小企業では交際費が800万円になることはあまりないため、現状ではデメリットは少ないですが、交際費課税は景気の動向などで改正されやすいものになるため、今後、会社組織では規制がふえる可能性もあります。

4.事務負担がふえる

申告書の作成
個人事業主…所得税確定申告書、青色申告決算書
会社…法人税申告書、勘定科目内訳書、法人事業概況説明書、決算報告書など

社会保険の手続き
個人事業主…従業員5人未満なら強制ではない
会社…従業員の人数にかかわらず強制

商業登記
会社は役員の名前や住所、事業の目的などを法務局に登記しています。そのため、変更があった場合は必ずその旨の変更登記が必要になります。

株主総会、取締役会
会社は毎年決算時期に株主総会と取締役会を開きます。その準備や議事録の作成などの事務負担があります。

5.会社倒産の費用

事業を廃止する場合、会社は手続きが複雑です。手続きの流れはつぎのとおりです。

  1. 1.解散登記
  2. 2.解散公告
  3. 3.解散申告
  4. 4.清算登記
  5. 5.清算申告

事業を廃止する場合は、まず解散の手続きをします。その後、残った財産を誰にどれだけ分けるのかを決めていきます。これは裁判などで数年かかることもあります。

費用は、解散登記や解散公告で7万円程度、清算登記で数千円程度かかります。それぞれの登記や申告を司法書士や税理士に頼んだ場合は、その費用もかかります。解散後、清算が決まるまでは毎年解散申告をする必要があります。

まとめ

この記事のポイント

<会社設立のメリット>

  • 社会的信用度が上がる
  • 採用・資金調達など事業拡大がしやすい
  • 税制上の優遇がある

<会社設立のデメリット>

  • 社会保険への加入、事務負担など「会社ならではの義務」がふえる
  • 税制上の交際費の制約
  • 設立・倒産それぞれにコストがかかる

法人口座開設(法人のお客さま)

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
(記事提供元:創業手帳株式会社)

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