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掲載日:2022年2月1日

生産性向上

知っておくべき「デジタル通貨」最新情報

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2021年11月24日、金融機関や大手企業等、約70社・団体からなる企業連合が「デジタル通貨」の試験発行を開始すると発表。早ければ2022年後半の実用化をめざすとしました。また、世界では中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBDC)の導入に積極的な動きがみられ、既に運用を開始した国もある中、日本でも検討が進められています。
あらゆるモノ・コトがデジタルシフトする今、マネーも例外ではないでしょう。こうした潮流は大企業だけでなく、サプライチェーンを構築する中小企業においても他人事ではありません。
本稿では、デジタル通貨の普及によってどのような変化がもたらされるのか、経営者として知っておきたい最新情報をご紹介いたします。

押さえておきたい基礎知識――そもそも「デジタル通貨」とは何?

近年、様々なメディアでよく見かける「デジタル通貨」という言葉。
なんとなくイメージはあっても、どのような目的を持って運用されるのか、実際にどんな影響があるのかを理解している人は、まだまだ多くありません。
ここで改めて、基本からおさえておきましょう。

デジタル通貨自体に明確な定義はありませんが、一般的に「現金(紙幣・貨幣)ではなく、デジタルデータに変換された、通貨として利用可能なもの」、あるいは「価値をデジタルデータで表現したもの」を指します。
似た言葉として、デジタルマネーやデジタル貨幣等がありますが、基本的には同じ意味合いとなります。

実は、BtoCの領域ではデジタル通貨が既に活用されており、私たちも日々の生活の中で実際に使用しているものがあります。
具体的には、以下の3つがデジタル通貨の代表例です。

①電子マネー

国が発行する法定通貨(日本なら円)のデジタル代替で、日本ではプリペイド方式(前払式支払手段)により、事前にチャージ(入金)することで使用可能になります。

例えば、交通系のSuicaやPASMO、商業系のWAONやnanaco、通信系のPayPayやiD等、これらが、最も身近にあるデジタル通貨といえるでしょう。

消費者側のメリットとしては、現金を持ち歩く必要がなく、おつりのやり取りが不要で、スムーズな支払いが可能になることがあげられます。
小売業や飲食業など、顧客の支払い手段として導入している事業者にも、会計時間の短縮やレジ業務のミスが少なくなる、といった利点があるでしょう。

②仮想通貨(暗号資産)

法定通貨を基準としない、民間業者等が発行する独自のデジタル通貨のことで、代表的なものにはビットコインがあります。

記録の改ざんが難しい「ブロックチェーン」という技術によって信頼性を担保していますが、その価値は企業や個人間の需給バランスに依存しているため、価格の変動が大きく、現状では投資対象という側面が強くなっています。

③中央銀行デジタル通貨(CBDC)

電子マネーが法定通貨の代替であるのに対し、CBDCは法定通貨そのものをデジタル化したものです。現金(紙幣・貨幣)と同様に、国内のあらゆる決済に使用できることになります。

CBDCを導入すれば、印刷や流通といった通貨の発行コストや労力を削減できることに加え、紙幣・貨幣の偽造防止にもなるでしょう。また、デジタルデータとして使用履歴が残るため、資金の流れが“見える化”できるというメリットもあります。

さて、気になるのは、冒頭でも紹介した企業連合によるデジタル通貨プラットフォーム(DCJPY)です。
CBDCと異なるのは、民間銀行が価値の発行体となることです。日本円と完全連動する「円建て」「1DCJPY=1円」となる見込みで、銀行にアカウント(口座)を開設して利用する想定となっています。

企業連合は、事業者の電力取引から導入していく考えを発表しました。
送金コストが安い、24時間取引ができる、取引情報が記録されるといったメリットを考えると、大企業を中心に、様々な領域へと利用が広がっていくかもしれません。
そうなれば、当然、サプライチェーン上の中小企業にも対応が求められるでしょう。

また、官民のデジタル通貨を相互交換可能にするような動きも出てきていることから、今後、実用化へと更に加速していくことも十分考えられます。
いざ使用するとなったときに困らないよう、経営者や経理担当部署は知識を蓄えておく必要があるかもしれません。

今、世界各国でCBDC導入の動きが加速している!

前述の通り、諸外国においては、CBDC導入に向けた検討が急速に進んでいます。
2020年10月には世界に先駆けて、中米のバハマで「サンドダラー」が、そして、東南アジアのカンボジアでは「バコン」が、それぞれ実証実験を終えて正式に発行され、運用がスタートしました。

主要国では中国が先行しており、2022年の北京冬季オリンピックまでの発行をめざし、大都市やオリンピック会場予定地区でデジタル人民元(e–CNY)の試験的な運用を実施しています。

欧州(ユーロ圏)では2021年7月、デジタルユーロに関するプロジェクトの開始が欧州中央銀行から正式に表明されました。今後2年程度をかけて制度設計や流通の仕組み等の実務的な課題への対応、欧州議会や各国政府との間での法的枠組みを整備し、2026年以降の導入をめざすとしています。

アメリカではまだ具体的な計画は発表されていないものの、一部の地区連銀が研究機関と組んでデジタルドルに関する共同研究が進行しているようです。民間企業によるステーブルコイン(裏付け資産を担保に価値の安定化をはかる暗号資産)の動向をにらみつつ、将来的なCBDC発行に向けて準備しているとみられます。

そして、日本でも2020年10月、「中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する取り組み方針」が公表されました。

決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後のデジタル社会にふさわしい決済システムのあり方について検討を進めるとしており、2021年4月から、デジタル円の基本機能(発行、流通、還収)に関する技術的な検証のための、概念実証を開始しています。

このように、世界で取り組みが進んでいるCBDCは、グローバルな取引においても利点があるのが特徴です。
デジタル通貨の導入によって、本来、時間もコストも大きくかかってしまう海外送金の利便性が高まります。

つまり、企業活動の範囲が国内には留まらない現代社会においては、デジタル通貨にいち早く対応することが、国際的な競争力を高めていくことにもつながるのです。

給与のデジタル払いが間もなく解禁!活用のメリットとは?

マネーのデジタル化の流れは世界中で急速に進展しており、遠くない将来、これらを活用した企業間取引や決済が主流になっていくかもしれません。
そして、より具体的で身近なトピックスとしてあげられるのが、「給与のデジタル払い」が、近く解禁される見込みとなっていることです。

給与のデジタル払いを実施する場合、従業員が保有する電子マネーのアカウントに、雇用主が賃金の送金処理を行う形になります。現時点(2021年11月時点)ではまだ制度改正はなされていませんが、政府は、「できるだけ早期に制度化をめざす」としています。

その背景には、キャッシュレス化の促進やコロナ禍を経た新たな生活様式への対応、外国人労働者の受け入れ拡充等があるようです。利用者(従業員)の利便性向上にも、つながると期待されています。

一方、企業側のメリットとしては、支払い・決済の円滑化や業務効率化、多様な人材の採用・確保等があげられるでしょう。

最新のアンケート調査によると、給与デジタル払いの導入可否を検討している小・零細企業は、全体の35%になるようです。

電子マネーは、既に個人の生活に深く入り込んでいるため、CBDCやDCJPYに比べると、企業側としても活用のイメージがしやすいものです。法整備がされれば、早い段階で導入が進んでいくことでしょう。
特に非正規雇用の人材を確保する際は、こうした柔軟な給与支払い手段を持っていることが、就労先として選ばれる基準になるかもしれません。

おわりに

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、SDGsや脱炭素社会の実現に向けた取り組み、そしてデジタル通貨への対応……、様々な変革や課題が突きつけられるこの激動の時代においては、迅速かつ的確な対応をとることこそが、ビジネス成長の鍵を握っているといえるのではないでしょうか。

経営者にはデジタルシフトするあらゆるモノ・コト・カネの最新情報を常にキャッチしながら、時代の流れを見据えた素早い判断がより一層求められることになるでしょう。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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