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「ペーパーレス化」から始めるDXのすすめ

掲載日:2022年1月6日生産性向上

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近年、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉がビジネス界に普及しています。DXとは、デジタル技術を活用しながら、自社の製品やサービス、ビジネスモデルを変革することで、より競争力のある企業になろうというものです。
現在、様々な企業がDXを推進していますが、「DXといっても、いったい何から手をつけたら良いのか分からない」と、お悩みの経営者も多いのではないでしょうか。そんなときにお勧めしたいのが、取り組みやすく、メリットも大きい「ペーパーレス化」です。
本稿では、DXへの第一歩となる「ペーパーレス化」について考えていきましょう。

ペーパーレス化に取り組むことによる“五つのメリット”とは?

ペーパーレス化とは、これまで紙で運用してきた書類や資料をデジタル化し、電子データとして活用・保存することをいいます。では、ペーパーレス化を推進することで、ビジネスにどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、主な五つのメリットをご紹介しましょう。

①コストの大幅な削減

ペーパーレス化による大きなメリットとしてあげられるのが、コストの削減です。会議や総務・労務などに関する書類や資料を紙で用意するには、紙代や印刷コストがかかります。またプリンターなど印刷機器のメンテナンス料、さらには不要になった書類や資料を廃棄する際にもシュレッダーや廃棄業者の費用などが生じます。
ペーパーレス化に取り組むことで、これらのコストを大幅に削減することができるのです。

②業務効率化・生産性向上

紙の書類や資料を電子データにすることで、情報の携帯性や検索性が格段に向上します。
例えば、大量の紙の資料を携帯するのは容易ではありませんが、それらを電子データにしてサーバーに格納しておけば、パソコンなどで社外からも手軽に確認できます。また、膨大な紙の書類の中から必要なものを探し出すには時間がかかりますが、電子データならばファイル名などで簡単に検索可能です。結果的に、大幅な業務の効率化や生産性向上につながるのです。

③多様な働き方の実現

前述の通り、電子データの場合は社外からもアクセスできるため、テレワークなど多様な働き方の推進につながります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、テレワークが働きやすさの条件の一つとされる今、社員の幅広い働き方をサポートすることも企業の社会的責任といえるでしょう。
同時に、ペーパーレス化による多様な働き方の実現は、今後、優秀な人材を確保するための必須条件ともなってくるかもしれません。

④セキュリティの向上

紙の書類や資料を保管する場合は、鍵付きのキャビネットを用意し、閲覧や持ち出しの際のルールを決めるなど管理に手間と時間がかかります。また、出力した書類の取り忘れや紛失による情報漏えいの危険性もあります。
一方、電子データの場合はアクセス権限の設定が可能です。さらに誰がいつアクセスしたかなども詳細に記録できるため、より高度なセキュリティが実現できます。

⑤SDGsや脱炭素の推進

ペーパーレス化で紙の消費量を少なくすることにより、森林破壊や紙の生産・焼却によるCO2排出量の削減に貢献することができます。環境問題やサステナビリティ社会構築への貢献が企業の責任ともなっている今、こうした取り組みは企業のイメージアップにもつながるといえるでしょう。

加速するペーパーレス化の流れに、乗り遅れないために

コロナ禍によるテレワークの増加、デジタル庁によるオンライン化の推進などを受け、ビジネス界におけるペーパーレス化の流れは着実に加速しています。
また、2021年11月には日本製紙と大王製紙が相次いで印刷・情報用紙などの値上げを発表。原燃料価格の高騰や物流コストの上昇に加え、CO2削減の対策費用の負担増などを理由に、両社とも2022年1月以降に印刷・情報用紙などを15%以上引きあげるとしており、ペーパーレス化に大きな影響を与えるものと思われます。

ペーパーレス化の流れにさらに拍車をかけると考えられるのが、2023年10月1日から導入される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」です。
日本ではあまり馴染みがありませんが、軽減税率と標準税率など複数の税率が混在する主要国では定着している制度です。簡単にいえば、商品やサービスの売り手は正確な適用税率や消費税額などを伝えるインボイス(適格請求書)を買い手に交付する必要があり、一方の買い手は仕入税控除の適用を受けるため、インボイスを保存しておかなければならないというものです。
2019年からは日本も標準税率10%、軽減税率8%の2段階となったため、誤って過大な消費税を納めるなどの事態が生じないよう、インボイスに基づき正確に計算しようというのが制度の趣旨です。

一方で、制度導入によって企業の負担は増し、これらをすべて紙で処理・保管するとなると、深刻な業務効率の低下や保管コストの増大などが懸念されます。
ビジネス界におけるペーパーレス化の流れに乗り遅れないためにも、企業はインボイス制度導入を好機ととらえてペーパーレス化に取り組み、請求書や納品書、書類、資料などをデジタル上で処理・保存できるシステムづくりを進める――。こうした取り組みこそが、企業の今後の成長と発展の礎となっていくことでしょう。

ペーパーレス化を成功させるための“三つのポイント”

ここまででペーパーレス化のメリットや、なぜ今こそペーパーレス化に取り組むべきなのかがお分かりいただけたのではないでしょうか。では、最後にペーパーレス化を促進し、成功に導くためのポイントをご紹介しましょう。
ポイントは、以下の三つです。

①目的や必要性を全社に浸透させる

まずは経営者が「ペーパーレス化とは何か」「どんなメリットがあるのか」「なぜ今取り組むべきなのか」といった目的や必要性をしっかり理解しましょう。そのうえで、現場の社員にとってはどのようなメリットがあり、実際の業務にどのような変化があるのかについて周知を図ります。
このようにペーパーレスの目的や必要性を全社に浸透させることで、取り組みをスムーズにスタートさせることができるでしょう。

②電子データ化するものとしないものを決める

次に、電子データ化する書類や資料と、電子データ化しないものを事前に決めましょう。紙での運用・保管で問題のない書類や資料まで電子データ化するのは無駄ですし、かえって運用・管理の手間を増やすことにもなりかねません。
そのため、まずは電子データ化するものとしないものを分け、電子データ化するものの中でも優先順位を決め、必要性の高い書類や資料からとりかかると作業を効率的に進めることができます。

③ペーパーレス化はスモールスタートで

最初から全社的にペーパーレス化を進める方法もありますが、それだと社員の負担が大きくなり、生産性が著しく低下するなどの弊害を招く恐れもあります。そのため、例えば部署やグループ、チームなどの小さな単位からペーパーレス化の取り組みをスタートするのがおすすめです。
スモールスタートで成果を積み重ね、社員一人ひとりがペーパーレス化の目的やメリットを実感することで、やがて全社横断的な流れが形成されていくことでしょう。

おわりに

このように、ペーパーレス化は企業の成長と発展の鍵となる重要な取り組みです。
本稿でお伝えしたポイントを参考に、DXへの第一歩として、ペーパレス化を始めてみてはいかがでしょうか。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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