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生産性向上を社内に根付かせる第一歩とは

掲載日:2020年6月12日生産性向上

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経営者の中には自社の生産性を向上させようと、生産性向上の理論や考え方を書籍で勉強したり、コンサルタントに教えを請うたりと熱心に取り組まれている方もいるのではないでしょうか?ところが、実際には思うような結果を得られていない場合が多いようです。それどころか、「現場を引っかき回される」と、従業員側に生産性向上に対する抵抗勢力が生まれてしまうことも。実は、中小企業においてこのようことが起こるケースは珍しくないといわれています。

多くの場合、これは従業員が生産性向上について理解していないことが原因だと考えられます。本稿では、初めて生産性向上のための改善を本格的に進めていくうえで、従業員の間に改善に取り組む風土をどのようにつくっていくか、そのポイントを紹介します。

生産性向上を社内に浸透させる際のポイント

生産性向上を社内に浸透させるにあたって重要なポイントは以下の通りです。

  1. 1.小さな“不満”から改善してみる
  2. 2.「現場が教材」、現場で従業員に考えてもらう
  3. 3.成果には報奨金や昇格で報いる

1. 小さな“不満”から改善してみる

早く生産性向上の大きな効果を出したいと考える経営者の方も多いかと思いますが、まずは長期的な視点に立って取り組みたいところです。

初めて生産性向上に取り組む従業員は、大学で生産管理を学んだことがある従業員などを除き、その手法に関する知識を持っていないことが多いと考えられます。日々の仕事に忙しく、問題意識を中々持ちづらいために、なぜ生産性向上に取り組まなければいけないのか、その意図を理解しない場合もあるのです。但し、そうであったとしても、普段の業務の中で、製造装置の位置が使いづらいところにある、運搬が面倒な工程があるといった不満が全くないという従業員は少ないでしょう。

そこでまず、自分たちが普段の業務で感じている「時間がかかりすぎている作業」や「身体的負担が大きい作業」などを挙げてもらいましょう。それから、その中からすぐに改善を実行できる問題点を抽出し、改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
例えば、現場のちょっとした設備の移動など、その日のうちに完了できる改善を選んで実行してみましょう。こうした取り組みを続けていると、従業員は少しの工夫で「自分たちの作業が楽になる」と認識するようになります。このような取り組みをきっかけに、従業員に改善の意識が芽生え、生産性向上の目的や手法を理解できるようになるケースは多いようです。

2. 「現場が教材」、現場で従業員に考えてもらう

次に、従業員が現場から業務の改善について自由に意見できるような環境をつくっておきましょう。そうすると、経営者やリーダーでも気づかないような細かな問題点が報告されるといったことも起こり始めます。このような場合、報告された問題点に対して、リーダー自らが解決策を打ち出すのではなく、「どのように解決するのがいいと思うか?」と従業員に問いかけて、従業員自身に解決策を考えさせることが大切だといえます。
このような過程を通じて、従業員は問題解決能力を高めていくことができるでしょう。いわば、現場を生産性向上の教材とするのです。

3. 成果には報奨金や昇格で報いる

ところが、上述のような従業員自身に解決策を考えてもらう手法を続けていると、ある程度の改善が進んだ段階で、改善の進行は鈍るといわれています。従業員が生産性向上の理論を学んでいないため、自身の担当工程の作業の工夫はできても、ライン全体の業務最適化などまでには考えを及ぼすことができないからです。

そこで、このような段階にまで至ったら、従業員に生産性向上の理論を習得させてみると良いでしょう。社内の管理職が教育を施しても良いですし、外部から講師やコンサルタントを招いて研修を実施しても良いです。既に現場を変える習慣が芽生えつつある従業員に生産性向上の理論や指標となる数値などについて学んでもらうことで、現場の生産性向上の取り組みを次のステップに進めることができます。

この段階でも、ただ従業員に理論を教え込むだけではなく、演習も併せて実施するようにしましょう。経営者やリーダーから「こういう経営指標を改善したいが、どうすれば実現できそうか」と問いかけ、従業員に答えてもらうのです。従業員による考察と回答、リーダーによる修正を繰り返しながら、改善のセンスを鍛えてもらいましょう。

改善に効果が出て、作業時間の短縮や労力の軽減につながれば、従業員にとってはそれ自体がインセンティブともなります。とはいえ、従業員が改善により成果を上げた場合には、できれば表彰をすると良いでしょう。実際に具体的な報酬金などを提示している企業では、現場から多くの業務改善に関する提案が出てくる傾向にあるようです。また報奨金ではなく、生産性を向上させた部署や担当者を集めて社費で振る舞う食事会などを実施したり、あるいは人事評価制度として、功績のあった従業員を昇格させるといったインセンティブも考えられます。

以上のポイントを参考にしながら、まずは社内に業務の改善に取り組む風土を根付かせてみてはいかがでしょうか?長期的な視点に立って、従業員と協力しながら生産性向上に取り組んでいきましょう。

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–net21(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)」内の記事「経営ハンドブック(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/productivity/training_emp.html)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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