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導入後に課題が! 正しい“テレワーク”運用のコツ

掲載日:2020年5月22日生産性向上

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新型コロナウイルス感染対策をきっかけに、にわかに注目度が高まっている「テレワーク」。国も働き方改革を進展させるための一つの形として推進していることもあり、導入が加速しています。ただ、オフィス通勤との差異は大きく、導入してもうまく運用できない、という声が少なくありません。生産性向上や業務効率化のために実施したのに、業績悪化や社員のモチベーション低下を招いてしまうことも……。
そこで今回は、テレワーク特有のコミュニケーションの取りづらさを解消し、組織のリーダーにとって円滑な「テレワーク運用」を可能にするノウハウを解説します。

今日もスケジュールが遅れがちに……。どう対処する?

自分ですべきことを見極めて行動できる人であれば、テレワークでも自制的に仕事に取り組めますが、組織の中には、上司や同僚の目がないと、ついつい気が緩んで仕事がおろそかになる人もいます。その結果、業務やプロジェクトが期限までに終わらないケースが増えて、困っている企業が少なくありません。
このような事態を防ぐには、組織のリーダーとして、“業務の見える化”と“こまめな対応”を心掛けることが重要です。

テレワークで“業務の見える化”をするには、「スケジュール管理ツール」や「タスク管理ツール」などを活用するといいでしょう。1日、1週間、1ヵ月間の短中期スケジュールやタスクの進捗状況を、プロジェクトメンバーや上司・部下間で共有することで、作業の遅れを把握できますし、問題点が見つかれば、早い段階での対処が可能になります。
その際、気付いた点やアドバイスをすれば、部下に“きちんと見ている”ことが伝わり、テレワークであっても、社内のような適度な緊張感を生み出すことが可能です。

また、業務の可視化を考えると、「日々の業務報告書」や「その日の成果物」を提出させるのも効果的です。ただし、これについても必ずレスポンスすること。日常的に顔を合わせながら働くことができないテレワークでは、放置しているのではないと部下に感じさせるためにも、“こまめな対応=レスポンスの頻度”を高めることが重要なのです。

ちなみに、ICTツールを導入する際は、セキュリティ面での留意もお忘れなく。詳しくは、別途、「経営課題の解決策として注目の『テレワーク』とは」を参照ください。

悩みは“コミュニケーション不足”。これを、一気に解決!

直接、社員同士で声掛けができないことが、テレワークにおけるコミュニケーションの壁になっています。代わりに電話やメールでコミュニケーションを図ろうとしたものの、つながらなかったり、返信がなかったりしてイライラしてしまった、という声も少なくありません。そこで役立つのが、「ビジネスチャットツール(以下、チャット)」や「ウェブ会議」です。

「チャット」は、宛名や署名、挨拶などを簡略化できるため、気軽にメッセージを発信できます。1対1だけでなくグループ作成機能を使えば複数人でメッセージをやりとりすることも可能です。メッセージの履歴も残るため、後から参加した人も情報を共有しやすい、というメリットもあります。

いちいち打ち込むのが面倒という人には「ウェブ会議」がいいでしょう。ただし、ウェブ会議の場合は事前に参加者間で時間を決めておく必要があります。その調整が億劫で、結局利用されなくなるケースもあるため、ウェブ会議を定例化する企業もあります。例えば、「朝会」は部署全員参加で実施することや、週1回の「業務報告会」をウェブ会議で行うことをあらかじめ決めておくのです。
さらに「社員の孤独感を払拭」するために、部下が上司やリーダーに1対1で相談できる機会をウェブ会議システムで設けるところや、社員同士で「雑談」ができる機会を増やすところもあります。

注意すべき点は、チャットやウェブ会議だけでなく、スケジュール管理やタスク管理などのICTツールは、部下を“監視する”ためではなく、成果を出すためのもの。活用にあたっては、社員間のコミュニケーション密度を高めるために……と丁寧に説明しましょう。

社員が気を揉む“人事評価”。見えない仕事ぶりをどう評価するか…

テレワークで大きな問題になってくるのが、人事評価です。組織のリーダーは、目の届かない場所で働いている部下を評価するため、どうしても成果主義に偏りがちになります。
「我が社は、完全な成果主義」というならいざ知らず、 “プロセス重視”の人事評価を採用している企業では、成果に至るまでのプロセスが見えにくいテレワークという働き方は、大きな壁になっているのです。

一方、評価される側にとっても、「正当に評価してもらえるのか……」という不安がつきまといます。それが原因でモチベーションが下がり、生産性などが落ちてしまっては元も子もありません。

この課題解決には、成果報告だけでなく、1週間から1ヵ月単位で「業務目標」を設定し、その達成度と、達成するために何をしたのかという「プロセス報告」を仕組み化する方法をとると良いでしょう。例えば、この報告をもとに1ヵ月に一度のスタンスで部下との面談を設ければ、「プロセスを上司にアピールする」機会をつくることができ、社員のモチベーション維持・向上にもつながります。
成果を出せていない社員にとっても、課題に対してどのように行動したのか、なぜ失敗したのか、どう改善しようと試みているのかをアピールする機会になるため、「成果だけ見て、きちんと評価されないのでは」という不安を取り除くことができるのです。

いきなり“100%テレワーク”は失敗のもと! 適性を見ながらソフトランディング

組織を構成する人は、十人十色。ICTに強い人もいれば弱い人もいますし、変化を好意的に受け入れる人もいれば、否定的な人もいます。そのため、いきなりすべてをテレワークに切り替えると、上手く回っていた組織が機能不全を起こしかねません。
従って、全社的なテレワークの導入にあたっては、①対象部署・対象者、②対象業務、③実施頻度、を見極めながら進めていく必要があります。

  1. 対象部署・対象者
    テレワークの導入には、まず、この趣旨を理解していて、かつ関心が高い部門長がいる部署から、試験的に運用をはじめていくようにしましょう。そこで効果検証を行った上で、課題を洗い出し、解決策を講じながら徐々に対象部署・対象者を拡大していきます。
  2. 対象業務
    組織編成上、「職種単位」でテレワークの導入を進めがちです。しかし、企画立案フェーズはテレワークで問題なくても、実施フェーズはステークホルダーとの密な連携が欠かせないためテレワークに向かないなど、向き不向きは業務内容によって異なります。従って導入は、「職種単位」ではなく、「業務単位」で検討しましょう。
  3. 実施頻度
    テレワーク導入初期は、既存の働き方を基本とした上で、「慣れること」を目的にして週1回程度の実施にするなど、少なめに設定します。その後は、「導入目的」や「企業の方針」に合わせて、徐々に拡大していくようにしましょう。

このように、テレワークの運用は、マネジメントや人事評価といった仕組みの整備と連動させながら進展させていかなければうまくいきません。また、最初から正解を見つけられるものでもありません。
組織のリーダーとしては、テレワークを試行的に導入し、効果検証を繰り返しながら、自社の風土に適した形を模索していくという心構えが大切です。それを踏まえて、組織を活かすテレワーク運用を実施していきましょう。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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