経営課題の解決策として注目の「テレワーク」とは
掲載日:2019年8月26日生産性向上
「人材不足」に悩みを抱える中小企業は少なくない一方、そう簡単に新たな人材を採用できないのも現状でしょう。
近年、テレワークという働き方が、この経営課題を解決する一助になるのではないかと注目を集めています。またテレワークは、自然災害などの緊急事態における社員の安否確認や、事業継続のための対策としても有効といわれています。
本稿では、テレワーク導入のポイントや期待できる効果などについて説明します。
テレワークとは
テレワークは、インターネットなどのICT(情報通信技術)を活用することにより、自宅や外出先等で仕事をするなど時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を可能にするものです。(「tele = 離れた所」と「work = 働く」を合わせた造語です。)
在宅勤務 |
自宅を就業場所とする勤務形態。通常、1週間の間に半日から一日を在宅勤務とするケースが多い。 |
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モバイル勤務 |
外出先や移動中のほか、カフェなども就業場所とする働き方。わざわざオフィスに戻って仕事をする必要がなくなるので、移動時間を有効に活用することができる。 |
サテライトオフィス勤務 |
所属するオフィス以外の遠隔勤務用の施設を就業場所とする働き方。職住近接の環境を確保することができれば通勤時間の削減につながる。 |
テレワークにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
企業にとっては、経営改革や生産性の向上、優秀な人材の確保、事業継続性の確保(BCP対策)、グローバル対応などのメリットがあり、従業員にとっては、ライフ・ワーク・バランスの実現や削減した通勤時間の有効活用、育児・介護中の仕事の継続、業務効率の向上などのメリットがあります。
また社会にとっても、労働力人口減少の緩和(女性・高齢者・障がい者の活躍)や雇用創出、環境負荷の軽減等のメリットがあります。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、国内外から多くの人々が集まり、首都圏の公共交通機関が混雑することが予想されています。テレワークは、大会期間中の交通混雑緩和に効果的な働き方であるとともに、前述のような生産性の向上や多様な人材の活躍などの効果が期待できます。
テレワーク導入による効果
売上高・経常利益が増加傾向にある企業比率(従業員300人以下)をテレワーク導入企業と未導入企業で比較してみると、売上高・経常利益ともテレワーク導入企業の方が増加傾向の企業割合が高くなっています。
また、企業の雇用面への効果についてでは、テレワーク導入済みの企業では、直近3年間と今後3年間において従業員が増加傾向に、テレワーク未導入の企業では、従業員が減少傾向となっています。
(出典:「ICT利活用と社会的課題解決に関する調査研究(2017年)」総務省)
従業員にとって、テレワーク導入の効果は、在宅・サテライトオフィス勤務では通勤時間の削減、業務への集中力の向上との回答が多く、モバイル勤務では、生産性の向上と通勤時間の削減との回答が多くなっています。
(出典「: 多様な働き方に関する実態調査<テレワーク>(平成31年3月)」 東京都産業労働局)
テレワーク導入のポイント
テレワークを導入する際は、まずはテストやスモールスタートで始めて検証を繰り返し、自社に合ったスタイルを見極めてから全社に導入をするのが成功のポイントです。
テレワーク導入の流れ
ポイント1
働き方についてルールを決める
ポイント2
「セキュリティガイドライン」「セキュリティポリシー」を定める
- 1)ルールによるセキュリティ対策
- セキュリティガイドライン/紙媒体、PC、回線等の既存ルールの遵守
- 個人情報保護法の遵守
- 2)技術的なセキュリティ対策
- アクセスの管理・制限
- 暗号化による管理
- 運用、回線のルール
- 3)物理的なセキュリティ対策
- 施錠管理
- のぞき見防止
- 電話対応
なお東京都では、テレワーク導入に向けた様々な支援を行っています。
今年度から都内の中堅・中小企業等を対象に、テレワークの環境構築経費と制度整備費を補助する新たな支援制度も加わりました。テレワーク導入を検討している企業は、このような支援を活用するのも良いかもしれません。
【ご参考】
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
(記事提供元:東京都産業労働局)