領収書・請求書の保管テクニック
掲載日:2019年1月28日生産性向上
領収書やレシート、請求書等の書類は、保存義務があることはもちろん、資金の流れを把握するために大切なもののため、普段から整理しておくことが重要です。本稿では領収書やレシートの管理方法について考察します。
- POINT
- レシートや領収書、請求書は一定期間保存することが義務付けられている
- レシートや領収書、請求書は自分に合った形で管理
- 保存はレシートのコピーでも可。電子保存の選択肢も要検討
レシート・領収書、請求書等は一定期間保存が必要
事業主の業務として欠かせない、請求書、領収書、レシートといった書類の管理。請求書、領収書、レシート等は、法律において一定期間保存することが義務付けられていますが、その保存期間は法人であるかどうか、個人事業主なら青色申告と白色申告のどちらをしているかによって異なります。
法人の場合 |
原則として7年間の保存が必要*1 |
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個人事業主の場合 |
青色申告の場合:7年間の保存が必要*2 |
- *1欠損金がある場合の保存期間は9年。2015年度税制改正により、2017年4月1日以後に開始する欠損金額の生ずる事業年度においては、領収書を含む帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。
- *2領収書・請求書以外の注文書・納品書等の保存期間は5年。
管理方法は自分に合ったやり方で
領収書・レシートの保管方法
領収書やレシートは、一枚一枚は薄く小さな書類ですが、1年経つと結構な量になってくるもの。それだけに、整理せずに放置しておくと、後々、山積みの書類を前にして大変な思いをすることになりかねません。そのため、日頃からある程度整理しておくことが望ましいでしょう。とは言え、事業主の多くは、日々忙しいため、領収書を整理する時間を長く取るのは現実問題として厳しく、また、これらの書類は確定申告が終わった後は、自分が確認したいと思った時や税務署の調査が入った場合を除けば、利用することはほぼないでしょう。ですから、使う時に右往左往せずに済む程度に、月別、費目別等でおおまかに整理しておくことをおすすめします。領収書を月別に分けておくと、後から特定の取引について内容を確認したくなった時に、比較的探しやすいというメリットがあります。また費目別に分けておくと、費用毎にかかったボリュームも把握しやすく、会計ソフトに続けて入力しやすくもなります。
保管例1:封筒にまとめておく
月別、費目別等、専用封筒をいくつか用意して、領収書やレシートをもらったら、封筒に入れておく方法です。ただ、枚数が多いと封筒から出し入れする際に乱雑になってしまったり、うっかり落としてなくしたりしてしまう恐れがあるので、ホッチキスで止める、沢山入る大きめの封筒を使うといった工夫も必要です。
保管例2:ノートに貼っておく
専用のノートを作って、領収書やレシートをその都度貼り付けていく方法です。封筒のように出し入れすることがないので、こちらの方が紛失等のリスクは低いといえるでしょう。また、作ったノートを開いてページをめくると、いつどこでどうお金が動いたかを順を追って確認出来るので、経費の流れも把握しやすいのも特徴です。ただ、貼り付けたレシートがはがれてしまわないように、糊付けをきちんとしておきましょう。
保管例3:ファイリングして収納する
最近は、領収書保管に特化したファイルが出てきているので、ファイルにまとめておくのも良い方法です。いわゆる専用ファイルだけでなく、クリアファイルに分けて入れておいたり、ファイルボックスを使って収納したりするのも良いでしょう。ファイルに月や科目のインデックスをつけておけば、確認がよりしやすくなります。
請求書の保管方法
領収書やレシートとともに、大事な業務上の書類である請求書。請求書も一定期間の保管をしなくてはいけませんが、管理方法として一般的なのは、月別あるいは得意先別に分けておく方法。こちらはそれぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。
月別に管理する場合
メリット:月間の仕事やお金の流れが把握しやすい。その月に発行されたものをまとめればいいので、分類する手間が少ない。
デメリット:取引先が多い場合、特定の会社の請求書を探しだす時に時間がかかる。
取引先別に管理する場合
メリット:各取引先とのお金の流れを把握しやすい。
デメリット:請求書を定期的に分類する手間がかかる。月間でのお金の流れが把握しにくくなる場合も。
請求書の保存方法については、どちらがより正しいということはありませんので、月間の請求額を把握したいのなら月別、取引先毎の状況を把握しておきたいなら取引先別等、自分がやりやすい形で管理をすると良いでしょう。
感熱紙レシートの文字消えに注意!その対策とは
前述のようにレシートや領収書は5年または7年間保存しておかなくてはいけません。しかし、ここで少し問題となるのがレシートです。最近のレシートは感熱紙であることが多く、時間がたつと印字が消えてしまうことがあります。そのため、感熱紙のレシートをもらった場合は、印字が薄くなってしまっても経費であることを証明出来るように、以下のような対策をとっておくことをおすすめします。
- レシートの余白に金額や買った日にち、買ったもの等を書いておく
- レシートをコピーしておく
- レシートをスキャンして電子保存する
- レシートをデジカメ、スマートフォンで撮影しておく
経費の証明については、レシート現物以外は不可ということではなく、レシートのコピーを保存しておくことで問題ないとされるようです。ただし、出来る限り熱や光のない場所に保存しておいたり、印刷が薄くなったり消えている原本も一緒に取っておくようにしましょう。
また、2015年の税制改正によって、それまで3万円未満のものでしか出来なかった領収書やレシート、請求書等のスキャナーでの保存が3万円以上のものでも可能になり、電子署名の付与もいらなくなりました。さらに、2016年の改正で、領収書やレシートをデジカメやスマートフォンで撮影した画像データで保存することも可能となりました*3。
上記の感熱紙レシート対策、さらに紙で保存する手間やコストの削減という点から、今後は、紙だけでなく電子保存するというのも管理方法として視野に入れていったほうが良いかもしれません。
- *3税務署に対して事前の申請が必要です。
本コンテンツは弥生株式会社が運営するサイト「スモビバ!(https://www.sumoviva.jp/)」内の記事「これで楽チン! 領収書・請求書の保管テクニック(https://www.sumoviva.jp/trend-tips/20170210_1257.html)」を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
当初作成:2017年2月10日