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中小企業の設備投資を支援する「生産性向上特別措置法」の活用法

掲載日:2019年1月15日生産性向上

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近年、IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、人工知能(AI)などにおける著しい技術の発展により、産業構造や国際的な競争のあり方が大きく変化してきています。

2018年6月、政府はこれらの変化に対応するため、主に中小企業の生産性を高める目的で「生産性向上特別措置法」を施行しました。本稿では、減税と生産性向上のメリットをかね備えた制度である「生産性向上特別措置法」について解説します。

生産性向上特別措置法の目的は中小企業を支援すること

少子高齢化、IT技術の不活用、設備の老朽化、従業員のエンゲージメントの低下、長時間労働などを原因とする生産力低下に対応し、生産力の向上を通じた経済成長を図るべく、政府は「生産性革命」を政策の一つに掲げています。

さらに、この「生産性革命」を実現させるための方策として、新たな情報技術を活用したビジネスに対する規制面での対応はもちろんのこと、「企業間でのデータの共有を行うための環境整備」「ベンチャー企業への投資」「既存事業再編の促進」「中小企業の生産性向上の後押し」などの必要性を指摘しています。

生産性向上特別措置法とは

そのうえで政府は、国内産業の生産性を短期的かつ集中的に向上させることを目的に、2018年度から2020年度までの3年間を「生産性革命・集中投資期間」と位置づけ、生産性向上特別措置法による中小企業への支援措置を講じています。生産性向上特別措置法の主な措置事項として、つぎの3点があげられます。

  1. プロジェクト型「規制のサンドボックス」
    革新的な技術やビジネスモデルの実証実験について、主務大臣が認定することで参加者や期間を限定し、既存の規制にとらわれることなく実証が行える環境を整備します。
    *サンドボックス:政府による新事業支援のため、法規制を一時的に停止すること
  2. データの共有・連携のためのIoT投資の減税など
    データの共有・連携を行う取り組みを認定する制度を創設し、こうした取り組みに用いる設備などへの投資に対して、政府は減税措置等の支援を行います。
  3. 中小企業の生産性向上のための設備投資の促進
    中小企業の「生産性革命」の実現のため、政府が市町村の認定を受けた中小企業の設備投資を支援します。

生産性向上特別措置法によって中小企業が得られる2つのメリット

上記のうち、中小企業は、「データの共有・連携のためのIoT投資の減税など」によって減税措置を、「中小企業の生産性向上のための設備投資の促進」によって固定資産税の減免措置を受けることができます。下記でそれぞれの詳細を見ていきます。

IoT投資によって30%の特別償却または3%の税額控除

IoTの進展によりデータの流通量が著しく増加しているにもかかわらず、国内産業におけるデータ活用は十分とは言い切れない現状を鑑みて、政府は、これからさらに各産業での競争力強化や社会課題解決に向けたデータの利活用を推進する必要があるとしています。そこで、企業同士が互いに連携を行うことを目的に、データの収集・活用などを行っている民間事業者を支援するため、IoT投資における減税政策を打ち出しました。

たとえば、手作業で良品と不良品を判別している企業が、ベルトコンベアを流れる不良品を自動で識別できるロボットを導入したり、AIによって集積したデータから学習して判別の精度を向上させたりするしくみなどがIoT投資にあたります。さらに、商品の生産工程における自社の販売データと、運搬業・製造業などの他社のデータとを連携させるようなデータ共有システムなどを導入すれば、企業は作業数や残業時間を減少できるうえ、在庫データをリアルタイムで共有することで大幅な効率化をもくろむことができます。

このようなデータの共有・連携のために必要となるシステム、センサー、ロボットなど、IoT設備投資を行った企業は、30%の特別償却または3%の税額控除(賃上げをともなう場合には5%)の優遇措置を受けることができます。

この措置を受けるためには、「革新的データ産業活用計画」を策定し、認定される必要があります。

固定資産税の減免で中小企業向け設備投資を支援

生産性向上特別措置法にはIoT設備導入の促進のほか、中小企業における設備の取替投資を支援する側面もあります。政府は、国内中小企業における所有設備の老朽化が、国際的な競争力低下につながることを懸念し、中小企業が生産性の高い新設備を取得した場合に軽減税率を適用することを定めました。

この制度は企業が市区町村から認定を受けた「先端設備等導入計画」に基づき、該当する新設備を導入すると、設備に係る固定資産税の課税標準が3年間にわたってゼロ~2分の1の間で市町村が定めた割合に軽減されるというものです。

新たなビジネスモデルを目指し、制度の活用を

生産性向上特別措置法によって、中小企業による先端設備投資の導入が一層進んでいき、その過程において新たなビジネスモデルが創出される可能性もあります。先端設備を導入することのコストと、享受できる税務上のメリットを専門家と十分に協議したうえで、制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
(記事提供元:株式会社ZUU)

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