米国税制改革の日系企業への影響について
掲載日:2018年6月14日海外関連情報
- 2018年1月1日より、米国ではレーガン政権以来32年ぶりの大幅税制改革「Tax Cuts and Jobs Act」が施行済み。
- 法人税率の恒久的な引き下げ、海外配当益金不算入制度、海外留保所得にかかる強制みなし配当課税、固定資産の即時償却等の導入により、グローバル展開する日系企業のオペレーションに影響が出る可能性があります。
法人税に係る主な改正点の概要
今次税制改革におけるトランプ政権の主な狙いは、(1)米国多国籍企業の競争力向上、(2)米国内の投資促進、(3)米国内の雇用促進
①連邦法人税減税
改正前/改正後 | 増税/減税 |
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最高税率35%/ |
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②固定資産(動産)取得時の一括償却
改正前/改正後 | 増税/減税 |
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MACRS(修正加速度償却)適用/ |
– |
③海外配当金益金不算入
改正前/改正後 | 増税/減税 |
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外国法人からの配当金は米国で課税(外国税額控除により二重課税を排除)/ |
↘ |
④[新設]強制みなし配当課税
改正前/改正後 | 増税/減税 |
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海外留保所得に対する課税 |
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⑤[新設]税源侵食防止規定(BEAT課税)
改正前/改正後 | 増税/減税 |
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(課税所得+【米国外関連者への税源侵食的支払い(ロイヤリティ、利息、保証料等)】)×10%が法人税額を超過した分を課税 |
↗ |
⑥CFC*の定義拡大(*米国税法上の特定外国子会社)
改正前/改正後 | 増税/減税 |
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米国法人が10%以上の株式を保有している兄弟会社/米国法人が株式を保有している兄弟会社 |
↗ |
想定される在米日系企業への影響
- *赤字が想定される論点(①~⑥の番号は上の表の各改正項目番号との関連を示す)
短期的な論点
- 税務インパクト測定
(強制みなし配当課税、繰延税金資産など) - 税制改革に基づいた決算開示対応
(決算への影響の説明責任) - コントロールできるインパクトの調整
(控除前倒し、益金後倒しなど) - 強制みなし配当課税支払いの手当て
(予定納税期限:決算期末~3ヵ月半以内)
中長期的な論点
- 米州組織再編
(米国統括設立、CFC回避など) - 製造拠点、R&D拠点の米国内移転によるサプライチェーンの再編
- 米国外からの借入、保証、支払いロイヤリティの抑制
- 国外留保利益還流にともなう自社株買い、借入圧縮など
- *本資料のご活用に際しましては、お客さまご自身の判断のもと、必ず弁護士、税理士、公認会計士等の専門家にご相談のうえ、お取り扱いください。また、本資料は2018年4月3日時点の法令等に基づき作成していますが、今後の法令改正等により変更となることがあります。
当初作成:2018年4月