タックスヘイブン対策税制の規制強化について
掲載日:2018年5月30日海外関連情報
- 2017年度税制改正において、タックスヘイブン対策税制が強化され、外国関係会社の2018年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。
- 近年、中堅・中小企業においても海外進出が身近となる中、海外子会社を含めた税務リスク管理の重要性が高まってきております。
タックスヘイブン対策税制とは
一定の外国法人の所得を、その株主である内国法人の所得に合算課税する制度。海外子会社を利用した租税回避の抑止を目的としたもの。
2015年10月、経済協力開発機構(OECD)が主体となり発足した「BEPS(税源侵食と利益移転)プロジェクト」において、多国籍企業の租税回避への対応が加盟各国に求められる中、日本においても税制改正が実施された。
主な税制改正ポイント
①対象となる海外子会社の範囲拡大
- 〈改正前〉
- 現地国の租税負担割合が20%未満
(適用除外基準による一部合算除外あり)
- 現地国の租税負担割合が20%未満
- 〈改正後〉
- 現地国の租税負担割合が20%未満
(経済活動基準による一部合算除外あり) - 現地国の租税負担割合が20%以上30%未満の場合で、ペーパーカンパニーや過大な受動性所得を有する法人
- 現地国の租税負担割合が20%未満
②課税所得の対象範囲の拡大
- 〈改正前〉
- 「資産性所得」として、持分割合10%未満の株式配当や有価証券の譲渡損益、債券利子、債券償還差損益、特許権等の使用料 ほか
- 〈改正後〉
- 「受動的所得」として以下のように範囲が拡大
- 【追加】受取利子、有価証券の貸付、デリバティブ取引損益、外国為替差損益、異常な所得 ほか
- 【拡大】持分割合25%未満の株式配当や有価証券の譲渡損益
- 「受動的所得」として以下のように範囲が拡大
③外国関係会社の定義の見直し
- 〈改正前〉
- 内国法人による直接および間接の株式保有割合が50%超である外国法人
- 〈改正後〉
- 上記に加え、実質的に支配関係が認められる外国法人
想定される税務リスク例(*)
推定課税への対応
国税当局が“対象会社がペーパーカンパニーでないこと”や、“経済活動基準を満たすこと”を明らかにする書類等の提示または提出を求める場合
国税当局が定めた期間までにその提示または提出がないときは、これらの基準を満たさないものと推定され、合算課税の対象となるリスクあり
2017年度税制改正により対象となる主要国・税率
- (*)株式会社AGSコンサルティング資料を参考にみずほ銀行にて作成
- *本資料のご活用に際しましては、お客さまご自身の判断のもと、必ず弁護士、税理士、公認会計士等の専門家にご相談のうえ、お取り扱いください。また、本資料は2017年9月26日時点の法令等に基づき作成していますが、今後の法令改正等により変更となることがあります。
当初作成:2017年9月