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従業員間コミュニケーションをどのように高めるか

掲載日:2020年8月17日人材戦略

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企業や団体の人事に関し調査・研究を行っているHR総研の調査結果によると、「社内のコミュニケーションに課題がある」と答えた企業は8割、そして「コミュニケーション不足は業務の障害になる」と感じている企業は6割以上にのぼるそうです。

従業員同士のコミュニケーションが活発化すると、お互いに知恵を出し合うことによる生産性の向上や、会社へのエンゲージメント(愛着心)が高まることによる離職リスクの低減などが期待できると考えられています。本稿では、従業員同士がコミュニケーションを取りやすくなる施策を他社事例とともに紹介します。

従業員間コミュニケーションを高めるポイント

従業員間コミュニケーションにおいて重要なポイントは以下の通りです。

  1. 1.従業員間の理解を深める仕組を作る(公式なコミュニケーション)
  2. 2.雑談できる場を設ける(非公式なコミュニケーション)
  3. 3.ビジネスチャットなどのツールを活用する

1. 従業員間の理解を深める仕組を作る(公式なコミュニケーション)

違う業務や部署の従業員間でコミュニケーションが図れるような制度を設けることも、コミュニケーションの活性化につながるといわれています。

あるシステム開発企業では、社員が別の部署で働く「シャドーイング」という制度を設けています。2~3ヵ月の間の数時間程度ですが、部署を横断した社員の交流を促すことで、新しいビジネスチャンスが生まれたり、他の部署の優れた取り組みを自分の部署に持ち帰ったりといった動きにつながります。「シャドーイング」を経験した社員は、社内に様々な仕事があることを知り、自身のキャリアを描くことにも役立っているといいます。

佐賀県を中心に事業展開する結婚式場運営企業では、朝礼、昼礼、終礼と1日3回も全員が参加するミーティングを開催しています。昼礼では、発表者が見習いたい行動を示した人に感謝の言葉を述べると、全員が拍手するという機会を作っているとのことです。このような発表の機会があると、発表者は他の従業員の行動に注意を払うようになり、また、褒められた人はやりがいを感じるようになるようです。このように、従業員同士がお互いを認め合う風土を築いています。

2. 雑談できる場を設ける(非公式なコミュニケーション)

従業員同士で意見交換や議論が交わされている環境は、企業へのエンゲージメントにつながり、イノベーションを生む土壌となります。それぞれが置かれている状況や心境を理解し合うことで、メンタルヘルス維持やストレス解消をもたらし、離職率の低下をもたらすと考えられているようです。従業員たちが普段から互いの業務を把握し、情報を共有していることは、結果的に違反や不正の発生を防ぐことにもつながるともいえるので、コンプライアンス(法令順守)の観点からも好影響をもたらすでしょう。

ある家具チェーンでは、毎週金曜日の午後3時にお茶会を開いています。オフィス内のダイニングキッチンに従業員が集まり、持ち寄ったお手製のデザートやお菓子を食べながら、世間話をしているとのことです。そして20分ほどしたら、三々五々、各自の業務に戻っていきます。
ただそれだけのことですが、様々な効果が生まれているといわれています。社内が明るくなる、一体感が生まれる、普段話す機会の少ない他部署の人と面識ができる、ちょっとした打ち合わせであればこの場で済んでしまうなど、業務の効率化にも役立っているようです。

3. ビジネスチャットなどのツールを活用する

効率的に社内コミュニケーションを活発化させる手段として、社内SNS(交流サイト)やビジネスチャットなどのツールを活用する方法もあります。複数のメンバーが直接会って話すのは時間的・物理的な制約がありますが、これらのコミュニケーションツールはネット環境やパソコンやスマートフォンなどがあれば、いつでも手軽に進捗確認や情報共有を図ることができます。複数の人間に手軽に同時に文字情報が送れるので、「伝言ゲーム」のように人づてで正しく情報が伝わらないトラブルを防ぎやすいといわれています。履歴が残るので、過去のやり取りや進捗を時系列で確認することも可能です。

京都府に本社を置く部品設計・製作の企業では、社員全員にタブレット端末を配布し、業務用チャットサービスを導入しています。顧客からの発注情報や仕様などに関する情報を営業社員が受け取ると、関係する社員全員にチャットで送付し、図面などの画像情報も送っています。このようにすることで、効率的に情報共有が図れるだけでなく、先輩社員からのアドバイスもすぐに得られるため、知識やスキルを伸ばすのにも役立っているということです。

なお、「デジタルネイティブ」と呼ばれる若い世代は、問題なくオンラインでコミュニケーションを取ることができるかもしれませんが、馴染みの無い社員がいる場合は研修等を取り入れてフォローしていく必要があります。

近年多くの企業が取り組んでいる働き方改革の結果、テレワークやコアタイムなしのスーパーフレックスタイム制など多様な働き方が広がっていくことは、従業員同士のコミュニケーション機会を減らしてしまう側面があります。その意味でも、ビジネスチャットなどの活用により、公式・非公式のコミュニケーションを増やすような施策はますます重要になるでしょう。

以上のように、従業員間コミュニケーションを高めるには様々な方法があります。上記ポイントを参考に、ミーティングの開催やツールの導入といった、自社にあったコミュニケーション施策を考えてみてはいかがでしょうか。

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–net21(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)」内の記事「経営ハンドブック(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/org/employee_comm.html)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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