ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

経営者必見!「若手社員定着」に効く3つのポイント

掲載日:2020年5月15日人材戦略

キービジュアル

企業にとって、「従業員のリテンション(確保・定着)施策」は重要なテーマであり、これが将来を左右するとさえいわれています。実際、採用市場において求職者有利の状況が続き、新卒で人材を確保するには一人あたり50万~150万円ものコストがかかり、人材紹介会社経由で社員を採用すれば、年収の3割ほどを手数料として支払わなければなりません。

ただし、このように多大なコストをかけて採用しても、1年も経たずに転職していくことが少なくないという現実もあります。厚生労働省の調査によると、新規大学卒業者が1年以内に離職した割合は11.4%で、3年以内となると32%(2016年3月卒)にも達しているのです。

さらに、「離職者が多い」となれば企業ブランドを損なう恐れもあり、他の社員の転職を誘発したり、人が抜けたしわ寄せで残った社員の業務量が増えたりといった悪影響も想定できます。
このように、これからの人事戦略を考える上で、社員の「定着施策」は欠くことのできない重要なパーツといえます。
本稿では、若手社員定着に効く3つのポイントをご紹介します。

「信頼できない会社」は社員に見限られる!?

人材の流出を防ぐには、まず原因を知る必要があります。
内閣府の『平成30年版「子供・若者白書」』によると、若手社員が離職する理由の1位は「仕事が自分に合わなかったため」で、2位が「人間関係が良くなかったため」、3位は「労働時間、休日、休暇の条件が良くなかったため」だとあります。

労働時間や休日、休暇については働き方改革の推進もあって改善に取り組む企業が増えていますが、業務との兼ね合いで改善が難しい場合も少なくないはずです。社員の希望通りに仕事を与えていては事業が回らないでしょうし、上司との相性が合わないからといって異動させていては業務と人員配置のバランスなどがとれなくなってしまいます。
それでは打つ手なしかというと、そうではありません。社員に「この会社にいたい」と思ってもらうためにできることはあるのです。

社員、特に若手が「定着する要素」には、3つのポイントがあるといわれています。

1つ目は「会社(経営層)に対する信頼感」です。会社が社員との約束事を守り、情報をオープンにして、社員の実績を正当に評価してくれるかどうかということです。
この要望に応えるため、売上や利益、内部留保などの経営情報を全社員に公開している企業もあります。また、ちょっとしたことですが、社長室を廃止したり、常に扉を開けておくなどして、経営者が社員との間に壁をつくらないよう努力している企業もあるのです。
短期間で株式上場を果たしたIT企業では、社員自身が自分を理解してくれていると考えるメンバー数名を評価者に選んで、その人たちからの評価で給与を決める制度を取り入れるなど、「360度評価」から、さらに一歩進んだ評価制度を採用している企業もあります。

「成長への実感」を与えて社員の居場所をつくる!

2つ目のポイントは、「成長できるという実感」です。
これは、育成制度の充実や資格取得支援、重要プロジェクトへの若手登用などがオーソドックスな方法ですが、最近では、月に1度のペースで「1on1面談(上司と部下の1対1面談)」を実施するような会社も出てきました。
この「1on1面談」で肝心なことは、その場で業務の進捗状況や数値目標を確認するのではなく、社員が「どう成長したいのか、どうなりたいのか」に焦点を当てて話し合う場にすることです。
成果などの話になると「評価につながるのでは」と警戒して社員が本音を明かさなくなりがちですが、面談が「あなたの成長を会社として応援するため」のものだと理解してもらうことが大切です。キャリアを話し合う場で「なぜ、今この仕事を経験してもらっているのか」を説明すれば、「仕事が合っていない」という不満を軽減することもできるでしょう。
また、定期的に「1on1面談」を実施することで、社員の希望に沿った育成計画を立てられるだけでなく、社員にとっては「自分のことをしっかり考えてくれている」という安心感にもつながると考えられます。

また、「自分を見てくれている」という感覚は、3つ目のポイントである「自分という存在が認められている(必要とされている)という実感」にも結びつきます。
「せっかく仕事を頑張っているのに誰も認めてくれない」、「つらい思いをしているのに誰も声をかけてくれない」。こういった孤立感から「会社に自分の居場所はない」と社員が転職するケースが少なくないのです。
このような状況を改善する方法の一つにメンター制度がありますが、より気軽な方法としてチャット機能のあるグループウェアを導入する企業が増えています。日常的に、部署の壁を越え、社員同士コミュニケーションが取れることで、結びつきは強固になっていきます。上司には言えない悩みをチャットで人事に相談するなど、人間関係の悩みも密なコミュニケーションによって軽減することができるでしょう。

導入ではなく「使い方」。これを経営者が決める!

ただ、既に制度や仕組み、ツールを導入しているのに、社員の定着がうまくいっていないという企業が多くあります。その理由を検証してみると、企業の風土と、導入した制度や仕組み、ツールが合っていなかったというケースや、導入したはいいがその機能を十分に活用できていないといったケースが数多く見受けられます。
つまり、「導入の意図」と「活用法」を、社員に浸透できていないことに問題があると考えられます。

経営者ならば、まずはこの問題点を解決していきましょう。
制度や仕組み、ツールの導入にあたっては、それらを単に導入するだけでなく、「なぜ導入する必要があったのか」、「導入することで社員がどのように変わることを期待しているのか」、「制度やツールをどのように活用すればいいのか」を、まずは経営者自身が理解することが必要です。そして、社員すべてがそれらを学び、理解し、活用できる環境を設けた上で、整え、稼動させていくことが大切です。
これらを同時に展開していくことによってこそ、社員の定着という成果に結びつくといえます。「若手社員の定着」は経営者によるところが多いと自覚し、社員への「導入の意図」と「活用方法」の定着に取り組んでいきましょう。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

その他の最新記事

ページの先頭へ