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採用の常識が変わる!「リファラル採用」

掲載日:2020年3月18日人材戦略

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近年、求人難による人手不足を解消するために新たな採用手法が注目され始めており、その内の一つが「リファラル採用」です。
リファラル採用とは、社内の従業員から紹介してもらった友人や知人などを対象に採用選考を行う手法です。この手法が昨今、大企業からベンチャー企業まで、様々な企業から注目される理由は、求人媒体への掲載や人材紹介会社を通じての採用方法と比較して、低コストで質の高い人材を確保できることに加え、人材の定着率も高いためです。
一方で、リファラル採用を導入する際には注意すべき点もあります。本稿では、昨今の中小企業における求人難の実態、それを解消するリファラル採用のメリットとデメリット、リファラル採用を正しく理解し、導入する方法について解説します。

中小企業が抱える求人難の実態

求人難が生じている理由は以下の点にあると考えられます。

労働人口の減少

総務省の国勢調査によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の約8,700万人をピークにして減少の一途をたどっており、2017年には約7,600万人まで減少しています。今後、さらに労働人口は減少する見通しです。

国内の採用競争が激化

厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(平成30年8月分)について」によると、 2018年8月期の公共職業安定所(ハローワーク)における有効求人倍率は、1.63倍と高水準です。つまり、1人の求職者に対して1.63社の求人募集があるということを示しており、現在はいわゆる売り手市場となっています。雇用情勢は大幅に改善している一方で、企業にとっては人材の取り合いになりかねず、人手不足が深刻化しつつあります。

上記のような労働人口の減少や採用競争の激化が求人難を助長し、深刻な問題として頭を抱える中小企業が増えているようです。

リファラル採用のメリット・デメリット

リファラル採用のメリット・デメリットは以下の点があげられます。

メリット

  • 採用後の定着率が高い
    企業の社風を理解している従業員が自身の友人や知人といった個々のネットワークを通じて候補者を募るため、従来の採用と比較してミスマッチによる退職の割合が低い傾向にあります。また、入社後に問題が起きても、紹介した従業員が悩みの相談を受けたりフォローしたりすることができるため、早期定着も期待できます。
  • 専門性の高い人材が確保できる
    従業員と似た経歴・スキルを持った友人や知人などにアプローチをすることができるため、一般的な求人方法と比較して、効率よく専門性の高い人材確保が可能です。
  • 採用コストを削減できる
    従来の採用活動で発生していた説明会の会場費や求人広告の掲載費、エージェントへの依頼費用などが発生せず、従業員へのインセンティブなどのみで済むので、低コストで採用活動することが可能です。

デメリット

  • 採用トラブル時における人間関係の悪化
    万が一、企業の採用担当が従業員から紹介された友人や知人を不採用にした場合、企業側と従業員の関係が悪化してしまう可能性があります。
  • 似たタイプの人が集まりやすい
    リファラル採用は、従業員の友人や知人を採用するため、近い年代・同じスキルや価値観を持った人材が集まる傾向にあります。近い価値観を持つ人材の採用を続けることによって、集団浅慮(グループシンク)*1に陥り組織の意思決定に影響が出る可能性があります。採用担当は、入社後の影響も考慮しながら人材配置などを検討する必要があります。
  • 紹介者の退職によるモチベーション低下
    リファラル採用は、紹介者と一緒に仕事をしたいために入社する従業員が大半を占めています。万が一、紹介者である従業員が退職した場合、紹介されて入社した従業員のモチベーションが低下してしまうリスクがあります。リファラル採用した社員の長期定着率を上げるためにも、既存の従業員のケアやマネジメントも必要です。
  1. *1集団浅慮(グループシンク):集団のメンバーが意見の統一に熱心になることによって、多様な行動の評価や少数派の意見の表出が妨げられる現象。

リファラル採用の導入方法

リファラル採用の流れと、中小企業の導入事例を紹介します。

1.募集する人材と採用人数の決定

リファラル採用を行う準備段階として、a)募集期間、b)今回求める人材、c)採用予定人数を明確にします。また、求める人材については、必要なスキルや実績、資格などの要件および年齢層など、なるべく具体的にしていく必要があります。

2.紹介してくれた従業員との取り決め

リファラル採用で、採用が決定した際の紹介者へのインセンティブなどの取り決めをしておきます。万が一、金銭的インセンティブを従業員に付与する場合、職業安定法の第40条(報酬の供与の禁止)に触れてしまう可能性があり、就業規則の変更などが必要になるため、社会保険労務士などの専門家に相談すると良いでしょう。

3.従業員への声かけ

募集する人材を具体的に説明し、社風に合う人材の紹介を依頼します。また事前に、紹介してもらっても不採用になる可能性がある旨を説明して、紹介者に十分に理解してもらう必要があります。

4.面接

面接から採用の流れは、通常の採用時の方法と変わりません。

5.採用・紹介者へのインセンティブ付与

採用が決定し、入社日が確定してから、紹介者へインセンティブを付与します。

次に、中小企業の導入事例を紹介します。
イギリスなどの欧州向けに骨董品をeコマース(電子商取引)で販売する小売業のI社では、ハローワークなどの求人掲載での採用手法に加え、リファラル採用での人材獲得に力を入れています。
eコマースの事業は、サイト運営をするためのITスキルに加え、多言語で対応できるスキルが求められるため、通常の採用方法では求める人材がなかなか獲得できず、苦労していた中でリファラル採用を始めました。
リファラル採用を始めてからは、若手の従業員が専門学生時代の後輩や第二新卒の友人を紹介してくれるようになったようです。彼らは実際の現場で働く立場として、現場・企業が求める人材を把握出来ているため、紹介されて入社した人材も、社風への馴染みも早く、定着率も高いことをI社社長も実感しているとのことです。

リファラル採用はあくまで採用手法であり、メリットもあれば当然デメリットもあります。当該メリットとデメリットを確りと理解・把握した上で上手に活用できると良いのではないでしょうか。

本コンテンツは中小企業・小規模事業者ビジネス創造支援ポータルサイト「ミラサポ~未来の企業★応援サイト(https://www.mirasapo.jp/index.html)」内の記事「採用の常識が変わる!「リファラル採用」で質の高い人材確保を (https://www.mirasapo.jp/column/00114/20181227_69379.html)」を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

当初作成日:2018年12月27日

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