ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

人材育成と生産性向上を実現する「タレントマネジメント」のポイント

掲載日:2020年3月5日人材戦略

キービジュアル

経営環境の変化やグローバル化、労働人口の減少が進む日本において、いま「タレントマネジメント」が注目されています。
2019年4月には働き方改革関連法も施行され、企業では、国の定める働き方改革を実現しつつ収益を高める施策が急務となっています。タレントマネジメントは、そうした企業の課題を解決へと導く切り札ともいわれ、企業規模にかかわらず経営課題の一つとして有効と考えられています。
本稿では、タレントマネジメントの重要性や、働き方改革と生産性向上の両立を実現する運用のコツをご紹介します。

タレントマネジメントとは

「タレントマネジメント」とは、従業員が持つ能力・資質・才能やスキル、経験値などの情報を一元管理し、戦略的な人材配置に役立てたり人材育成を行ったりする、マネジメント手法です。
1990年代、当時から人材の流動が激しかったアメリカにおいて「優秀な人材の定着・育成」を生産性の向上につなげるべく導入されました。
経済のグローバル化が加速し、企業は日々激変する経済環境に迅速かつ的確に対応するためにも優秀な人材の定着・育成が必要となってきています。従来の人材マネジメント手法では、従業員のタレント性を可視化しておらず「現状どんな人材が居るのか」「どんな人材が必要か」といったことが明確に見えてこないため、日本でも昨今注目され始めています。

タレントマネジメントが生み出すメリット

タレントマネジメントでは、従業員に対して理想的なキャリアパスや人材開発メニューを提供し、自らのキャリアの実現を支援することに重点を置きます。
そのため、タレントマネジメントを取り入れると、従業員の能力や才能、特性といった「タレント性」がつまびらかになり、企業は経営戦略の実現に向けて最適な人材を最大限に活用する“適材配置”を展望でき、目標達成のために多大なメリットをもたらすと考えられます。また、経営戦略に必要な人材像に近い従業員を見つけやすくなり、より貢献度の高い人材=次世代リーダーへの育成にも役立てることができるでしょう。
さらに、一人ひとりの目標に応じた評価軸が設けられ自身のキャリアデザインに即した育成サポート、従業員のモチベーション向上を通じて、優秀な人材の発掘や流出を防ぐことも可能になるといえます。「この職場で働きたい」という従業員が増えることで職場環境もよくなり、生産性をさらに高めることにもつながるでしょう。
具体的には、タレントマネジメントの導入によって以下のような効果が期待できます。

  • 人材情報の"見える化"
    タレントマネジメントでは、業務経験や配属履歴だけでなく、スキル、資格、性格、志向、嗜好などを可視化して一元管理します。自社にはどのような人材がいるのかが明確になり、優秀な人材を見つけ出しやすくなります。また、現在どの部署にどのような人材がいるか、組織のパフォーマンスも可視化でき、業務の特性と人材特性の合致度合いなども検証することができます。
  • 適正な人材配置によるパフォーマンスの最大化
    タレントマネジメントでは、人材情報をもとに業務との適性を判断し、根拠に基づいた人材配置を行いやすくなります。各々がもつ得意領域やスキルを活かせる配置を全社規模で行えば、人材のパフォーマンスを最大化することも可能でしょう。新事業など新たな事業展開を行う際にも、必要な能力を有する人材を選出し、最適なプロジェクト編成を展望できます。
  • 中長期的な人材育成・人材開発
    タレントマネジメントは、人材情報をもとにした研修やトレーニング計画など人材育成計画の整備にも役立ちます。目標設定によるパフォーマンス測定、評価に基づくモチベーションアップなど、社員のモチベーションを維持し、優秀な人材の流出を防ぐ「キャリアデザイン」設計も可能になるでしょう。
    また、企業の中核を担う"次世代リーダー"の育成にも活用でき、「経営目標達成のため、従業員にどのような役割を担ってもらうのがベストか」を総合的な視点で捉え、将来を見据えた育成計画を立てやすくなります。
  • 優秀な人材の採用と定着(離職防止)
    従業員を適材適所に配置することは、彼らのパワーを最大限に活かすだけに留まりません。その成果を適正に評価することで、彼らの業務に対する意欲をさらに引き出すことにもつながり、結果として優秀な従業員の離職を防ぐことにもなるでしょう。
    また、人材情報を分析することで自社に不足している人材領域を可視化し、現有する人材で補えない場合は、業務領域を絞って採用活動を行う等のアクションにもつなげることができます。
  • 一人ひとりの生産性向上
    適材配置が可能になると、従業員も自身の能力を最大限に発揮しやすく、存分に実力を発揮することができると考えられます。仕事に対して適正な評価を得られれば、自信にもつながるでしょう。さらに、本人も能力や業務経験を確認することができるので、足りない業務経験や今後必要になる能力など、自身を俯瞰的に見つめる機会を得ることもでき、積極的に能力を伸ばしたり開発したりする意欲につなげやすくなります。
    このように個人のモチベーションを活性化することができると、一人ひとりの生産意欲が高まり、業績アップへとつなげることができるのではないでしょうか。

タレントマネジメントを実現するための運用ポイント

では、これからタレントマネジメントを導入する場合、どう運用すればよいのでしょうか。
初めてタレントマネジメントを導入する場合は、以下の4つのポイントをしっかり押さえて進めることが重要です。

1.目的・人材要件を明確化し共有する

タレントマネジメントは、人事戦略と経営戦略の両方に関わるものです。たとえ優秀な人材がいても、彼らの能力を活かす組織・仕組みがなければ、充分なパワーを引き出すことはできません。
まずは「経営や戦略にどう活かしたいのか」「導入することで何を実現したいのか」を経営層はもちろん、現場となる各部門の管理者まで、明確に共有しておくことが肝心です。
そして、目的を達成するためにはどんな人材が必要か、"理想の人材像"となる人材要件を明らかにします。また、決めた目標に対して、取り組み対象となる部署や責任者の選定もしておくと良いでしょう。

2.現有の人材データをしっかり整備・分析する

企業の方向性や⻑期戦略に最適な人材配置、評価、処遇、育成、新規採用などを行うにも、まず現在どのような従業員がいるかを正確に把握しなければなりません。
従来の評価データでは、タレントマネジメントとして評価する項目が不足している場合もありますので、必要に応じて新たな評価軸を追加したり面談を行ったりして、詳細な個人データを収集しましょう。
データが整備できたら、「求める人材がどの部署にどのくらい存在しているのか」「算出された割合は自社の経営戦略上において充分なのか」などを分析し、目的に合わせた「活用」「開発」「育成」などの対象別に分類しましょう。

3.従業員育成プランを作成する

人材データの分析結果を基に、育成候補となる人材を抽出したら、人材要件やモデルとなる従業員とキャリアを比較検討しつつ、個人に合った研修や教育プログラムを設定します。育成プランは、短期で結果がでるものではないため、⻑期的な視点で育成計画を検討しましょう。
また、タレントマネジメントの目的や人材要件を基に、効果指標を設定し、評価測定・フィードバックの方法も検討し、本人やマネジメント側とも共有しておきましょう。本人が自分で目標設定を行えば、評価測定にも公平性が与えられ、本人のモチベーション向上にもつなげやすくなります。

4.従業員育成プランをPDCAサイクルで運用する

対象となる人材が着実に人材要件を満たすモデル像に近づけるよう、各部署の協力を得ながら、セミナーや研修も含め長期的な視点で育成に取り組む社内環境を整えるなど、育成プランをPDCAサイクルで取り組むようにしましょう。

タレントマネジメントをうまく運用するためには、必要な人材情報を適切に管理・活用することが必要となります。最近では、従業員のスキルや経歴を一元管理できるタレントマネジメントシステムもありますので、自社が果たしたい目的や課題、運用面での使い良さ、利用者の範囲などを検討し、自社のタレントマネジメントに合った最適なものを選ぶとよいでしょう。
タレントマネジメントは、長期的な視点で企業成長に貢献することが期待されますので、人材の力を高め、個々のパフォーマンスを経営に活かせる環境を作っていくことが大切です。

本コンテンツは株式会社オービックビジネスコンサルタントが運営するサイト「OBC360°(https://www.obc.co.jp/360)」内の記事「タレントマネジメントとは?目的やメリットと進め方のポイント(https://www.obc.co.jp/360/list/post96)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

当初作成日:2019年11月23日

その他の最新記事

ページの先頭へ