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定着率を高める幹部教育とは

掲載日:2019年12月5日人材戦略

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IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)などデジタル化の進展で、企業経営を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。そのような環境下、状況を総合的に判断して最適な経営判断を下すためには、社長を支える経営幹部の役割が増しており、ワンマン経営からチーム経営への転換が必要になるでしょう。

経営者が経営幹部や従業員と理念を共有することで、経営幹部が「使命感」を持ち、能力を発揮できるようになれば、結果として定着率の向上にもつながると考えられます。本稿では、経営幹部を育てて定着を促す方法について説明します。

幹部を育てて定着を促す為のポイント

ポイントは以下の通りです。

  1. 1.経営理念を共有し、ビジョンを明確にする
  2. 2.経営を学ぶ機会を提供する
  3. 3.コーチングを通じて、傾聴・対話力をつける

1.経営理念を共有し、ビジョンを明確にする

幹部や幹部候補生の定着率を高める最善の方法は、自社が魅力的で「この会社で働きたい」という気持ちを強く持ってもらうことに尽きるでしょう。人が働く理由は、必ずしも金銭的な待遇だけではなく、自社で働くことを通じて、人の役に立っている、社会に貢献できるといった「使命感」も大事な要素になります。経営理念やビジョンを共有することで、会社に対する従業員のロイヤルティが高まっていくと考えられます。

まずは、会議や研修などの場を通じて、社長自ら経営理念に基づく会社の展望を語り、幹部と共有すると良いでしょう。「他社に移って成績で評価されるより、この会社の中で共に成長していきたい」と思ってもらえれば、多少の収入が増えるからといって幹部が会社を去るような事態を招くケースは少なくなるでしょう。

そして次に、何年後には売上高をいくらにする、数年後の上場をめざす、看板商品やサービスのシェアを伸ばして業界を変えるなどといった具体的なビジョンを掲げたうえで、そのための施策を打っていく、というように経営理念を実現するためのビジョンを明確にし、幹部に伝えましょう。施策を遂行するなかで、経営幹部も従業員も目標に近づいている手応えを感じることができれば、定着率は高くなっていくのではないでしょうか。

2.経営を学ぶ機会を提供する

有能な幹部には、早くから経営意識を持ってもらうことも重要です。経営者の視点で幹部がモノを考えるようになれば社長にとっては頼もしい存在となり、長い目で見れば後継者の育成にもつながるでしょう。

そのためには、幹部が経営を体験する必要があり、経営戦略立案を共に行ったり、社内の各部門の現場を経験してもらうということが考えられます。
とある食品メーカーでは、将来の幹部候補生である30~40代の役職者を、2~3年に1度のペースで、5つある事業部の枠を超えて異動させているようです。秘書室のメンバーも同様であり、秘書室で仕事をすることで、社長を始め経営層の考え方や会社のお金の流れなどを学ぶことができます。このようにして、会社経営の実態と将来性を体感させる教育を現場で施している企業もあるようです。

3.コーチングを通じて、傾聴・対話力をつける

幹部教育のもう1つの視点として、定着率を高める部下の育成や指導ができる幹部の養成があります。

若年者が退職する理由として、労働時間や賃金などの待遇面のほか、人間関係があげられます。人間関係を良くするためにはスムーズなコミュニケーションが必要になるため、職場で一緒に仕事をするリーダーには、コミュニケーション力、つまり傾聴・対話の能力が求められるでしょう。

ところが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の『「人材マネジメントのあり方に関する調査」および「職業キャリア形成に関する調査」結果』によると、部下や後継者の指導・育成力(傾聴・対話力)が管理職に不足していると6割以上の企業、正社員ミドルマネジャーが指摘しています。これでは、従業員の定着率は高まらないと考えられます。部下が辞めれば部署の負担は増し、幹部にとってもストレスになってしまうことからコーチングスキルの習得はこの悪循環を断つことを狙いとしてます。

しかし、聴く・話すという行為は、当たり前のこととしてなかなか意識的に教育・訓練をするべき技術として認識していない経営者が多いようです。そういった面もあり、相手から話を引き出していくコーチングの技法を学ぶことで、聴く・話すというコミュニケーションの基本を身につける再教育が注目されているようです。コーチングは、目標設定、目標達成、問題解決などへ導く手法なので、部下の育成や指導に様々な形で活用できるでしょう。

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–Net21」(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)内の記事「経営ハンドブック」(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/hr/retention_mgr.html )を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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