ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

会社にとって最適な後継者の選択と育成

掲載日:2019年12月26日事業承継

キービジュアル

事業承継を円滑に実施するためには、親族内承継、役員・従業員等への親族外承継のいずれの場合も、後継者を決め育成していく必要があります。「何をすればいいか分からない」と漠然と悩んでいるとたちまち月日が過ぎてしまい、後継者難で廃業を迫られる可能性も出てくるかもしれません。現状まったく手を打っていないのであれば、まずは、中小企業庁が用意している「事業承継ガイドライン」「経営者のための事業承継マニュアル」などから情報を得てみると良いでしょう。そしてそれから具体的な行動に移していきましょう。本稿では、後継者を選んで育てるポイントについてご説明します。

後継者を選んで育てるポイント

ポイントは以下の通りです。

  1. 1.承継候補者と引き継ぎ期間の計画を立てる
  2. 2.会社の将来展望とセットで考える
  3. 3.後継者教育で「意欲・覚悟」をもたせる

1.承継候補者と引き継ぎ期間の計画を立てる

まずは、後継者を選ぶ必要があります。候補を決める時期は「経営者のリタイア(退任)の時期」「後継者の育成期間」「自社株の移転に要する期間」「後継者のブレーン(側近)の育成期間」といった条件から判断しましょう。なぜなら、後継者が経営者として必要な能力を習得したり、後継者が経営権を維持できるように自社株を移転する作業には、少なくとも4~5年、長い場合では10年以上かかる場合もあるからです。

オーナー企業の場合、親族、とりわけ自分の子を後継者とするケースが多いのですが、そこで大切なことは、適切な時期に後継者であることを本人や従業員、取引先に伝えることです。本人に後継者であることの自覚を促すと同時に、社内や取引先に後継者候補として認知してもらう必要があります。また同時に、我が子がどのように従業員や取引先に評価を受けているかに耳を傾け、それを後継者教育に生かしていくことも大切です。

創業100年を超えるような老舗企業には、自分の子が学生のころから「いずれ後継者になります」と従業員や取引先に紹介している経営者もいるそうです。

2.会社の将来展望とセットで考える

近年、経営環境がグローバル化やデジタル化などの進展で激しく変化しており、現在のやり方を後継者が続けたとしても、会社が継続的に成長していくとは限りません。

後継者は、我が子でも親族でも従業員であっても、こうした経営環境の変化に対応できる経営能力を持つ人物であることが好ましいです。したがって、会社の現場を熟知しているだけでなく、これからの経済動向や技術開発などの変化も踏まえて、後継者を選択・育成していく必要があるでしょう。

また、経営者の子がまだ若い場合は、いったん幹部に会社を任せて事業を継続し、将来的に自分の子に承継させる計画を立てるといった取り組みも考えられるでしょう。

3.後継者教育で「意欲・覚悟」を促す

知識や技術、人間性などすべてを兼ね備えた人物が、理想の後継者像ですが、見つけるのはそう簡単ではないでしょう。そこで大事になってくるのが後継者教育です。このとき、実務だけでなく、企業理念や経営方針といった知的資産を教え込んでいきます。こうした過程を通じて、後継者は会社を承継することに対する意欲や覚悟が生まれてくるでしょう。

教育の方法には、社内と社外の2つが考えられます。

社内教育

後継者が学校を卒業したら自社で、経営者の下で教育します。そうすることで早い時期から、経営者の考え方や会社の文化などを直接教え込めると同時に、後継者の成長度合いをつぶさに見てとることができます。後継者にとっても、現場で働く従業員の気持ちを知ることは、経営にも役立ち、一体感の醸成にもつながるでしょう。
経営を学ぶには、実際に経営してみることが最も効果的です。新規事業の立ち上げを担当するなど、規模は小さくても構わないので、トップとしての責任感を醸成する場を提供すると良いようです。

社外教育

後継者が他社での勤務を経て、一定の経験を積んだうえで自社に入社するケースです。この場合、自社とは異なる考え方や手法を知ったり、異業種との人脈を構築したり、自社を客観視できるなど、広い視野を得ることが期待できます。社外の教育先としては、自社よりも大規模な同業他社や取引先を選ぶことが多いようです。その中には、金銭感覚と地元での人間関係の構築を狙って地元の金融機関を選ぶケースもあるそうです。期間は5~10年程度が一般的です。

【事例】職種にとらわれず、最適な後継者を選ぶ

エレクトロニクス機器の開発・設計・製造を手がける茨城県のある経営者が、事業承継を考え始めたのは50代半ばのときです。親族内には会社を引き継ぐ意思を持った人がいなかったため、従業員から選ぶことにしました。経営者の判断基準は「企業文化を理解している人物」でした。
社内を探したところ、企業文化を熟知し、指導力にも長けている適任者がいました。ところが、その人物はエンジニアで、打診をしましたが、「現場で働きたい」といったんは断られてしまいました。

しかしその経営者は、諦めずに説得を続け、2006年、その後継者候補を取締役に抜擢したそうです。また同時に、その後継者候補をサポートする立場の人材も選抜して配置し、次の経営体制の礎を築きました。
その後、2017年、後継者候補は、新社長就任を了承したようです。

このように、職種にとらわれず、会社にとって最適な後継者を選び、育成し、会社の承継を行うという判断も事業の継続には重要なポイントといえるでしょう。

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–Net21」(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)内の記事「経営ハンドブック」(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/succession/successor.html)を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

その他の最新記事

ページの先頭へ