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中小企業にも有効な大企業(上場企業)との企業提携について

掲載日:2019年9月9日事業承継

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一般的に、企業「提携」と「連携」の言葉の定義に関してですが、「連携」は協力して行動をともにする関係のこと、「提携」は「連携」よりも一歩踏み込んだ協力関係を意味します。

大企業間で提携や提携解消が行われると、新聞紙面上で「〇〇の分野でA社とB社が提携しました」「提携を解消しました」などと報道されます。上場企業であれば、提携にかかる報道により株価が変動する場合もあるなど、企業提携には、大きな影響力があると考えられます。本稿では、大企業(上場企業)との「企業提携」について説明いたします。

提携とは

「提携」の手法には色々ありますが、以下のように整理することができます。

図1 提携の類型

提携の類型

企業提携は主に、(1)契約書を交わすことで業務上の提携を行う場合、(2)出資などの資本関係を伴う場合、の2つに分類することができます。事業規模が違っても、対等の立場で利害を一致させ、目的に合った提携の形態を選択する必要があります。
一般的に、契約による提携(図1:業務提携)の場合は、大会社の事業部門単位との提携となり、資本移動を伴う提携(図1:資本提携)の場合は、上場企業では会計上のルールにより、その持ち分の割合によって開示等の必要があるケースもあることから、全社的な提携となるようです。
どのような形、手法で提携するかは自社の成長戦略を含めて考える必要があります。

図2 業務提携と資本提携の違い

業務提携と資本提携の違い

提携のメリット・デメリットなど

業務提携や資本提携について、一般的な特徴、メリット・デメリットを下記にまとめたので参考にしてください

表1 本ケースにおける提携のメリット・デメリット
業務(事業)提携 資本提携

特徴

  • 企業間の信頼関係を基に、共同研究開発や販売活動など、お互いの利益になる協力関係を契約する。
  • お互いの経営資源の不足を補完する、強みにさらに磨きをかける、コスト削減を図る等、シナジーの発揮を目的とする。
  • 一方的な資本受入れや資本相互持合いなど複数のケースがある。
  • 経営支配権を有しない程度(持ち株比率10%程度が目安)に提携先企業の株式を保有することを通じて、事業上の協力関係を築くケースと一定の経営権の取得をめざして資本を投下するケースがある。
  • 資本提携は業務提携よりも企業間の結びつきが強くなるのが一般的。

メリット

  • 上場企業の販売力などを活用することが期待できる。
  • 経営資源の補完が期待できる。
  • 契約内容の遂行に留意すれば良く、お互いの経営に対して独立性が保てる。
  • 提携解消が資本提携と比較して容易である。
  • 対等な関係が基本である。
  • 相手企業の開発・販売等に関する経営資源やネットワーク、ノウハウの提供が期待できる。
  • 独自で事業展開するよりも早期の事業立ち上げが期待できる。
  • 組織面、財務面の支援が期待できる。

デメリット

  • 温度差がある場合、企業間で意見の対立や主導権争いが起こることがある。
  • 責任の所在が不明確になる場合がある。
  • 提携解消のタイミングが不一致になる場合がある。
  • 開発や利益等の成果がみられないと、株主の立場から経営に対して意見される可能性がある。
  • 出資比率によっては経営戦略立案に対し、出資者の意向を退けることは難しく、機動的な経営がしにくくなる可能性がある。
  • 出資比率によって、内部統制、IFRS対応等の負担が増加する。
  • 出資比率によって、役員の受け入れが必要となる。
  • ノウハウ等の機密情報の開示が必要となる。

まず、「何のために提携するのか」提携の目的を明確にする必要があり、提携する範囲、目標、スケジュールなどを検討し、目的達成のためにどのような形態が良いのかも合わせて検討する必要があります。また、契約書を作成する場合は、必要な資金負担の割合や提携解消の条件・タイミング・負担割合などの事項を盛り込んでおくと良いでしょう。

資本提携の場合には、中期的な成長戦略と資本政策の策定も必要です。上場企業の一事業部の位置づけで存続を図るのか、IPOなどをめざすのか、経営権をどのように確保するのか、など短期間に様々な角度から検討する必要があります。
仮に経営権を確保するためには、議決権の3分の2以上を自社または自社の関係者で保有することが必須となります。
株価算定だけでなく経営戦略立案など判断の難しい部分もありますが、多角的に最良の提携方法を検討してください。自社だけで、判断が難しい場合、信頼のできる専門家に相談すると良いでしょう。

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–Net21」(http://j-net21.smrj.go.jp/)内の記事「ビジネスQ&A」(https://j-net21.smrj.go.jp/qa/org/Q1034.html)を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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