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“時間管理術”で伸びる人、沈む人

掲載日:2022年3月1日事業戦略

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社内ミーティングや取引先との打ち合わせ、部下との1on1や資料作成など、ビジネスリーダーには毎日やるべき業務がたくさんある一方で、新しい知識をインプットしたり、落ち着いて考える時間も必要です。「一月(いちげつ)往(い)ぬる二月(にげつ)逃げる三月(さんげつ)去る」という言葉がありますが、正月から三月までは、営業日が少ないこともあり、あっという間に過ぎてしまうでしょう。
本稿では、時間を有効活用するためのタイムマネジメントについて、押さえておくべきポイントをいくつかご紹介します。

スケジュールに余裕を持たせ、「時間の渋滞」を解消

多忙を極める経営者やリーダーの方々は、より多くの仕事をこなそうと、スケジュール帳を常にびっしりと埋めていないでしょうか。

「渋滞学」の第一人者である東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授によると、高速道路の渋滞を緩和するカギは車間距離を一定に保つことだといいます。
道が混雑してくると、誰もが少しでも前へ進もうとし、その結果、渋滞が悪化するというのです。

仕事の予定も同様で、効率を重視して一日の計画を目いっぱい詰め込むと、ちょっとしたアクシデントでその後の予定が崩れてしまいます。
例えば、思っていたよりも作業が面倒で手間取ったり、大事な顧客から突然の電話がきて話が長引いたり、急な案件が飛び込んできたりすることもあるでしょう。分刻みのスケジュールであるほど、一度ずれてしまうと修正が大変です。次の約束に間に合わない、締め切りや納期を守れないという事態につながりかねません。

こうしたトラブルを避けるためには、スケジュールに余裕を持たせることが大切です。
想定される所要時間の1.5倍を見積もっておくと良いでしょう。2時間で終わりそうな会議は、3時間みておく。1週間かかる仕事は、10日間ほどの予定を組んでおくのがお勧めです。

無駄ができてしまうように感じるかもしれませんが、バッファを設けておくことで、時間が足りなくなるという事態を防いでくれます。

特に、部下を抱えるリーダーのすべきことは、自分のタスクだけではないはずです。
もし手が空いたら、チーム内の業務進捗を確認し、フォローしたり、部下とのコミュニケーションに時間を使ったりすることができます。
経営者であれば、会社全体を見渡しながら、自社におけるビジョンやバリューを、今一度落ち着いて考えてみても良いかもしれません。時間が足りず、目の前の仕事に忙殺されていては、長期的な計画を練ることも難しいでしょう。

「優先順位のマトリクス」で効率アップ!

また、スケジュールを組む際には、優先順位を決めたほうが良いでしょう。
当たり前のようですが、時間に追われる中では、目の前の仕事に囚われてしまい、意外と優先順位付けができていない経営者やリーダーが少なくないでしょう。それでは効率が悪い上に、大事な仕事が後回しになってしまい、トラブルに発展してしまう可能性もあります。

自分のやるべき業務をリストアップし、1週間単位でのスケジュールに落とし込んでいくのが効果的です。
1週間は、仕事を漏れなく管理する上で、長すぎず短すぎない、ちょうど適した期間といえるでしょう。

スケジューリングの順番はもちろん、重要度の高い仕事から行います。その際、役立つのが「優先順位のマトリクス」です。
仕事を「重要性」と「緊急性」という二つの軸で、四つの象限に整理、分類します。
そして、「重要かつ緊急」→「重要性は低いが緊急」→「重要だが緊急性は低い」→「重要性が低く、緊急性も低い」の順で予定を組んでいくのです。

また、その日にしなければならないタスクを「ToDoリスト」で管理している人は多いかもしれません。
「顧客A社○○さんのアポ取り」「定例会議」「企画提案の資料づくり」「売上データの整理」、といった具合に、思いついたものから手帳やメモ帳に書いていくのが一般的です。

ただ、箇条書きのリストでは、優先順位が曖昧になってしまうことも多くあります。
夕方頃になって、手のかかる仕事が残っていることに気が付き、その日のうちに終わらないという事態も起きかねません。

そこで、「ToDoリスト」をつくる際にも、先ほどのマトリクスを活用します。重要性と緊急性で四つに分類し、優先順位をつけていきます。それぞれのタスクの所要時間も一緒に考えておくと良いかもしれません。
これで、どの業務から手を付けるべきかが明確になり、効率良く仕事を進めることができるでしょう。「ToDoリスト」は1日の予定だけではなく、週間や月間のスケジュールにも活用できます。

このように全体を整理し、優先順位を決めながら計画を立てることで、やらなければいけないことやその分量、各業務の締め切りも確認できるので、効率よく仕事を片付けていくことができるのです。
生産性もあがるので、セルフマネジメントの一環として、会社やチーム全体で実施するのも良いかもしれません。

仕事を任せて、自分の補佐役を作る

管理職は自分の仕事に加え、部下の指導や育成、組織全体のマネジメントもしなければなりません。
さらに、プレイングマネージャーとしての働きを求められるケースが増えている今、自身もメンバーの一人として、チームの目標達成に貢献しなければならず、多忙を極めるケースが多いようです。
プレイヤーとしての結果を出しながら、チームを導いていくことは、非常に負担が大きいでしょう。

そこで、より効率的に働くために、部下に仕事を任せることが肝要です。

プレーヤーとしての能力が高い人ほど、「自分でやったほうが早い」「自分の方が上手くできる」と考えがちですが、それでは忙しくなるばかり。新しい知識や情報をインプットする時間などが確保できず、部下の育成にも手が回らないのではないでしょうか。

また、自分にしか分からない業務内容が多くなると、仕事が属人的になり、苦労も増えます。
トラブルが発生したり、急な案件に対応しなければならなくなったりしたときに、助けを借りる相手がいません。そのため、遅くまで残業したり、休日返上で働いたりして自ら補うしかないのです。
もし、病気やケガで突然休むようなことになれば、チームや会社に迷惑をかけることになりかねません。

したがって、仕事を一人で抱え込まずに、多少不安があっても部下にどんどん振り分けていくべきです。そのうえで、自分はフォローに回るのが良いでしょう。
アポ取りやプレゼンの資料作りを任せたり、大事な取引先を部下に委譲したりすることには大きな不安を感じるでしょう。始めは教えなければならないこともたくさんあり、手間がかかるので一時的に忙しくなるかもしれません。
やはり自分で進めた方が良かったと思っても、そこは我慢が大事です。粘り強く育成し、自らの補佐役を作る気持ちで頑張りましょう。

部下は上司の助けを借りながら、難易度の高い業務に取り組むことで大きな学びを得られます。
初めてのチャレンジは成功体験につながり、それを積み重ねることで、新しいことに臆さず、積極的に挑戦するマインドが育まれていくのです。

仕事を委譲することは、後進を育てることにもつながります。そして、自分にしかできない、よりエッセンシャルな仕事に注力し、専念することができるでしょう。そうすることで組織としての能力値も高くなり、チーム全体の業績が上向いていくのではないでしょうか。

「80対20の法則」で上手な時間配分を

自分の仕事をメンバーに割り振っていく際には、「80対20の法則」を意識すると、より効果的でしょう。
これは、イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが提唱した、「結果の80%は全体の20%の原因から生み出されている」という理論です。

例えば、ビジネスにおいては「売上の80%は、上位20%の商品によって生み出されている」といわれています。
この理論に従うとすれば、すべての商品に対して平等に時間を割くのではなく、上位20%にエネルギーを多く注いだ方が、売上アップの可能性が大きくなるということです。

タイムマネジメントにも同じことがいえるでしょう。重要な二割の仕事にできるだけ集中できるよう時間配分を考え、残り八割は他のメンバーに割り振っていくということです。もちろん、「80対20の法則」は絶対的なものではありません。場合によっては「70対30」になったり、「90対10」や「60対40」になったりすることもあります。
しかし、まずはこのルールで自分の業務を仕分けていくことにより、仕事や時間管理の本質に気が付くことができるのではないでしょうか。

おわりに

経営者やリーダーが忙しいのは当然のこと。しかし、目の前の仕事だけをこなすのではなく、会社やチームの将来、部下の未来を考えることも責務です。だからこそ、限られた時間をいかに有効に使うかによって差がつくでしょう。
今回ご紹介した内容を活用して、自らのタイムマネジメントを上手に実施することが、ひいては組織全体の生産性をあげることにもつながり、更なる成長と導いてくれるでしょう。まずは自分で試してみて、そしてコツを掴んだら周りにも共有してみてください。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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