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掲載日:2021年3月10日

事業戦略

SDGsをイメージしやすくなる「5つのP」とは

キービジュアル

近年SDGsという言葉が浸透してきて、中小企業においても様々な取り組みがなされています。
SDGsには17の目標がありますが、まだ具体的なイメージが湧いていない人も多いかもしれません。
そこで本稿では、SDGsについて改めて解説し、目的や概念を分類することで実現を促す「5つのP」という切り口を紹介します。

  • *SDGsの概要や中小企業の取組事例については、以下、みずほスマートポータルの過去記事「なぜ、中小企業はSDGsに取り組むべきなのか?」を参照してください。

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/mizuhosmartportal/jigyosenryaku/topic_59.html

社会の変化に伴うSDGsの広がり

初めに、一部で「地の時代」から「風の時代」になったと例えられることもある、社会の変化についてお伝えします。

遡ると、産業革命により工業化が進んでから、世界は大量生産・大量消費の時代に入っていきました。社会全体や個人が、組織の伝統や固定概念、終身雇用といった、形あるものやお金を重んじる、またそれらを所有することで安定を求める時代であったといえるでしょう。

しかし近年は、情報や知識、人とのつながりやネットワークなどが重視されるようになり、「所有し、蓄積することを追い求める社会」(固定的・安定的)から、「シェア(共有)して循環させていく社会(流動的・革新的)」へと変わってきたといわれています。

そして、物事の考え方も固定概念を外し、クリエイティビティを発揮していくことが求められています。
折しも2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大により、働き方や価値観が変わったと感じる方も多いかもしれません。

このタイミングで、広がりをみせたのがSDGsです。
改めて、SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月、ニューヨークの国連本部で行われた国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」における中心的な考え方であり、国連加盟の193ヵ国が達成をめざす、2016年から2030年までの国際目標です。

現代の便利で豊かな暮らしは、大量生産、大量消費、大量廃棄のうえに成り立っているところが多く、2010年に世界自然保護基金(WWF)が発表した報告書によれば、「今のままの消費活動を続ければ、2030年には地球が2つ必要になる」ともいわれています。
資源問題以外でも、日本を含め、世界は貧困、気候変動、人種やジェンダー差別など、様々な問題に直面しています。

こうした待ったなしの状況下において、地球や人々の暮らしを持続可能とするために生まれたのがSDGsといえます。
このまま物質至上主義である「地の時代」の価値観で、皆が「もっと!もっと!」と自分たちだけが所有することを続けている限り、地球は持続していくことができないでしょう。

SDGsの観点からも、私たちは「シェアし、循環する社会=風の時代」への転換が必要不可欠だといえます。
SDGsとはまさに、「風の時代」を生きることになった人々に絶妙のタイミングで与えられた、世界共通のGoalであり、Valueであるのです。

SDGsに欠かせないワード「5つのP」とは

SDGsには17の目標がありますが、17の目標にはさらに、それぞれ具体的なターゲットが設定されていて、ターゲットの総数は169にのぼります。
例えば、以下のような目標があげられます。

目標1:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
1.1(目標1のターゲット1):2030年までに、現在1日 1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2(目標1のターゲット2):2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にあるすべての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。
・・・こういったターゲットが連なっていきます。

ここで、SDGsをイメージしやすくなるキーワードといわれる、SDGsの「5つのP」についてご紹介しましょう。
「5つのP」とは、以下の5つの頭文字を取ったもので、SDGsの目標をカテゴライズすることができます。

1.People(人間):貧困や飢餓をなくして、健康に、人間らしく生きていくために必要なこと

以下の目標が該当します。

  • 目標1:貧困をなくそう
  • 目標2:飢餓をゼロに
  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標4:質の高い教育をみんなに
  • 目標5:ジェンダー平等を実現しよう
  • 目標6:安全な水とトイレを世界中に

2.Prosperity(豊かさ):すべての人が格差なく、豊かで安心・安全に暮らし、自然と調和しながら経済や技術が発展していくために必要なこと

以下の目標が該当します。

  • 目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 目標8:働きがいも経済成長も
  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 目標10:人や国の不平等をなくそう
  • 目標11:住み続けられるまちづくりを

3.Planet(地球):海や森林などの天然資源を守り、生産・消費の携帯を持続可能なものにすること

以下の目標が該当します。

  • 目標12:つくる責任 つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標15:陸の豊かさを守ろう

4.Peace(平和):争いのない公正で平和な社会を実現することをめざすために必要なこと

以下の目標が該当します。

  • 目標16:平和と公平をすべての人に

5.Partnership(パートナーシップ):みんなが協力しあう。すべての国や企業、個人が協力・連携して、持続可能な世界にしていくことをめざすために必要なこと

以下の目標が該当します。

  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

記事冒頭に載せているSDGsのロゴと見比べていただくと分かりますが、アイコンの配列はこの「5つのP」にカテゴライズされた目標の順番通りになっています。
17の目標1つ1つも、この「5つのP」でカテゴライズして考えると、SDGsの全体像がイメージしやすいでしょう。

そして、これら17の目標と169のターゲットを一言で表している、SDGsのいちばん大切な理念が、「誰ひとり取り残さない」( No one will be left behind )です。
この一文こそが「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で最も重要な一文であり、SDGsの本質であるといわれています。

おわりに

本稿では、社会の変化ともに広がりをみせるSDGs の重要性と「5つのP」についてご紹介しました。
ターゲットが多くわかりにくいと思っていた方も、SDGsの「5つのP」という概念を用いれば、具体的なイメージがわくかもしれません。
本稿を参考にSDGsへの理解を深め、自分事として捉えてみましょう。

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