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悪質な「クレーマー対策」の心得、3つのポイント

掲載日:2020年11月24日事業戦略

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「企業や対応者に関係のない説教を延々と続ける」「法外な金品を要求してくる」「毎日、事実無根の電話をかけてくる」など、通常のクレームとは一線を画す“モンスタークレーマ―”は年々増えているといわれています。
これらは通常のクレーム対策が通用しないことも多く、受け答えを間違うと対応者自身の心身に支障をきたしてしまうこともあるようです。そこで本稿では、対応者、そして組織として知っておきたい理不尽なクレーム対応の心得を紹介します。

増加し続ける厄介なクレームへの処方箋とは?

一昔前と比べると、クレームの数は年々増加しているといわれています。インターネットやスマートフォンの普及により、誰もがクレームを入れやすくなったこと、消費者の地位や権利意識の向上、企業に対する不信感の増大など、その理由は様々なものが考えられます。
そんなクレームのなかでも対応が難しいのは、悪質なクレームです。例えば、言いがかりをつけて「慰謝料を払え」などと法外な金銭を要求する、あるいは単にストレス発散のために会社の業務を妨害しようと長時間、もしくは複数回、担当者を拘束する場合などがあるでしょう。
暴言や土下座の強要など、お客さまからの悪質なクレームや理不尽な迷惑行為を指す「カスタマー(顧客)ハラスメント」(通称:カスハラ)という言葉を耳にしたという方も多いかもしれません。
それほど、社会問題化している悪質なクレームに対して、対応者、そして組織はどのような心構えで対応すべきなのでしょうか?そのポイントを、3つご紹介します。

1. 個人ではなく、組織として対応する

理不尽なクレーマーに対しては、担当者がすべてを一人で抱え込まないよう、経営者や管理者は、担当者への声掛けや、対応を変わるなどの対応をすることが大切でしょう。
悪質なクレーム対応に日々個人で対応していると、精神的に追い詰められ、対応者自身が心を病んでしまい、休職に追い込まれてしまうというケースも少なからず存在するようです。
そうなると、企業や管理者が責任を追求されるという事態にもなりかねません。だからこそ、組織が一丸となって対応する必要があるといえます。

そのために大切になってくるのが、「情報共有」です。よくあるクレームに対して、その対応の基本方針をチームとして共有しておけば、誰が“バトン”を引き継いでも困ることはありません。対応者が変わっても、マニュアルに沿って、異口同音の対応を続けていくことができるでしょう。
例えば、「必ず音声記録を残す」「お金や商品でクレームを解決しない」「加害行為があれば警察に通報する」などと、組織としての方針を決めておき、それらを共有しておくことが大切だといえます。

担当者によって対応が異なると、企業としての評判を落とすことにもなりかねません。
「以前は商品を交換してくれたが、今回は交換してくれないのか?」「お詫びの品なんて以前はもらえなかった」などのように対応に差があると、顧客側に不信感が芽生えてしまう可能性もあります。
このような事態にならないためにも、組織としてどのようにクレーム対応するのか、共通認識を持っておくようにしましょう。

2. 解決案・代替案を提示せず、交渉を打ち切る

通常のクレーム対応であれば、最大限の誠意を見せて解決案や代替案を提示するのが定石です。しかし、そもそも相手が金銭授受や業務妨害が目的である場合、いくら親身になって解決策や代替案を提案しても、相手が引き下がることは少ないでしょう。それどころか、むしろ状況が悪化することすらあります。
例えば、早く解決しようと、「お詫びの印として別の商品をお送りします」などと安易に代替案を提案してしまうと、これに味を占めたクレーマーの標的となり、さらに様々な金品を要求されるという事態にもなりかねません。

そのため、悪質なクレームに対しては解決案や代替案はあえて提示せず、交渉を打ち切るということも大切になってきます。ただし、「丁寧に」対応することが必要不可欠です。
「弊社の商品をお買い上げいただきありがとうございます。大変申し訳ありませんがお客様への対応に、私どもは1時間以上も費やしております。ほかのお問い合わせのお客様にご迷惑をおかけしてしまいますため、申し訳ございませんがお電話を切らせていただきます」
というように、きっぱりと、かつ丁寧な言い回しで相手側の要求を断ります。このような言い回しも、チーム内で共有しておくとよいでしょう。

そのほか、「あえて放置する」という方法もあります。丁重にお断りを入れ、電話を切ったのち、再び電話がかかってきてもそれに出ないという方法です。その間にクレーマーが違う標的を見つけ、連絡がこなくなるというケースが意外と多いといわれています。

3. 対応する回数、時間を決めておく

ただし、いくら丁重にお断りしても、悪質なクレームは続く可能性があります。
同じ内容で電話をかけてくる、あるいは何度も窓口に訪れ、担当者を名指しで呼び出すなどのケースです。この場合は、組織のなかで対応する「回数の上限」を決めておくとよいでしょう。

例えば、「同じ内容の電話が1日に3回かかってきた場合は、対応を上司に代わってもらう」「5回目からは法的措置を検討していることを伝える」などと、ルールを設けておくのです。
「これ以上のお問い合わせは対応できかねます。法的措置を執るため、専門の部署に相談させていただきます」などと対応すると、悪質なクレーマーであっても引き下がる場合があるといわれています。

また、対応時間の上限も決めておくとよいでしょう。例えば、「30分経過しても解決の糸口が見えない場合は、対応を代わってもらう」などです。
その際に、電話対応の場合であれば「対応者が立ち上がる」、対面対応であれば「一度離席する」など、わかりやすいSOSサインを決めておくと、チーム内でいつでも対応を代わる準備をすることができます。

モンスタークレーマーは「常套句」で見抜き、3つのポイントで対処する

クレームの対応・対策で、心得るべき3つのポイントをご紹介しました。では、厄介なクレーマーとは、どのような言動から見分けることができるのでしょうか。大きな声を出す、机を叩くなど、分かりやすい行動もありますが、実は、クレーマーが良く使う言葉というものがあります。

それは、「マスコミやネット(SNS)に流してもいいのか」「誠意を見せろ」「こっちは客だぞ」といった、脅し文句や、上から目線の言葉だといえます。
これらのフレーズが会話のなかで頻出するようであれば、「通常のクレームの範疇ではないかもしれない」と疑ってみても良いでしょう。

このような理不尽なクレーム対応で時間を取られてしまうのは、通常のお客さまの問い合わせに対応する時間が削られるだけでなく、対応者や組織自体が疲弊してしまうことにもなりかねません。
大切な社員や職員、そして組織を守るためにも、3つのポイントを考えながら、会社としてのクレーマー対策を再検討してみてはいかがでしょうか。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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