ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

悩みが消える!“歴史・偉人”の言葉~武田信玄の巻~

掲載日:2020年10月19日事業戦略

キービジュアル

日々、組織を運営する企業経営者には、悩みごとが尽きないものです。そんなリーダーの苦難を打ち消すヒントは、歴史上の偉人から学ぶことができます。
本稿では、天才といわれた上杉謙信との激戦を繰り返し、織田信長や徳川家康といった多くの戦国大名から恐れられた武田信玄が残した“言葉”をご紹介します。
文武に優れ、強靭な家臣団を組織した、その卓越した手腕の一端を彼の名言から読み取っていきたいと思います。ぜひ、参考にしてみてください。

やりがい×評価×リフレッシュが、良い仕事につながる

戦国最強の武将の一人として、必ずといっていいほど取り上げられる武田信玄。諸説ありますが、生涯で自ら指揮をとった戦は70戦あまりあるものの、負けは数回しかなかったといいます。
また、領国経営においても才能を如何なく発揮し、「甲州法度」という法律を作ったことや、「信玄堤」という堤防を築いて洪水を防いだことは有名です。

このように戦争、治政共に秀でていた武田信玄は、現代の企業経営にも役立つ数々の名言を残しています。
そのうち有名なものの一つが、次の名言です。

「人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 仇は敵なり」

これは、武田信玄の逸話や軍学を記した『甲陽軍鑑』の一節で、ここでは、「適材適所を心掛ければ、人材は城にも石垣にも堀にもなる。また、人材をいたわる気持ちをもって遇すれば味方になるが、恨まれるようなことをすれば敵になってしまう」という、信玄の人材マネジメント術を伝えています。
20代で父・信虎を追放して家督を継いだ信玄(晴信)が、歴戦の猛者たちをいかにマネジメントしたのか、その基本的な考え方がうかがえる一節ではないでしょうか。

実際、信玄は現代の“福利厚生”に通じるような施策をいくつも実行しています。例えば、「信玄の隠し湯」です。彼は戦で傷ついた将兵を湯治、保養させるために湯治場として温泉を開発、公認しました。現代風にいえば、社員が利用できる“保養所”といったところでしょう。
さらに、「甲州金」も忘れてはいけません。信玄が領地である甲州で用いられていた金貨で、日本初の管理された貨幣制度だといわれています。信玄は、この金貨を袋に入れて戦場へ持っていき、手柄を立てたものにはその場で与えたそうです。まさに、成績優秀者への“報奨金”といえるかもしれません。

信玄が指摘するように、適材適所の人材配置を行えば、個々人が持てる能力を存分に発揮し結果を出しやすくなります。成果が出ればモチベーションが上がり、さらなる成果を求めて仕事に励むようになるでしょう。
しかし、働くばかりでは心も身体も疲れてしまいます。モチベーションを高く維持するには、やりがいを感じられる業務だけでなく、成果を正当に評価する制度や、たまには気分をリフレッシュできる職場環境が欠かせないということになるでしょう。

油断や驕りは、成功の敵となる

多くの従業員を管理して企業を成長させていくには、“人の心”というものを理解していなければうまくいきません。あたり前ですが、人は機械ではないため行動の質が喜怒哀楽ややる気、驕りといった感情に大きく左右されるからです。
その一端を教えてくれる信玄の名言があります。

「およそ戦というものは五分をもって上とし、七分を中とし、十分をもって下とす。五分は励みを生じ、七分は怠りが生じ、十分は驕りを生ず」

五分の勝ち方であれば、次も勝てる保証がないため、その戦の内容を吟味して改善策を模索します。しかし、七分の勝ち方をしてしまうと「同じ方法で次も勝てるだろう」という甘い考えが出てしまって、戦の内容を吟味する気持ちが薄れてしまいがちです。
そして、完全勝利ともいえる十分の勝ち方をしてしまうと、「自分は天才かもしれない」などと驕り高ぶり、相手をあなどってしまう可能性があります。

どのような戦であっても勝てる保証はないですが、勝ち方によっては、必ず行わなければならないはずの「次への備え」が疎かになることがある—それが人というものだと、信玄は理解していたのでしょう。

この名言は、経験したことを常に振り返り、自分なりに分析して改善点を模索することの重要さを教えてくれます。
例えば、プロジェクトが大成功すると嬉しさのあまり、メンバー同士でお祝いしただけで終わりがちです。しかし、たとえ成功したときであっても、そこから何がしかの教訓を見出し次につなげるためには、「成功をより確かなものにするために何ができたのか。何をする必要がなかったのか」を振り返って考えることが大切だということでしょう。

さらに、油断や驕りを戒める信玄の名言には、次のようなものもあります。

「もう一押しこそ慎重になれ」

物事を成し遂げるには、最後こそ、気持ちを引き締めてあたらなければならないという教えです。信玄自身、信濃統一まであと一歩というところで勢いに任せて進軍しましたが、北信濃の戦国大名・村上義清に敗れ、重臣や多くの将兵を失うことになりました。こういった経験から自分への戒めとして、この名言が生まれたのかもしれません。

ビジネスにおいても、成功まであと一歩というところで油断してしまい、足元をすくわれることがよくあります。視野を広く取り仕事を俯瞰して眺めるためには、ある程度の心の余裕は大切ですが、余裕と油断はまったくの別物です。
99%うまくいっていても100%に達しなければ成功とはいえないことがあるので、最後の最後まで気を引き締めて取り組む姿勢が重要だといえるでしょう。

少数意見にも耳を傾け、真実を見極める

人は、周りの評価というものを完全に無視できない生き物だといわれます。そのため、より多くの人に受け入れられる行動を選択しがちな人も多いでしょう。
しかし、多数意見が正しいとは限らないと信玄はいいます。

「百人のうち九十九人に誉めらるるは、善き者にあらず」

これは、人の評価を聞いたとき、100人中99人が誉めるからといって良い人とは限らないという意味になります。
99人の中には、「みんなが良い人といっているから、良い人なのだろう」と周りに流されている人が大多数含まれていて、必ずしも自分の本心、あるいは根拠のある意見を示しているわけではない。むしろ、周りに流されず、一人だけ違う主張をしている人物の意見にこそ、耳を傾けるべきだというのです。

信玄は、別に少数意見が正しいといっているわけではありません。人の上に立つ人物は、多数意見を安易に採用することなく、少数意見にもしっかりと注意を払う必要があることを伝えてくれています。
周りと異なる意見を表明するには、勇気がいるものです。周りのほとんどが自分と異なる意見の中、それでも自分の考えを貫くからには、それなりの根拠や信念があるはずです。

さらに、その意見というのが自分とは異なるものだった場合には、特に大切にするべきでしょう。
チームメンバーのほとんどが自分の意見に賛成しているとき、反対意見を聞くことは煩わしいことかもしれません。自分にとって痛いところを的確についている内容である場合は、特に目を背けたくなるものです。
しかし、ビジネスにおいては、反対意見の中にこそ、ミスを防いだりリスクヘッジにつながったりするヒントが隠されている場合があります。その点では、「クレームには成長のヒントがある」という考え方に近いものがあるかもしれません。

おわりに

今回は、信玄が残した言葉を紹介しました。信玄の言葉には、特に、人材マネジメントに関わることが多く、その発想は、現代のビジネス環境にも大いに役に立つはずです。
今後、これらの信玄の言葉を、経営と組織運営の参考にしてみてはいかがでしょうか?

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

その他の最新記事

ページの先頭へ