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企業価値を高める「理念経営」のメリットとポイント

掲載日:2020年9月7日事業戦略

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近年、企業の在り方として、企業の社会的責任や顧客満足、従業員満足などが求められるようになってきました。企業は単に利益を上げるだけでなく、法令を順守し、環境や社会に配慮し、ステークホルダーに対する姿勢を明らかにすることが、企業価値を高めるものとされています。
このような企業の存在意義や経営の目的を明文化するものが経営理念であり、経営理念を重視する経営手法を理念経営と呼びます。理念経営が徹底されている企業では、日常業務での優先順位がはっきりとしているため、従業員ごとに判断や行動がブレることが少ないです。また、社内の意思決定でも、共有する価値観が判断基準になるため、決定までの時間が早くなるなど、スムーズな経営が可能になります。経営理念に沿っている限り、経営陣の判断に対し、従業員が異を唱えることも少ないようです。本稿では、理念経営を策定する事のメリットとポイントを解説します。

理念経営策定のメリット

判断や行動の基準が明確になる

理念経営でよく取り上げられる企業が、世界的なホテルブランド、リッツ・カールトンです。同社の経営理念は「ゴールドスタンダード」と呼ばれ、その構成要素の一つである「クレド」とは、ラテン語で信条を表し、全てのスタッフが信条とする理念や使命、共通の価値観が詰まっています。ホテルの顧客対応では、従業員レベルで難しい判断を迫られることがあります。そんなときでも、「ゴールドスタンダード」に従って自発的に行動することが正しいとされています。

また、ディスカウントチェーンのドン・キホーテを展開する持ち株会社である株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、「いつの時代も、ワクワク・ドキドキする、驚安商品がある買い場を構築する」を経営理念の第二条に掲げています。この言葉の通り、同社の売り場づくりは、安い商品を整然と並べるのではなく、迷路のような店内で面白い商品を探す楽しみを提供することを狙いとしています。この経営理念が、ドン・キホーテのブランドおよびイメージづくりに貢献しているのです。

他にも、カレー専門店「Coco壱番屋」を展開する株式会社壱番屋の経営理念には、社是、ミッション、経営目的の3つがあり、その中の社是では「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」という言葉のみを掲げています。これは、笑顔を絶やさず、生き生きと働き、はっきり受け答えすることが行動の基本であることを全社員・全スタッフに浸透させるとともに、「気持ちのよい対応を常に受けられる」というイメージを消費者に伝えているのです。

なお、経営理念に基づいた判断・行動は、消費者・顧客との関係において効果を発揮するばかりではありません。経営陣による意思決定、部下指導、採用や人事考課においても有効です。意思決定までのスピード感が増すと同時に、従業員間での意識のズレによる摩擦も起きにくいからです。

経営に対する想いを引き継げる

理念経営の徹底は、事業承継でも効果を発揮します。先代経営者の感性に従って経営方針や組織運営がなされていた場合、承継者が先代のような経営を再現するのは難しいでしょう。同時に、従業員側も明確な方針がない中で、新しい経営者に対して素直に従えなくなるかもしれません。
しかし、経営理念を明確にした後で承継し、経営理念をそのまま踏襲するのであれば、先代と同じ姿勢で経営にあたるものと示すことができます。また、先代から引き継いだ幹部と新しい幹部も、経営理念が軸にあればコミュニケーションが円滑に進められます。経営者が代替わりしても、一貫した価値観を保持しやすいのが理念経営の強みの1つなのです。

理念経営を浸透させるポイント

理念経営を浸透させるには、第一段階として、経営理念に共感・納得してもらうプロセスが必要です。そのうえで、「経営理念に沿って意思決定する」ことを習慣化させると良いでしょう。
経営理念をまとめた冊子を設けている企業も多いようです。朝礼で唱和したり、その意味について経営者が伝えたりすることで浸透を図るのです。あるIT企業では、部署単位で読み合わせを実施し、内容について議論させることで理解を深めさせています。
経営理念を基にした行動を従業員に根付かせるには、まず経営者・管理職が実践することが重要になります。「経営理念の○○に照らして、この施策を実施する」というような伝え方を繰り返すと良いでしょう。また、あるベンチャー企業では、すべての会議室に経営理念が張り出してあり、経営理念に沿ったものであるかを意思決定において重視させているそうです。
一般的に、経営理念はミッション、ビジョン、バリューの3要素で構成されるといわれています。

  • ミッション:果たすべき役割・使命
  • ビジョン:将来のあるべき姿、中期的な目標
  • バリュー:活動の拠り所となる価値観や原則

このほかにも、クレド(信条)、社是、モットー、スローガンなども広い意味で経営理念の要素となるでしょう。企業によっていろいろな要素と組み合わせがあり、定型はないといえます。

上記ポイントも参考に、理念経営の策定を検討してみては如何でしょうか?

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–net21(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)」内の記事「理念経営(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/org/vision.html)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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