商品開発・市場開拓に活用できる情報源について
掲載日:2020年5月8日事業戦略
企業が新商品を開発したり新市場を開拓したりするときに、発想したアイデアが事業として成り立つかどうかを調べることが大切になってきます。しかしながら、提案者の思いつきや思い込みで商品開発や市場開拓を進めた結果、顧客の支持を得られずに撤退を余儀なくされるといった失敗をする企業も多いようです。
本稿では、自分のアイデアが事業化できるかどうかを判断する際に活用できる情報源について説明します。
商品開発・市場開拓に生かす情報を得るためのポイント
ポイントは以下の3点です。
- 1.過去に同じようなアイデアがなかったかどうかを確認する
- 2.売り場視察やネット調査で、顧客の嗜好を知る
- 3.展示会や見本市で新しいネットワークを構築する
1.過去に同じようなアイデアがなかったかどうかを確認する
自分では「画期的だ」と思っても、同じようなことを考えている人はいるものです。アイデアが浮かんだら、まずは、これまでに同じような商品やサービスがなかったのか、単に自分が知らなかっただけなのか、似たような商品やサービスがあったが市場に受け入れられなかったのかといった、過去の実態を確認しておきましょう。
こうした情報は、新聞や雑誌などの過去記事や市場動向調査会社の報告書などから入手することができます。
過去を学ぶことは、商品開発や市場開拓のヒントにもつながります。似たような商品やサービスが失敗した理由が分かれば、失敗した要因をなくすことで成功の確率は高まるといえるでしょう。
2.売り場視察やネット調査で、顧客の嗜好を知る
アイデアが顧客に受け入れられるかどうかは、売り場の視察も有効です。競合となりそうな商品やサービスを展開している現場に行けば、来店客が何を買っているのか、店舗が何を売ろうと力を入れているのかが分かり、今の売れ筋のヒントをつかむこともできるでしょう。
売り場の視察では、顧客の動きや販促物にも注意を払いましょう。来店客が、迷いなくカゴに入れているのか、商品を手に取って確認しているのか—。前者であれば、その消費者はその商品をいつも購入していると考えられます。後者であれば、ラベルのデザインを見ているのか、成分を確認しているのかなどもチェックし、どこに消費者が反応して購入を決めているのかを観察しておきましょう。販促物についても、自分たちが商品やサービスを投入した際に、どのように消費者へ訴求すればいいかのヒントになるはずです。
また、あえて異業種の売り場を見てみるのもいいでしょう。「こうした売り方を、自分の業界に持ち込んだらどうなるだろうか」という視点で考えることで、新たな発想につながる可能性が出てきます。
既に顧客を囲い込んでいるのであれば、「お試し会」のような形で実際に体験してもらう場を設けて、想定顧客の声・意見を集めることもできます。消費者目線を入れることで、企業では気づかなかった指摘が出てくるかもしれません。
新しい分野への進出を考えていて誰に尋ねていいのかが分からないのであれば、手軽に情報が得られるネット調査を利用することも選択肢の一つです。予算に合わせて、質問数やサンプル数を調整できるので、負担も少ないといえるでしょう。
3.展示会や見本市で新しいネットワークを構築する
多くの企業が集まる展示会や見本市もヒントにあふれています。たくさんの人が集まっている出展者のブースは、話題になる何かがあるはずなので、その理由を探っておくことも大切です。また、出展すれば、自分たちの商品やサービスの評価を来場者から直接、聞き出すこともできます。
実際に展示会をきっかけにヒット商品を生み出した事例を紹介します。
お菓子用容器の印刷を手がけるA社のヒット商品は、植木や花瓶、ワインボトルなどを包めば見る角度によって色彩が変化する、紙できたオリジナルのインテリア製品です。
もともとデザインに興味があった社長は、デザイナー作品の展示会で隣の市で活動するデザイナーと出会いました。展示会をきっかけにデザイナーと交流するようになったことで、見る角度で色彩が変化するというアイデアが生まれ、商品開発に至りました。
また展示会は商品の誕生だけでなく、売り上げの拡大にも貢献しており、インテリア・ライフスタイル展にA社がブースを出したところ、国内だけでなく、海外からも引き合いが入るようになったということです。
以上のように、新商品を開発したり新市場を開拓するときには、様々な情報源を活用して、自分のアイデアを事業化できるかどうかを判断してみましょう。
本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–net21(https://j-net21.smrj.go.jp/)」内の記事「経営ハンドブック(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/development/research.html)」を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。