ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

もう失敗したくない!広告宣伝の組み立て方とは

掲載日:2020年4月3日事業戦略

キービジュアル

「中小企業実態基本調査」(平成28年確報、中小企業庁)によると、近年、小売業やサービス業など、BtoC(対個人顧客)とよばれる業種で営業費用に占める「広告宣伝費」の割合が高くなる傾向にあります。言わずもがな、広告は顧客の購買行動を促す重要な要素であり、広告宣伝費は販売管理費の一定割合を占めるものですが、「専門外でよく分からないから」と外部業者に任せきりにしてしまう経営者の方も少なくないのではないでしょうか。本稿では広告宣伝の基本と組み立て方について解説します。

広告宣伝の基本ポイント

基本となるポイントは以下の通りです。

広告宣伝は販売戦略の重要な要素の1つ

販売戦略手法、フレームワークの1つに「4P」があります。これは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)を指します。広告宣伝はPromotionにあたり、苦心して作りあげた商品・サービスの最後の見せ場となります。広告宣伝を組み立てることは、いわば企業から顧客へ想いを伝えるプレゼンテーション作業といえるでしょう。

広告の基本形を知る

広告の考え方は、実は非常にシンプルで、「誰に」「何を」「どのように伝えるか」をこの順番で整理することです。
よく陥りがちなパターンとして、最後の「どのように伝えるか」から考えてしまうことがあります。例えば「ウェブサイトは作った方が良いのか」「デザインはどうしたらいいか」「いいキャッチコピーがないか」など、広告媒体や表現方法で行き詰まる方が多いようです。しかし、そもそもその商品・サービスが誰にどんな価値を提供できるか、すなわち、「誰に」「何を」伝えたいのかが整理できていなければ、どんな広告手法が効果的なのか、また、どんな表現が効くのかは判断できません。
例えば、高齢者と若者、家族と単身者では日常的に接する情報源は異なり、伝わるデザインやワードも違うでしょう。「誰に」が決まらなければ「どのように」を定めるのは難しいでしょう。

ターゲットの心を動かす価値とは

繰り返しになりますが、広告は、「誰に」「何を」「どのように伝えるか」という順で考えることが重要です。その「誰に」「何を」を考えるにあたっての手順を説明します。

ターゲットを具体化する

自社の商品・サービスを開発する際、その顧客についてどのくらい具体的にイメージできているでしょうか。
例えば、A社では、タブレット型の歯磨き剤を新開発し、広告の出稿を検討していました。その時、担当者が提示した当初のターゲットは、「外出先でも歯を磨きたい人」でした。
これは誤ってはいませんが、広告を出すときのポイントは、ターゲットをさらに具体化することです。その際に活用できるのが「セグメンテーション」になります。セグメンテーションとは「市場細分化」を意味し、同じニーズや性質を持つ人をグループ分けする、という考え方です。A社の場合、「外出先で歯を磨きたいニーズを持つ人」をグルーピングすると、「外回りが多い営業マン」や「出張で長時間移動するビジネスマン」「接客業の女性」などを想定することができるでしょう。
このようにターゲットをイメージしやすい形に細分化することで、それぞれのターゲットに合った広告宣伝の手法が明確になるとともに、次に考える「何を伝えるべきか」が絞りやすくなります。

ターゲットに刺さるメッセージを探す

「無難で特徴がない」「言いたいことを詰め込みすぎる」というような広告になってしまう原因の一つとして、ターゲットに刺さる商品・サービスの価値を考えられていないといったことがあげられます。言い換えれば、広告を組み立てる際に重要なのは、ターゲットが「欲しい」と思うようなポイントを絞ることです。
前述のA社の歯磨き剤は、当初は「日本初」「美白成分を配合」している点を押していました。しかし、ターゲットである忙しいビジネスパーソンにとっての真の価値、すなわち「欲しい」と思うポイントは、その商品を使うと、「他の歯磨き剤より、すばやく確実に口内ケアができる効果を得られる」ことであり、まずはその価値を最優先に伝えるべきと考えられます。このように、ターゲットに伝えたい提供価値を一言でまとめられると広告の核が決まり、制作を進行する際にメッセージがブレることが少なくなるでしょう。

タッチポイントを考える

設定したターゲットとメッセージを用いて、広告宣伝手段が多様にある中から、届けたい顧客へ「どのように伝えるか」について説明します。

一口に広告宣伝と言っても、多様な手段があります。一昔前は、新聞広告や折り込みチラシなどが中心でしたが、インターネットの台頭によりウェブ広告やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、さらには口コミや顧客レビューなど、顧客とのコミュニケーション手段は格段に広がっています。このように顧客が自社の商品・サービスの情報に触れる接点を、マーケティング用語で「タッチポイント」と言います。

効果的な媒体を選択するには、自社と顧客とのタッチポイントを探すことが重要となり、そのためには顧客像が明確でないと判断ができません。だからこそ広告を考える際は手段の前に「誰に」伝えたいか、というターゲットから整理することが重要になります。

例えば、長年米屋を営んでいるB社は、顧客が高齢化し売上も伸び悩んでいましたが、近隣に新築マンションが建ち始め、子連れの母親を見かけるようになったことに目をつけました。これまで電話で受け付けていた配達サービスにSNSを取り入れ、若年層でも注文しやすいよう整備し、チラシをポスティングした結果、思惑が的中し、若い家族層からも注文が入るようになりました。
この事例はターゲットに合わせた媒体を活用した好例であるとともに、もう1つのポイントがあります。それは、B社はチラシに「米1kgから配達できます」と大きく掲載したのです。ターゲットとした若い家族層はまだ米の消費も少なく少量で購入したいのではないか、と考えたからです。実際に購入者に聞くと「少量で配達してくれるのがありがたい」とのことで、彼らの提供価値が広告を通じて顧客のニーズに届いた結果となりました。

広告の基本はまず「誰に」「何を」伝えるかです。それはすなわちターゲットとニーズを把握することから始まり、自社の商品・サービスの中で、どこが彼らに刺さるのかメッセージを絞ることであり、ひいては、それがターゲットの心を動かし売上につながる肝となります。
これから広告宣伝を考える際は、ぜひ「誰に」「何を」「どのように伝えるか」を順番に整理してみると良いでしょう。

本コンテンツは中小企業・小規模事業者ビジネス創造支援ポータルサイト「ミラサポ~未来の企業★応援サイト(https://www.mirasapo.jp/index.html)」内の記事「売れて伝わる広告宣伝の組み立て方(https://www.mirasapo.jp/column/00099/20180523_68436.html)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

当初作成日:2018年5月23日

その他の最新記事

ページの先頭へ