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飲食店がつぶれるときの前兆とは

掲載日:2019年6月10日 事業戦略

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飲食店の廃業率は非常に高いと言われています。連日行列ができるような店がある一方で、開店して2年以内に閉店する店舗は半数、3年で7割が消えるという数字もあります。つい最近できたばかりのお店なのに、気が付けば別の店になっているということはよくあるものです。本稿では、つぶれるお店とつぶれないお店の違いを探っていきます。

料理が出るまでに時間がかかる

あなたは、料理が出てくるのをどれくらい待てますか。
雰囲気の良い高級店でゆったりとディナーを楽しむのであれば、それほど時間は気にしないかもしれませんが、時間が限られたビジネス街のランチタイムではそうはいかないでしょう。行き帰りの所要時間も頭に入れながら、食べたい料理の候補を絞り、その日に行く店を決める。お昼休みはだいたい1時間でしょうから、仮に並んで席が空くのを待ったとしても10分程度、オーダーから料理が出てくるまでも5分程度が限界になってきます。また、夜であっても、手軽さが売りのカフェや居酒屋では、10分から15分を超えると店員にオーダーが通っているかどうか、確認をしたくなりますよね。
どんなに料理がおいしくても、待たせる店にそうそう行くでしょうか。「待たせる店には行かない」と多くの人が分かっているのに、「料理が出てくるのが遅い店」は存在します。そういう店は、オペレーションが整っていない可能性が高く、経営が長続きしない要因の一つと言えるでしょう。

店の前に行列ができている場合にも注意が必要です。「なぜ行列ができているのか」によって、流行っているのか、つぶれる兆候なのかが分かります。サービスが行き届いていれば、店内に入ってからの待ち時間を極力減らすため、外に並んでいる間にメニューを見てもらったり、オーダーをとったりするものです。さらに、今何番目か、待ち時間がどの程度かなども伝えている店もあります。一方、何の対策もしない店は店内のオペレーションも悪く、前述の通り料理が出てくるのが遅いといったこともあり得ます。

また、スタッフがオーダーをなかなか取りに来ないため、時間がかかってしまうケースもあります。必要経費の中でも人件費は大きな割合を占めます。しかし、人件費が高いといってスタッフの数を切り詰めてしまうと、オーダーや会計といった基本的な業務が行き届かなくなります。オーダーをなかなか取りに来ない、何度言っても水が補給されない、レジが並ぶなど、お客さまの要求に応えられない店には、リピーターがつかないものです。

物件の入れ替わりが激しい

1年前はラーメン屋で、半年前にたこ焼き屋に変わったばかりなのに、今月に入ってもう閉店。「お客さんは入っているようだったけど、またつぶれたの」と思ったことはありませんか。このように店の入れ替わりが激しい物件の特徴は、人の目に留まりやすい一等地にあるということ。一等地ならつぶれることはないように思われますが、総じて賃料が高く、その多くが狭小物件だったりします。個人経営の飲食店は一般的に客単価が低いため、利益をあげるには席数を確保して回転を速くするのが鉄則ですが、狭小物件の場合は席数が限られるため、利益が出やすいドリンクやお酒などをあわせて提供するような業態にしなければなりません。
自分がやりたい店がこうした業態に合っていない、または、客単価・席数・回転率のどれか一つでも見積もりがあまいと、お客さまは入っているのに店は赤字経営ということもあり得ます。一等地ということにばかり目が行って、安易に契約をしてしまった店が陥りがちな失敗と言えるでしょう。

コンセプトが定まっていない

個人経営の飲食店は、商圏によって足元となるお客さまの母数が決まっています。つまり、リピーターを確保しなければ、継続経営はできないのです。お客さまにもう一度来店したいと思わせるには、その店ならではの個性が必要です。例えば、「お寿司もパスタもラーメンもあって、味は可もなく不可もなく」という飲食店は、もっと多くのメニューを安価で提供できるチェーン店に負けてしまうでしょう。「コンセプト」から試算がきっちりされていないと、競争にはなかなか勝てません。また、賃料が安く、競合店がないからと、郊外の国道沿いに世界のビールをそろえたパブをオープンしたらどうでしょう。メニューは凝っていても、車で来店する人にアルコールの提供はできないので、お客さまの母数は減ってしまいます。
このように素人でも分かる「コンセプトが甘い店」は、長くは続かないでしょう。

掃除が行き届いていない

当然と言えば当然ですが、不衛生な飲食店は存在します。古い店なら、テーブルが傷ついていたり、食器に年季が入っていたりすることはあるかもしれません。しかし、こうした経年劣化と不衛生は違います。掃除の手抜きは、スタッフの教育不足や管理が行き届いていないということの表れと言えます。

クーポンや割り引きを乱発する

オーソドックスな宣伝方法として、クーポンの配布や期間限定の割り引きはよく知られています。お客さまの立場に立てば、こうした割り引きはあるにこしたことはないでしょう。とはいえ、それは「たまに」あることで価値が高まっているわけです。有効な方法である一方で、違う見方をすれば誰でも思いつく販促です。経営がいよいよ危なくなってきたときに、集客を焦り急に乱発するなど、一発逆転を狙うような方法は危険な一面も。クーポンや割り引きは売上が減るわけですから、このような手法で簡単には経営は安定しないと考えたほうが無難でしょう。

SNSやウェブサイトの更新が途絶えがち

集客ツールの一つとして、今やウェブサイトは欠かせないアイテムです。看板メニューやパーティーメニュー、外観や内観、アクセス方法などを伝えるには有効な手段です。また、SNSの影響も見逃すことはできません。Twitterで日替わりランチの情報をつぶやく、Instagramで新メニューの写真をアップする、Facebookでオーナーのこだわりを紹介するなどすれば、店がぐっと身近になり、行ってみたいという気にさせられます。ただ、こうした更新はまめに行わないと効果が少なくなってしまいます。実際、時間と手間がかかるので、経営が傾いてくるとそこまで手が回らなくなるでしょう。以前はこまめに更新されていたのに急に更新が減ったという場合は注意が必要です。お客さまは情報をフォローする気がなくなり、足が遠のいていくかもしれません。

本コンテンツは株式会社USENが運営するサイト「canaeru」(https://canaeru.usen.com/)内の記事「飲食店が潰れるときの前兆をまとめてみた」(https://canaeru.usen.com/diy/p326/)を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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