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開業から3年で7割が閉店すると言われる飲食店…「おいしい」だけでは繁盛しない

掲載日:2019年4月22日 事業戦略

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飲食業界は、開業から3年で7割が閉店すると言われているぐらい厳しい業界です。料理がおいしくても「どの場所で何を売るのか」、これを見誤ると、成功の可能性が低くなってしまうそうです。それでは、成功の3割に入るにはどうしたら良いのでしょうか。

何を売るのか

飲食店を経営していくうえで具体的にどんな点に気を付ければ良いのか、まずは「何を売るのか」という観点から見ていきましょう。

「おいしい」だけでは繁盛店にはなれない

「おいしいものを提供していれば、最低でも半分はリピーターになってくれるのでは」と思う人もいるかもしれませんが、実際にはそんなに甘いものではないようです。飲食店では、初回の来店客がもう一度来店してくれる確率は、高くても4割程度と言われています。さらに初回来店から3回目に再来店してくれる可能性は2割程度だそうです。飲食店で提供するものはある種「おいしい」のが当たり前の世界であり、そこから先、他の店と差別化できる「何か」がないと、顧客のリピート率を上げることは難しいのが実際のところ。「自分が欲しいものより、相手が欲しいもの」を基準に、商品展開やサービスを考えると良いでしょう。

「おいしい」の前に考えること

飲食店経営者にとって、料理を作る技術も大切ですが、自分の店の魅力・強みを伝えていくことも大切です。繁盛している店の多くは、店の入りやすさや広告宣伝等の工夫を行っており、逆に「おいしい」を追求するがあまりに、そういったことまで手がまわっていない場合は、失敗に至ってしまう可能性が高いと言われています。
また、コンセプトが最後までぶれないようにすることも重要です。例えば、高価な食材を使った高級なフレンチの飲食店を始めて業績があまり優れなかった場合、業績を回復させるために、値段を下げてリーズナブルなフレンチを提供しようと考えるかもしれません。きちんとした信念に基づいてコンセプトを変える場合は大きな問題はありませんが、コンセプトを変えたことで「前の雰囲気の方が好きだったのに」と、従来のリピーターすら失ってしまうこともあるので注意しましょう。

どこで誰に売るのか

飲食店は「立地」が大事だと言われています。しかし、それは「駅前が有利で路地裏は不利」というような、単純な話ではないようです。では、飲食店経営では、具体的にどのような場所で飲食店を始めればいいのでしょうか。次に、「どこで誰に売るのか」という観点から見ていきます。

最先端を目指す店なら都市部

最先端の食材を使った最先端の料理がコンセプトなら、常にそうしたものにアンテナを張っている人が多い都市部が有利と言えるでしょう。賃料は高くつきますが、集客を考えれば一人当たりに掛かるコストが安くなるかもしれません。しかし、「予約がなかなか取れないような店は東京に多いから、自分たちも東京に進出すれば軌道に乗ることができる」といった考えはしない方が良いでしょう。東京に店舗を構えたからといって、必ず店が繁盛するとは限りません。
広告宣伝を積極的に行えば、開店して間もなくでもある程度の需要が期待できるかもしれませんが、飲食店は認識されるまでに時間が掛かるのが一般的です。高い賃料が負担となって、認識され始めた頃に資金が底を尽きてしまうこともあるため、ある程度自己資金が必要となるでしょう。

穴場の地方

新規参入者が多い都心では移り変わりが早いので、例え一時的に流行ったとしてもすぐに淘汰されてしまう可能性があります。一方、地方では東京で流行ったものが、少し遅れてブームになることがあります。その土地のニーズに合った商品にアレンジして出せば勝算があるかもしれません。しかし、そもそも穴場の地方は全体的な飲食店に対する需要が低いと言えます。外食に対して消極的な地域に店舗を構えてしまうと、都市部よりは賃料を抑えられるものの、需要という面では都市部を大幅に下回る可能性もあります。
例えば、リピーター率が4割という基準を参考にすると、地方で1,000人の来店があったとしても、2回目は400人に減ります。都市部では1万人の来店があったとしても、2回目は4,000人と数では上回ることになります。これは単純な計算ではありますが、人口が多く、仕事等で人の移り変わりが激しい都市部の方が、地方よりも需要が高いと言えるでしょう。ですが、その分競争率も高くなります。

体力とリスクヘッジ

他の業種と同様に、飲食店も事前の「事業計画」が大切です。ただ、スクールやセミナー等で習った通りに事が運ばないのも実情です。そういった時にどう対処できるかが、成功する鍵となってくるのかもしれません。最後に、「体力とリスクヘッジ」という観点から見ていきましょう。

やってみなければ分からない

いくら事前調査や市場分析をしても、初めから計画通りに上手くいくことの方が少ないでしょうし、軌道にのるまでには時間も掛かるものです。売り上げが少なくても3年間は店を維持できるよう、資金には余裕をもって臨むのが良いでしょう。とにかく始めてから分かることも多いため、しっかりと下調べをするとともに、資金の準備を行ったうえで開店しましょう。

リスクに対する事前の心構え

売り上げが予定通りに上がらなかったことを想定して、事前にいくつか代案を考えておくのも一つの手です。そうすれば、いざという時の軌道修正も可能になります。
また、店舗経営者が料理長で、自分以外に料理を担当する人がいないような場合は、大きなリスクを背負っていることになります。万が一体調を崩してしまうと、その日の売り上げが0円になってしまうだけでなく、予約のお客さん等がいた場合には店の信頼を失うことにもなりかねません。
いくら店が繁盛したとしても、それに合わせて売り上げも右肩上がりに増え続けるわけではありません。経営効率を上げるために人を雇ったとすると、経費が多く発生することになります。
また、いくら人を雇ったとしても座席数に限界があるため、いつかは売り上げが頭打ちします。そうなった時に店舗を増やすかどうかを考えなくてはならない等、様々な事態を想定しておくことが大切と言えるでしょう。

  1. * 本コンテンツは株式会社USENが運営するサイト「canaeru」(https://canaeru.usen.com/)内の記事「開業から3年で7割が閉店すると言われる飲食店…「おいしい」だけでは繁盛しない|特集:つぶれる店」(https://canaeru.usen.com/diy/p229/)を一部加筆・変更したものです。
    上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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