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飛躍への一手。新たな「協業」のカタチ

掲載日:2022年6月1日事業戦略

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近年、メインストリームだけでは、さらなる成長は難しいと考える大企業が、中小企業との協業に活路を見出す動きが広がっています。その中で、特に注目されているのが、大企業と中小企業によるオープンイノベーションです。これは中小企業にとって、大きく飛躍するチャンスでもあるでしょう。しかし、企業規模の違いによって、上下関係が生まれてしまうことも少なくありません。
本稿では、こうした協業に取り組む際、WIN–WINの関係性を実現するために必要とされることや、ビジネスパートナーを見つける方法をご紹介します。

他社にはない価値で、対等な関係を作る

「協業」とは、企業同士が連携して、ビジネスを行うことをいいます。なかでも、「オープンイノベーション」は、ここ数年で高い関心を集めるようになりました。
それは、あらゆる技術の発達によって、市場で求められる製品が多機能化したり複雑化したりすることで、一つの企業だけでは市場ニーズに合った製品を供給することが難しくなってきたからでしょう。

オープンイノベーションは、自社内だけではなく、他社や大学、自治体など、異業種・異分野が持っている技術やサービス、ノウハウ、データ、知識を取り込んで、革新的なビジネスモデル、製品、サービスの開発につなげるというものです。

大企業を中心に、オープンイノベーションを導入する動きは広がりを見せており、特に、中小企業などが有する革新的な技術やノウハウ、独創的なアイデアを活用し、新規事業の創出につなげようという動きが増えているようです。
この動きは中小企業にとって、自社のビジネスを拡大したり、新たな分野に進出したりするチャンスとなるなど、様々なメリットがあるでしょう。

例えば、中小企業が独自技術を生かして、新しい製品やサービスを開発しようと思っても、「ヒト・モノ・カネ」という経営資源を十分に確保できていない場合、研究開発に多大な時間がかかったり、場合によっては途中で頓挫したりするかもしれません。
そもそも、アイデアはあっても、実現するためのリソースが足りずに、着手できないこともあります。

外部の企業や団体と協業することで、資金や人材、設備などのリソースを活用することができるので、自社が有するイノベーションの種を、短期間に、かつコストを抑えて開花させられる可能性が高くなるのです。

また、自社の認知度やブランド力の向上も期待できます。
大企業との協業となれば、メディアに露出する機会が増え、自社の知名度が広がるでしょう。大企業に認められる力を持っているということで、社会的な信頼性も高まるのではないでしょうか。

その一方で、デメリットに注意する必要もあります。
一つは、独自技術やアイデアなどの情報漏洩リスクです。オープンイノベーションでは、自社の技術や研究内容などのリソースを公開し、外部の人材と協力してビジネスを進めていくため、技術やアイデアなどが社外に漏れる危険性が高くなります。

中小企業の中には、ニッチトップといえるような、高度な技術力を有する企業もあるため、情報漏洩は経営基盤に大きなダメージを与えかねません。
機密保持契約をしっかりと結んだうえで、情報管理は入念に行うべきでしょう。

もう一つは、協業相手と対等になれないという懸念もあるのです。
規模に明確な差がある二つの企業・団体における協業の場合、形式上は対等な関係であっても、規模が大きい方の意見が優先され、研究開発やビジネスの主導権を奪われてしまうことも考えられます。

中小企業が、豊富な経営資源や体力を持つ大企業などと対等な“パートナー”となるためには、他社では代替できないような、特異性を持つべきです。
ニッチトップといえるような、独自の技術やノウハウを持っていれば、それが価値になります。

ただ、現状、そうした技術やノウハウは、自社にはないと考える経営者もいらっしゃるかもしれません。
協業を見据えて、自社だけで、今、ないものを新たに創造することは、冒頭で述べた通り、なかなか難しいでしょう。

しかし、中小企業が持つべき特異性は、必ずしも、新しいものである必要はありません。
自社の核となる能力「コア・コンピタンス」は何かを十分に吟味し、それを、競合企業が真似できないレベルまで磨いていく方が、現実的です。
そのためにも、実際に自社製品やサービスを利用しているユーザーの意見を聞くことで、何を求めて使ってくれているのか、競合企業の製品やサービスとは、どのような点が違うのか、より精度の高い分析ができます。

コア・コンピタンスを見つけたら、そこに経営資源を集中し、圧倒的な競争優位になるよう、向上させていくのです。
これは、非常に勇気のある決断となるでしょう。経営者が覚悟を持って、意思決定をすることが肝要です。

部分的に協力し合う“企業アライアンス”

オープンイノベーションに限らず、協業には様々なものがあります。
代表的なものでは、業務提携や技術提携、資本提携など、特定の領域で協力関係を構築する、「企業アライアンス」があげられるでしょう。

例えば、ベンチャー企業や中小企業で、高度な技術力を持っているものの、営業力が弱いという場合、営業力の高い企業とタッグを組む業務提携が考えられます。
これによって販路が拡大し、自社の技術力をより広く周知させるとともに、事業拡大につながるかもしれません。

営業部分を請け負うパートナー企業にとっては、自社の営業ノウハウやリソースを活かして、さらなる収益アップが見込めます。
従来とは違う製品やサービスを扱うことによって、新規販売ルートの開拓にもつながるでしょう。

他にも、製造業であれば、年間における繁忙期と閑散期の設備稼働率に、大きく差がある企業もあるのではないでしょうか。
その場合、閑散期に自社の設備を利用して、他社の生産業務を請け負うことができれば、設備稼働率の向上、安定につなげることが可能になります。

異なる業界の企業と提携することで、新たなノウハウやスキルの獲得も期待できるでしょう。
高い技術力を持ちながらも、大手企業の下請けをメインとしている中小企業は少なくありません。
しかし、協業により、企業同士が互いの知見やリソースを共有することで、新たな発見があるのではないでしょうか。
そこから、新製品の開発や新規事業の創出へと、大きく発展していく可能性もあります。

一方で、アライアンスを行う際に注意しておくべき点は、丸投げにしないことです。
先に述べた業務提携の例でいうと、営業部分をただお願いするだけでは、製品やサービスの特性を深く理解しないままに販売を進めてしまったり、想定とは違う売り方をされることで、販売後のトラブルにつながったりすることもあるでしょう。
営業部隊としても、詳細が分からなければ、売りにくいかもしれません。
オリエンテーションやブリーフィングなど、製品やサービスに関する知識のギャップを埋めていく作業は必須でしょう。

また、オープンイノベーションと同様に、自社の技術やノウハウが流出する恐れもあります。
アライアンス契約を結ぶ前には、パートナーとして問題なく協力し合えるか、十分な話し合いと入念な調査を行わなければなりません。
特定領域での部分的な協業ですから、相手に依頼する業務に必要な、開示すべき情報と、そうではない情報を整理しておくのも良いでしょう。

“ビジネスマッチング”でパートナーを探す

ここまでで、オープンイノベーションや企業アライアンスについて、お伝えしてきました。
自社のさらなる発展のために、協業にチャレンジしてみようと思っても、提携するパートナーが見つけなければなりません。
しかし、自社の目的やニーズに合った、最良のビジネスパートナーを見つけることは、そう簡単ではないでしょう。

そこで、「ビジネスマッチング」のサービスについて、ご紹介します。
ビジネスマッチングとは、企業がビジネスパートナーを見つけようとする際に、その目的に合った企業を見つける場や、互いの需要を満たし合うことができる企業同士を結びつけるサービスのことです。

従来は、業界団体や大手企業などが主催する展示会や商談会、金融機関で行っているビジネスマッチングなどが一般的でした。
最近では、ウェブ上でビジネスマッチングを提供するサービスも増えているようです。

展示会や商談会などの対面型イベントに参加すれば、その場で多くの企業と直接商談することができるというメリットがあります。
ただ、開催日や開催場所が限定されたり、参加企業の規模や業種が限られたりするなど、幅広い業種の企業とのマッチングには適さない場合もあるでしょう。

ウェブ上で行えるビジネスマッチングサービスであれば、地域や時間、企業規模にかかわらず、幅広い企業同士の出合いが実現できます。
その反面、コンサルティング機能を持たないサイトだと、協業相手として信頼できる企業か、目的を達成できる実力を持っているか、自分たちで判断しなければならず、初めて協業する際には、少しハードルが高いと感じるかもしれません。

そうした場合には、金融機関のビジネスマッチングサービスを利用するのも有効な手段になるかもしれません。
金融機関は取引先として、豊富で幅広いネットワークを持っています。
そのため、自社と取引のある金融機関であれば、目的やニーズを伝えることで、最適な提案をしてくれるかもしれません。
第三者が介入することによって、双方にとって、信頼性を担保することもできるのではないでしょうか。

また、大企業が求めるオープンイノベーションにおいては、ニッチな分野で独自の技術やアイデアを有する中小企業を探しているケースが多いため、まずは自社の存在を知ってもらい、協業相手として選んでもらえるようにアピールすることが大切です。
日頃から、自社と取引のある金融機関の担当者に、自社の強みや特性をプレゼンテーションしておくことで、逆に、協業先を探している大企業との出会いがあるかもしれません。

おわりに

近年、ビジネスを取り巻く環境は、加速度的に変化しています。
消費者の行動も変わり、新たな市場ニーズや課題が次々に生まれている状況にどう対応し、いかに会社の成長へとつなげられるか、多くの経営者が頭を悩ませていることでしょう。

信頼できるパートナー企業を見つけ、対等な関係で行う協業は、新たな可能性を開拓し、イノベーションの創出、ビジネス拡大に資する、大きなチャンスとなるはずです。
そうしたメリットと注意すべき点をしっかりと理解し、ぜひ、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)
※上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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