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「キャッシュレス」を中小企業がどのように取り入れるか

掲載日:2019年9月24日対談企画

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この対談企画では、ビジネスや経営に対する考え方、課題解決に向けた取り組みなどを事業者の方々に伺い、中小企業のお客さまに対し、ビジネスのヒントを提供することを目的としています。

第6回は、カード決済の国際ブランド「Visa」を展開し、世界規模のペイメントテクノロジーを提供している、ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社の外山取締役と、みずほ銀行・半田(リテール法人推進部長)の対談を行いました。「キャッシュレス」をテーマに、これまで取り組まれたこと、また現在取り組まれていることについてお話いただいた内容をお届けします。
なお、みずほ銀行はVisaと協働し、中小企業・個人事業主のお客さま向けの決済ツール「みずほビジネスデビット」を発行しています。

「キャッシュレス」を活用して業務プロセスを改善するには

半田:まずは貴社がカードブランドとしてキャッシュレス時代をどう捉えているか、どのような取り組みをされているかをお伺いできればと思います。

外山取締役:キャッシュレスは、Visaが60年前にできた時からずっと手がけてきており、日本において丁度チャンスが来たなと感じています。もちろん2019年10月から開始する「キャッシュレス・消費者還元事業」のような、政府の後押しも追い風になっていますが、それよりも、個人消費者や企業といった世の中全体がキャッシュレスというムーブメントにも馴染みが深くなってきて、現金から電子決済へ動いてきていることが最大の追い風となっています。
ただ、個人消費者向け決済とは異なり、企業においては複雑な業務プロセスの中に決済が埋め込まれているので、業務プロセス全体の電子化の検討を進める必要があると考えています。
我々は決済ブランドなので中小企業の方々とは直接の接点はありませんが、多くの接点を持たれている事業者と一緒に進めていければと思っています。

半田:そうですね。中小企業においてどのように業務がなされているのかを把握した上で、キャッシュレスやペーパレスを組み合わせることで業務プロセスの改善につなげられるようにソリューションを開発し、提供することが大事だと感じます。

外山取締役:昨今、企業の購買活動もインターネットの普及によるデジタル化やペーパレス化が進展しており、インターネットを介して海外から調達するといったことが増えてきています。そうなりますと、今までのような現金や手形、小切手に代わる決済として、国際ブランドによるキャッシュレス決済の重要性が増してくると思っています。
また、働き方改革に取り組まれている企業も多いと思いますが、経費処理や会計処理に多くのエネルギーを使われている事業主の方も多いのではないでしょうか。カード決済を業務プロセスに取り入れることで、「1ヵ月で約7時間削減できた」といったようなお客さまの事例もありますので、具体的な事例を紹介していくことで、企業の省力化を進め、本来の業務に特化できるようにサポートしていきたいと思っております。

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ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社
取締役営業本部長 外山 正志氏
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株式会社みずほ銀行
リテール法人推進部長 半田 邦雄

半田:そうですね。我々がみずほスマートポータルでご紹介している利用事例でも、みずほビジネスデビットを利用することで経営をどのようにスマートにされたのか、より業務を効率化するコツといったものをご案内するように努めています。

外山取締役:人手不足を感じられている中小企業の方々も多いと思いますが、カード決済を利用することで経費精算の省力化につながります。また働き方が変わり、リモートワークをされる方が増えてくると、いちいち紙で経費処理をすることも難しいので、今までの経費処理や会計処理といったものをデジタル化していくことが大切だと思います。

半田:おっしゃる通り、リモートワークだと、経費処理のために領収書を送るよりもカード決済を利用して、経費精算事務を減らした方が便利ですよね。

外山取締役:一方で、カード決済を企業の業務プロセスに組み入れるとなると色んな反応があると思います。例えば、デビットカードでは、経営者がカードを利用するにはとても便利そうだけれども、口座残高からの引き落としができてしまうので、部下にカードを使わせることに心理的な障壁がある方もいらっしゃると聞いています。しかし、カード決済であるからこそ、リスクを減らして運用することが可能です。例えば、みずほビジネスデビットだと、カードを利用する度に利用通知メールが送信されたり、個々のカード毎に利用限度額をコントロールできたり。部下に権限委譲すること自体が経営者にとっては決断が必要ですが、権限委譲をすることで経営の合理化がどんどん進んでいくとも考えられます。

デビットカード決済で実現できること

半田:キャッシュレスが進展してきている一方で、法人決済の分野ではデビットカードは十分に認知されているとはいえず、まだまだ取り組む余地があると思っています。

外山取締役:法人決済においてクレジットカードは既にある程度認知されていますが、デビットカードはまだまだ途上ですね。ご存知でない方も多いでしょう。デビットカードの持つメリットと共に認知度を上げていく、という事も大事だと思っています。

半田:経費精算においてカードを利用すると、従業員の方々が実感できるようなメリットも多くあるのですが、「クレジットカードとデビットカードのどちらが本当にいいのか」といった議論をされることがあります。直接財の仕入れにおいては決済額が大きくなるので、利用限度額のあるクレジットカードよりも法人口座の残高の範囲内で決済ができるデビットカードの方が優れている部分もあると考えています。この点についてはどのようにお考えでしょうか?

外山取締役:B to B決済になると利用額の桁が違ってきますので、クレジットカードには利用限度額というネックがあるのは事実ですね。この点、デビットカードであれば法人口座の残高の範囲内で決済できるので、高額な決済も可能です。また、中小企業の方々でも外部から資金を調達されたり、補助金を受けたり、あるいは自身の持ち金で事業をされる方も多いので、恐らくキャッシュをお持ちの方は多いと思います。それでもクレジットカードを申し込むと利用限度額が限られてくるので、そこのギャップを埋めるのがデビットカードではないかと思っています。
一つ大切なことは、いわゆる直接財といった本業部分での決済となりますと、取引相手の企業がカード決済を受けてくれることが重要な鍵になってきます。日本では大きな商材の決済がカードでまだまだ行われていないのが現実です。デビットカードの支払先であるセラー(売り手)のカードのアクセプタンス*を広げていくことによって規模を増やしていきたいと思っており、弊社ではそのためにVisa Business Payというソリューションを提供しております。

半田:おっしゃる通り、これまでの決済ソリューションでは直接財をキャッシュレスにしきれてない部分もまだまだ残っているので、十分に取り組む余地があると思っています。銀行の役割からも、お客さまとの接点から、お客さまのニーズやプロダクトの訴求点を捉えることを通じて、お客さまの課題を解決していく事が大事だと考えています。

  1. *アクセプタンス…加盟店におけるクレジットカード等の受け入れ

「キャッシュレス・消費者還元事業」の開始に向けて

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半田:さて、10月から「キャッシュレス・消費者還元事業」がスタートします。消費税の増税が近づいてきている中で、貴社はどのようなことに取り組まれているのでしょうか?

外山取締役:パートナー企業の皆さまと一緒に、「Visaカードを使っていただければ、ポイント還元が受けられます」というシンプルなメッセージを消費者の方に届けられればと思っています。そのためには、どうすればポイント還元が受けられるのかといった、基本的な情報を上手く伝えて、折角の良い機会を活用していただけるようにすることが重要と思います。

半田:そうですね。これは「キャッシュレス・消費者還元事業」とはイコールではないですが、我々もお客さまとみずほビジネスデビットの話をさせていただくと、「これ、VISAマークのある所で使えるの?」と基本的なことを聞かれることがあります。やはりカードは個人消費者の決済ツールとの認識が強く、法人決済にデビットカードが使えるのかご存知でない方は意外と多いですね。「VISAマークのついている所であれば基本的にはどこでも使えますよ」とお伝えしていますが、中小企業の方々にとって、法人決済としては伝統的な手形や小切手といった手法しかない、といった認識になっているのかもしれませんね。

外山取締役:欧米では、かつては口座に小切手(紙のチェック)がついていて、それを切っていましたが、デビットカード決済に置き換わっていきました。日本でもまだ小切手帳や手形帳を利用される中小企業の方々は多いと思いますが、それに変わる手段としてデビットカードがあるので、今では法人口座にデビットカードが一緒についてくることや、VISAマークのあるどんな所でも使える、といった基本的な情報を伝え続ける必要がありますね。

半田:その点ではもちろん中小企業の方々にもデビットカードを持っていただいて、小切手や振込で支払っていた代わりに、デビットカードでも支払いできることをご理解いただくことは大切です。合わせて、中小企業がカードの加盟店になることを通じてキャッシュレスを促進することができる立場にもなりうるという両方の視点があるということですよね。

外山取締役:そうですね。デビットカードが普及していけば、自分たちもデビットカードで決済を受けたいというニーズがどんどん出てくると思います。

半田:我々も「キャッシュレス・消費者還元事業」では、個人消費者の話だから自分たちは関係ないと割り切るのではなく、中小企業の方々とその周りの個人消費者とのお付き合いをどういうものか捉えることが必要だと感じており、実際に活用いただくことを通じて中小企業の方々に何かメリットを感じていただけるようにご提案をしていきたいと思っています。

キャッシュレス進展の起爆剤であるタッチ決済とは

半田:それでは最後に、外山取締役が考えておられる今後のキャッシュレスの未来についてお聞かせいただければと思います。

外山取締役:各国でキャッシュレスが進んでいますが、日本でも同様にキャッシュレスに向けて進み始めました。政府の目標は2025年までにキャッシュレス決済率を40%とのことですが、恐らくそれ以上にキャッシュレスは進むと思っています。若い世代は現金を持たなくなってきていますし、Visaカードで簡単にタッチ決済ができるようになれば、年齢に関係なくキャッシュレスのメリットを感じやすくなると思います。我々としてはタッチ決済がキャッシュレス進展の起爆剤だと思っています。様々なQRコード決済が出てきていますが、ほとんどの国ではタッチ決済がキャッシュレスを牽引しています。日本では、まずはタッチ決済ができるようにインフラを整えて、普段お使いのVisaカードでタッチ決済ができるという、決済が簡単な世界を作っていきたいと思っています。それによって、どんどんキャッシュレス化が進んでいくのではないかと考えています。

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半田:私は二年くらい前にタッチ決済が進んでいるオーストラリアに行ったんですが、タッチ決済の可能性を感じましたね。結局は決済インフラが重要なので、主要な決済に何がなっていくのかを把握しつつ、決済ツールを提供していくことが大事なんでしょうね。

外山取締役:日本人の場合は、交通系ICカードによるタッチ決済に慣れている方が多いので、Visaカードでもタッチ決済できることに心理的抵抗感はあまりないと思いますね。
今年の7月に新規で発行されたVisaカードや、切り替えされるカードには原則タッチ決済機能がついています。現在利用可能店舗を拡大中であり、今後様々な飲食店や店舗で使えるようになっていきます。ただやはり一番大事なのは体験ですよね。タッチ決済だと、QRコード決済のためにアプリを立ち上げるよりも早く決済ができるので、一回タッチ決済を体験すると「便利だからもっと使いたい」となると思います。

半田:そうですね。タッチ決済の普及を我々も「みずほビジネスデビット」を通じてお手伝いできればと思います。本日はありがとうございました。

(この対談は2019年8月19日に行われたものであり、社名や役職名は当時のものです。)

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