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中小企業の資金調達の負担を軽くしたい

掲載日:2019年7月30日対談企画

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この対談企画では、ビジネスや経営に対する考え方、課題解決に向けた取り組み等を事業者の方々に伺い、中小企業のお客さまに対し、ビジネスのヒントを提供することを目的としています。

第5回は、みずほ銀行が2019年5月に取扱を開始したオンラインレンディングサービス「みずほスマートビジネスローン」*におけるアライアンスパートナーでもある、クレジットエンジン株式会社の内山社長とみずほ銀行・大向(リテール法人推進部)の対談を行いました。「中小企業の資金調達」をテーマに、これまで取り組まれたこと、また現在取り組まれていることについてお話いただいた内容をお届けします。

  1. *決算書不要・最短2営業日で資金調達を実現できる、オンライン完結型融資サービス

融資をする側と資金を調達する側、両方を経験して

大向:まずは、貴社の起業に至った経緯からお伺いできればと思います。

内山社長:新卒では銀行で5年間ほど不動産会社への融資や、不動産のストラクチャードファイナンスに携わっていました。融資に至るまでには、たくさんの書類を用意しなくてはいけないほか、一つずつ手順を踏んで進めていかなくてはいけなかったため、非効率さに課題を感じた経験があります。

大向:最初は銀行サイド、つまり融資する側だったのですね。

内山社長:銀行を退職した後、仙台で中小事業者の復興支援に携わりました。銀行とは逆に資金を受ける調達側のお手伝いです。調達側の立場になったところ、そこでも同じように非効率なものが見えてきたのです。事業計画を作るのが上手い人は資金を調達できていたのですが、事業計画をなかなか作ることができず、結局資金を調達できないという人がいることを目の当たりにしました。今振り返ると、そのような資金調達に関わる非効率さを体験したことが起業を決意した根底にあったと思いますね。

大向:中小企業の側で資金調達のお手伝いをされていたというご経験から、中小企業の方々の実態や実際に感じられたことを具体的に教えていただけますか?

内山社長:そもそも事業計画を作るといっても、エクセルを操作したことのない人もいましたし、どんな事業計画を作れば良いのか、イメージすらつかないというような方が多かったように感じました。
特に小規模の店舗を営まれている方々はそうでしたね。仙台の場合であれば、事業計画に加え、震災の被害状況も報告する必要もありましたが、現状把握がきちんとできていないケースも多々ありました。例えば、パン屋さんはパンを作りたいからパン屋さんを始めるわけですね。エクセルを操作して事業計画を作るために起業したわけではないので、資金調達をするために事業計画を作るとなると、高額なお金を払って専門家に頼むしかないのです。

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クレジットエンジン株式会社
代表取締役 内山 誓一郎氏
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株式会社みずほ銀行
リテール法人推進部
大向 渉

大向:起業する時にはもちろん技術や専門性が必要となりますが、どこかで経営者に特化しなければならない段階が出てくるのだと思います。事業計画を作成し資金を調達できる力を持っていれば、いわゆる文武両道でいけるかもしれないですが、そうではない人にとっては、資金調達はとても大変なことですね。

内山社長:そうですね。僕も事業計画を作るのは、今でも大変だなと感じます。やはりサービスを作っているほうが断然楽しかったですね。

大向:仙台で復興支援に取り組まれた後から、どのように起業をされたのですか?

内山社長:仙台で復興支援に携わった後は、ロサンゼルスに留学をしました。将来的な起業を見据える中で西海岸の環境に身を置き、どのような起業をしようか様々な可能性を考えている中で、アメリカではオンラインレンディングの領域がすごく広がっていることを知りました。そして、「オンラインレンディングなら、自分が前職で感じていた資金調達の非効率さといった課題をクリアにできるようになるのではないか」と思ったのです。また、今後確実に世の中はB2Bのクラウドサービスが普及すると感じていたので、そのデータを利用するオンラインレンディングの分野にチャンスがあると思いました。

大向:調達サイドも融資サイドも両方経験された内山さんだからこそ、気がつかれた課題であり、解決策についても手ごたえがあられたのですね。

内山社長:はい。我々のミッション自体が、資金調達の非効率さを無くすことで、中小企業の方々が本業に専念できるようにサポートすることだと思っています。

「オンラインレンディング」を知ってもらうことの難しさ

大向:3年前に起業され、日本におけるオンラインレンディングの先駆けになられたと思うのですが、実際にサービスを始めるとどうでしたか?

内山社長:サービスを始めてみると、ITへの感度の高い人からの評価はあった一方、サービス利用者数がすぐ伸びるわけでもなかったので、そのギャップをすごく感じましたね。どのようにリーチしていくかというところには、未だに苦労しています。中小企業の方々にオンラインレンディングというサービスを認知してもらうことは思ったよりも難しく、サービスが普及するには時間がかかるんだなと実感しています。

大向:新しいサービスには必ず認知度向上のハードルがあるように思いますね。そのような状況でも、当初お考えであった中小企業を支援したいという点では、実際にサービスをご利用されたお客さまの評価はいかがですか?

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内山社長:実際にご利用のお客さまにインタビューをさせていただいたのですが、使い勝手の点では良い評価をいただきました。例えば、銀行と取引をするには銀行が開いている時間帯に借入の手続きをする必要がありますが、オンラインレンディングはウェブで利用できるサービスなので、自分のお店を閉めた後の夜中でも借入の手続きをすることができて良かったという感想をいただきました。あとは、マイページ上で借入審査の進捗状況が分かるところが良いという感想もいただいています。

大向:今後、日本でオンラインレンディングをますます発展させていくうえで、どのような課題があるでしょうか?

内山社長:オンラインレンディングを発展させていくには、審査の材料となるデータを集める必要があり、具体的にはクラウド会計ソフトやPOS決済を中小企業の方々に使っていただかないと、オンラインレンディングの良さがいきてこないと思っています。このようなサービスを使って多くのデータが蓄積されることで、融資を受けやすくなるというメッセージを発信するなど、中小企業の方々とコミュニケーションをとっていくことも必要だと思います。あとはやはりサービスの出し手がまだまだ少ないですね。みずほ銀行さんをはじめ、様々な金融機関と提携していくことで、オンラインレンディングが資金調達の形態として一般的になってくることが重要かなと思います。

中小企業の資金調達の選択肢を拡げたい

大向:最後に私どもみずほ銀行との間でのパートナーシップについてです。今後どのような発展形をお考えですか?

内山社長:まずは、みずほ銀行の口座を既に使われている多くの中小企業の方々にも、オンラインレンディングサービスをご利用いただけることをうれしく思っています。この連携により、中小企業の方々の資金調達の選択肢を拡げられることに、とても意味を感じています。今後はみずほ銀行さんと共同で全国に170万社いらっしゃる中小企業をもっとお手伝いできないか、サービス・プラットフォームをさらに拡充していくことを検討しています。例えば、資金調達可能な金額や期間を拡大していくニーズがあるかもしれないですし、みずほ銀行さんを通じて地域金融機関さんにもネットワークに加わっていただくことでさらに多くのお客さまに便利なサービスをお届けする接点を増やしていきたいです。

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(この対談は2019年6月19日に行われたものであり、社名や役職名は当時のものです。)

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