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多様性あふれる職場が会社を強くする(後編)

掲載日:2019年3月4日対談企画

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有限会社原田左官工業所の原田社長との対談企画を、前後編でお届けしています。
後編では、原田左官工業所が店舗左官のトップリーダーであり続けられる理由等について、みずほ銀行・森井(リテール・事業法人業務部 新規事業推進室)とともに、語り合っていただきました。

原田左官工業所の強さの秘密

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森井:今、原田社長にお話を伺っているこの場所ですが、こちらは貴社のショールームということでよろしいでしょうか。

原田社長:はい、そうです。店舗左官をメインにビジネス展開しているうちに、私たちは「提案型左官」というコンセプトに行き着きました。このショールームは、我々のお客さまである店舗設計者の方々に、職人が培ってきた技術と多種多様な知識をご提案する場であり、左官素材や表現方法のサンプルを常時100種類以上閲覧できるようになっています。また、ショールームの隣にはサンプルを作るアトリエもあるのですが、実際にお客さまにサンプル作成に立ち会っていただき、ご要望を伺いながら形にしていきます。

森井:このショールームもそうですし、貴社は独自の取り組みを多数展開されていて、またそれをオープンにされていらっしゃいます。例えば、他の左官業者が貴社のまねをすることも考えられるのではないかと思いますが、その中でも貴社が店舗左官のトップリーダーであり続けることができる理由はどこにあるのでしょうか。

原田社長:そうですね・・・、店舗の仕事というのは、作業が細かくて、さらに納期が1週間から2週間と非常に短いんです。店舗左官を行っているのは弊社以外にもいくつもありますが、社員が3人から5人程度の会社がほとんどで、その規模の場合、いくつか仕事が重なるとそれ以上受注することは難しいと思います。一方で弊社の場合は、育成プログラム等によって自社で育ててきた職人が相応にいるので、店舗左官のような「多品種小ロット」の仕事を同時に多数対応することができます。その点は、強みと言えるのではないかと思います。

森井:ちなみに、月にどのくらいの件数をこなしていらっしゃるのでしょうか。

原田社長:うちの場合は月に100件以上の現場をこなしています。以前は、各現場で要する材料や工具等をAccessによって管理していましたが、より利便性を享受するために、今から7、8年前にカスタムメイドで工事管理システムを構築しました。専門工事業者向けのパッケージソフトもありましたが、こういう「形」が良いというものを作り上げていたので、システムに業務を合わせるのではなく、業務にシステムを合わせることを選びました。これにより、材料の積算やお客さま情報の閲覧、職人のスケジュール管理を、スマートフォン等からも行えるようになりました。工事管理者はわざわざ事務所に戻らなくても現場で作業指示書を作れますし、クラウド上にデータベースがあるので、現場ごとに人件費や諸経費を経理担当者が入力し、材料費を工事管理者が打ち込むことで原価が瞬時に弾き出せるようになりました。

森井:「多品種小ロット」に対応出来る体制を構築するため、人材に投資しつつ、一方では軽量化も徹底されてこられたわけですね。

今後取り組むべきこととは

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森井:これまで色々とご披露頂いた取り組みの結果として、貴社は一つの確固たるビジネスモデルを構築されたことが、大変理解出来ました。そのうえで、社長が今ご認識されている経営課題はなんでしょうか。

原田社長:モデリングを含め、弊社では4年間かけて若手職人を育成する独自の教育プログラムを作り上げました。そのことによって、かつて40%だった離職率を今では5%にまで減らすことが出来ましたので、これからは中堅層の教育、職人歴10年以上の人たちのレベルを引き上げていくことが課題だと認識しています。今後は、外国人労働者が増えていくでしょうし、自分は職人だからマネジメントやコーチングには興味がないなんて、言っていられなくなる時代が来ると思います。周りの人間と、今までになかった新しい道具の両方をうまく使いこなし、多くの作業量をクオリティ高くこなせる職人になってもらうためにも、少しずつそういった意識を持ってもらえるような働きかけをしていきたいと考えています。

森井:社員一人ひとりのベースの部分は標準化すべきなんでしょうが、そのベースのうえに、いかに差別化要素を付加していけるかが重要になってくるということですね。

原田社長:10年くらい経つとその人の方向性は出てきます。職人さんでもマネジメントが好きなタイプの人もいるし、技術を極めたいというタイプの人もいるので、それぞれに合わせた育成ができればと思っていますね。

(この対談は2019年2月5日に行われたものであり、社名や役職名は当時のものです。)

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