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成長が続く「子供産業(キッズビジネス)」の市場規模と成長理由

掲載日:2019年5月20日業界動向

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国内人口の減少や少子化にも関わらず、子供関連の市場が好調です。その理由として、PB(プライベートブランド)商品の増加/人気上昇や高級路線への転換、インバウンド層による消費拡大などが挙げられます。本稿では、様々な要因で成長が続く「子供産業」について解説します。

少子高齢化でも活気ある「子供産業」

2018年の日本の出生数(推計)は92万1,000人でした。2016年から3年連続で100万人を割り込み、過去最小を更新しました。子供の数が減り続けている一方で、子供関連の市場が活気を呈していると言われています。市場規模は年を経るに従って拡大し続けており、2018年における子供関連市場の規模は3兆8,700億円にのぼるという試算もあります。

「子供産業」が発展した理由

子供関連市場の範囲は様々ですが、一般的にはベビー・幼児向けの食事、衣服、ベビーカーなどの子供用品などが挙げられています。子供向け市場が急成長した背景には、これらの子供向け用品に有名アパレルメーカーなどが続々と参入したことが一因となっています。

拡大する子供向け市場を表す言葉に「6ポケット」と呼ばれるものがあります。6ポケットとは、両親の2つ、祖父母の4つの財布を示したもので、潜在的に大きな市場であることの裏付けであるとも言えるでしょう。このため各メーカーは、ターゲット層を対象となる子供の両親はもちろん、両方の祖父母までも含めることで、高価格路線での市場開拓に成功したのです。

PB(プライベートブランド)による競争力の強化

一方で市場における競争も激化しつつあります。レッドオーシャン対策として、大手子供用品メーカーは、自社開発によるPB(プライベートブランド)を打ち立てました。バギータイプのベビーカーや伸縮性の高いストレッチパンツ、お漏らしを肌感覚で学習できるトレーニングパンツなど、多種多様な商品が開発され、それぞれ他社との差別化を狙っています。

インバウンド層が消費を押し上げ

また国内メーカーの商品は、品質の良さにも定評があるとされています。このため、増加しているインバウンド層が日本で子供向け商品を次々と購入していったことも、市場拡大の一助となった面もあるでしょう。

いわゆる「爆買い」のような大きな消費は、現在ではやや落ち着いているものの、インバウンド層が日本の子供用品を購入し続けていることは、市場を支える一つの柱となっていると言えるでしょう。

市場に更なる広がりも

子供市場はベビー・幼児向けの商品ばかりではありません。共働き世帯が一般化した現在、待機児童問題は深刻化しつつあります。この高いニーズに呼応して、保育施設市場も活性化しつつあります。2011年に発表された日本政策投資銀行のレポートでは、保育施設の市場規模は2010年の3兆円から2020年には4.9兆円にまで拡大すると示しています。

ただし保育施設に関しては、まだ課題が数多く残っています。例えば首都圏における人口流入の一極集中化と、それに伴う土地の高騰による土地取得の難しさが挙げられるでしょう。また行政による認可の基準の厳しさも参入障壁の一つとなっている面は否めません。

しかしそれであっても、政府も各種子育て支援の制度化を打ち出しており、保育施設市場の今後の拡大を占ううえでも重要な指針となっていると言えます。

伸びしろのある市場

例えば、赤ちゃん用の「だっこひも」一つを取っても、かつては母親の装着感と機能にのみ重点を置いていました。しかし、今では父親・母親の兼用に加え、デザイン性にも力を入れるようになってきています。

子供用品は、各企業が新たな顧客ニーズをくみ取り、独自の戦略を実践できる市場と言えるでしょう。少子高齢化の対策も相まって、今後さらに伸びしろのある市場となるかもしれません。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
(記事提供元:株式会社ZUU)

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