タクシー業界の動向
掲載日:2019年3月11日業界動向
- 新規参入や増車が規制されているタクシー業界ですが、訪日外国人旅行者による需要の増加や配車アプリの普及を始めとしたサービスの変化等、業界活性化につながる事象も生じています。
- 運転手の高齢化による人材不足や中小事業者による経営環境の変化等から、大手タクシー事業者との資本提携等を中心にM&Aが活発化しています。
タクシー業界の環境
新規参入や車両増車の規制
- 平成21年(2009年)施行の法令*1によって実質的に新規参入や車両増車が困難となったため、業容拡大はM&Aに依拠しています。
- 実働率(実働1日1車当たりの運送収入)は、2009年の26,005円から2016年の30,125円まで毎年増加しており、回復傾向にありますが、規模を維持出来る大手と人材不足の中小で業績は二極化しています。
インバウンド利用者の増加
- 訪日外国人旅行者の増加による需要の変化がある一方で、運転手の高齢化や育成の遅れで人材は不足傾向にあります。
利便性向上となるサービスの変化
- 東京都等での初乗運賃の値下げや配車アプリの普及等により、利用者の利便性は以前と比べ向上しています。
- 「ライドシェア(相乗り)」や「事前確定運賃」の政府実証実験、自動運転の法整備・技術革新による更なる変化が期待出来るといえるでしょう。
- *1特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法
M&Aに係る売り手の目的(例)
後継者の不在、事業の選択と集中
- 親族外承継による外部売却、ノンコア事業の切り出しなど
独自では困難な人材やIT投資の課題解決
- 運転手の確保や外国人対応教育、配車アプリ等のIT投資、政府推奨のユニバーサルデザインタクシーの導入など
規模や資本力による将来の大きな環境変化への適応
- 自動運転の実用化、ライドシェア制度、規制緩和への転換など
M&Aに係る買い手の目的(例)
周辺・異業種からの参入
- バス、鉄道等の旅客輸送事業者や旅行サービス関連事業者による訪日外国人旅行者の需要やシナジーを狙う参入など
人材の確保や業容の拡大
- 運転手人材の確保や規模の効率性の追求
- 業績好調な大手タクシー会社による車両台数・エリアの拡大
- *本資料は、一時点または一定の条件の下の情報提供を目的として作成したものであり、本資料に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
当初作成:2019年2月