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世界の石油化学製品の需給動向(2009年~2022年)を取りまとめました

掲載日:2018年11月5日行政関連情報

日本の石油化学産業をとりまく情勢が変化する中、国内外の石油化学製品の需給動向に関して的確な調査・分析を行い、企業経営や政策等の検討につなげていくため、このたび経済産業省は、世界の石油化学製品の今後の需給動向に関する研究会において、エチレン系・プロピレン系誘導品および芳香族製品等の石油化学製品について、2009年~2016年までの世界の需給動向および、2017年~2022年までの世界の需給(需要、生産能力、生産量)予測を取りまとめました。

1.世界全体の石油化学製品需要の実績(2016年)および見通し(2017年~2022年)

  1. 1.2016年の世界のエチレン系誘導品の需要実績(エチレン換算)は、原油や石油製品の価格が変動している状況の中、前年比3.8%と堅調に推移し、142.3百万トンとなった。
  2. 2.2017年~2022年の需要見通し(エチレン換算)は、2022年には世界全体の需要量が177.3百万トン(2016年比で35.0百万トン増)に達し、2017年~2022年の需要の年平均成長率は3.7%となる見通しである。

2.地域別の特徴

(1) アジアの需要拡大

  1. 1.アジアの石油化学製品需要(エチレン換算)は、2009年~2016年までの年平均成長率5.6%から、2017年~2022年の同4.8%と、年平均成長率の縮小はみられるものの、依然、アジア全体としての拡大傾向は継続し、世界の総需要に占める割合は、2022年には50%を超えると予測。
  2. 2.中国における新増設の動向
    中国におけるMTO、CTOの石炭化学プロジェクトの新増設は国内環境規制強化に加え、原料メタノールのコスト高、原油価格との比較優位性の低下から、従来計画の見直しによる影響が出ている。
    一方、ナフサ分解設備については、第13次5ヵ年計画により、7地域への集約化と同時に新規プラント構想が打ち出され、エチレン生産能力は22.7百万トン(2016年)から、31.9百万トン(2022年)まで増加する見込み。この中には、中国初のエタンクラッカーの建設も含まれる。
  3. 3.インドの内需の継続的な成長
    インド経済の高いGDP成長率を受け、石油化学製品需要(エチレン換算)は今後も順調に伸び、2017年~2022年の年平均成長率は4.2%と予測。一方、需要の伸びに大幅な新設で対応するものの、一部の製品は引き続き輸入に大きく頼る構造がつづくと見られる。
  4. 4.我が国の状況と見通し
    我が国の石油化学産業は、堅調な内需への対応とともに、ナフサスプレッドの拡大もあり、誘導品に加えて基礎化学品も含めたアジアへの輸出が好調だったことから、エチレンプラントの高稼働がつづいている。ただし、2009年~2016年と2017年~2022年の年平均成長率と比較すると、エチレン換算需要は1.1%から−0.6%へ、プロピレン換算需要は2.3%から0.4%へといずれも低下する見込み。

(2) 米国ではシェールガス由来の大型プラントが稼働

  1. 1.米国経済は回復基調を鮮明にし、大型減税や大規模インフラ投資を受けた石油化学産業は需給ともに、力強さを増している。エチレン換算需要の2017年~2022年の年平均成長率は2.7%となり、2009年~2016年までの年平均成長率2.4%から上昇する見込み。
  2. 2.シェールガス由来の新増設エチレンプロジェクトは、米国内の建設コスト上昇等の影響を受けるものの、ナフサに対する絶対的な価格競争力に変化はない状況。
  3. 3.2017年から2018年中頃にかけ、シェール由来の合計3基の150万トン級エタンクラッカーが稼働を開始。国内の豊富な原料と、継続的に増大が見込まれる世界の石油化学製品需要を背景に、大型プラントには稼働の前倒しが見られることに加え、新増設計画も次々に明らかになるなど、シェールガス革命の2nd Wave、3rd Waveが今後も進む様相を見せている。
  4. 4.シェールガス由来の石油化学製品は、現在、主に欧州向けなどが中心だが、今後、大規模出荷設備の整備が進むことで、原料のエタン、LPG、さらにエタン系誘導品等も含めた石油化学製品が、すでに展開されている欧州、中南米につづき、インド等のアジア域内へも展開される見込み。その需給バランスの変化次第で、各地域の市況に影響が生じる可能性。

(3) 中東の川下産業への展開

  1. 1.中東諸国の石油化学産業は、川下展開による内需の取り込み、グローバル化、高付加価値製品化へ向かう動きが加速している。石油化学製品需要の2017年~2022年の年平均成長率は、エチレン換算需要は4.2%、プロピレン換算需要は4.7%と予測。
    しかし、新増設計画については、国際情勢の環境変化や外交バランスの要因から、実現への不透明さも抱えている。
  2. 2.誘導品については、これまで汎用ポリエチレン、エチレングリコールが中心であったが、付加価値製品の生産も進行中。また、民間企業が参画したプロジェクトや、中東諸国の国営企業による中東域外への進出、グローバル化も進められている。

3.需給バランスのポイント

  1. 1.エチレン系誘導品(エチレン換算)の需給バランスは、中国では石炭化学プロジェクトの計画見直しや新たなナフサクラッカーの新増設計画など、増減いずれの側面もあるものの、需要の増加が生産能力の増加を上回る傾向は顕著。2016年では1,600万トンの需要超過であったところ、2022年には2,460万トンに拡大する見通し。
  2. 2.中東では、イラン等での生産能力増加により、供給過剰が2016年の1,778万トンから、2022年には2,074万トンになる見通し。
  3. 3.北米では、シェールガス由来の新規エチレンプラントが続々と稼働に入ることから、供給超過幅が2016年の570万トンから2022年には1,114万トンに大幅に拡大する見通し。
  4. 4.プロピレン系誘導品(プロピレン換算)の需給バランスは、中国ではPDHプロジェクト等の進行から、需要超過が、2017年の99万トンまで急速に縮小するものの、その後、再び需要が拡大し、2022年には再び310万トンまで拡大する見通し。

4.2025、2030年の予測について

  1. 1.今回新たに、2025年、2030年の世界の需要予測についても取りまとめた。(商品別集計データ表(2)参照)
  2. 2.エチレン系誘導品(エチレン換算)の需要は、2030年まで、中国、米国、インド、中東の主要地域は着実に拡大する見通しで、2020年~2030年(10年間)の年平均成長率は世界全体で3.0%程度と予測。
  3. 3.プロピレン系誘導品(プロピレン換算)の需要についても、年平均成長率は2020年~2030年(10年間)の年平均成長率は世界全体で3.0%程度と予測。
  • *ただし、調査結果は、現時点で把握している情報をもとに分析したものであり、将来的な政情変化等により予測が異なる場合がある。

関連リンク

世界の石油化学製品の今後の需給動向(2018年10月)

出典元:経済産業省ウェブサイト(http://www.meti.go.jp/
http://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181019002/20181019002.html)を加工して作成

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