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掲載日:2021年7月2日

転職は住宅ローンの利用にどう影響する?
申込に適したタイミング

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キャリアアップの目的などで転職するケースも増え、転職に対するイメージは変わりつつある現代。住宅ローンを使った住宅の購入と、転職が同時期に……という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、住宅ローンの申込の際には、一定期間以上の勤続年数を要件としている金融機関も見受けられます。住宅購入と合わせて転職を考えている場合、住宅ローンの申込は転職前に行った方がいいのでしょうか?今回はこの回答をはじめ、住宅ローン返済中に転職する場合の注意点についても解説していきます。

1. 住宅ローンの利用に転職が与える影響

金融機関によっては、住宅ローンの申込要件に、半年以上や1年以上、もしくは2年以上の勤続年数を入れている場合があります。したがって、転職と同時期に住宅ローンの申込を検討している場合には、借入を希望している金融機関の申込条件をチェックしておくことが大切です。

勤続年数が短くなると審査に影響するおそれがある

国土交通省が発表している「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、調査対象となった金融機関のうち、95.6%が勤続年数を項目に入れていると回答しており、回答した金融機関のうち6割以上が1年以上の勤続年数を条件としています。このことからも、転職した直後の場合、審査に不利になる可能性があることは否定できません。

とはいえ、金融機関の中では事前審査申込の際に、会社員としての合計勤続年数および転職の際のブランクがどのくらいあるかなどを確認する「職歴書」を合わせて提出できるところもあります。住宅ローンの申込と転職のタイミングが重なる場合には、事前に金融機関に問い合わせ、申し込むことが可能か、可能であれば必要書類の詳細についてもチェックしておきましょう。

転職すると住宅ローンが利用できなくなるわけではない

住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なり、その詳細は公表されていません。しかし、上で紹介した「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」の中でも、住宅ローン審査における項目としては1位が完済時年齢となっており、ほとんどの金融機関では80歳未満で完済できるかどうかが基準となっています。つまり、審査基準においては借入時の年齢よりも、完済時の年齢の方が重要であることが分かります。

2位は健康状態となっています。住宅ローンの申込においては、団体信用生命保険への加入が必須なっている金融機関がほとんどですので、健康状態に問題があり、加入できない場合には審査に通りません。また、3位には物件の担保評価があげられています。

そして、それ以外の項目としてあげられているのが、住宅ローン申込者本人の属性です。「年収はいくらなのか」、「勤務年数や勤務先の情報」、「信用情報に傷はないか」という内容を総合的に評価して、融資実行の判断を行っていることが分かります。

例えば、住宅金融支援機構が提供している「フラット35」では、申込の要件として「申込時の年齢が満70歳未満の方」そして「日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方」の2つが挙げられているのみです。したがって、この2つの要件にあてはまれば転職の有無は関係なく、年収や勤続年数を気にせず申込ができます。

2. 住宅ローンの申込は転職の前と後、どちらにすべき?

転職のタイミングによっては、住宅ローンの申込時期をどうするか考える必要があります。

転職後に申し込むのが望ましい

一般的に、住宅ローンを申し込むタイミングは転職後が良いといわれています。なぜなら、転職前だと年収が確定していません。たとえ転職して年収アップが望める場合であったとしても、実際の収入額よりも低い金額で審査されることになるため、審査時には不利に働くおそれがあります。逆に、転職後に収入が下がった場合には、月々の返済が難しくなることもあるでしょう。

一方、転職した後であれば転職後の年収で審査が行われ、借入額が決まることから、月々の返済額や借入期間、そして頭金をどのくらい用意すればいいかを検討することができ、無理のない返済計画を立てることができます。

気をつけていただきたいのは、事前審査を申し込んだ後に転職するような場合です。その際には提出書類を出し直す必要があり、その分審査に時間がかかることになるため注意が必要です。

転職前に申し込むと再審査や違約金のリスクがある

住宅ローン審査においては、事前審査そして本審査の後、最終的な住宅ローン契約の締結を交わすこととなります。その審査の過程において勤務先が変更になったという状況になれば、新たに審査をやり直す必要があります。

その際には年収などの変化により、審査に通らないケースや希望している借入額に届かないという問題に直面することになります。最悪、審査に通らなかった場合には、契約解除に係わる違約金が発生するおそれもあるでしょう。

住宅購入時の売買契約では、「住宅ローン特約」を付けるのが一般的です。住宅ローン特約とは、審査に落ちた場合に売主が契約を解除できる制度のことで、この特約があればもし審査に落ちてしまっても、スムーズに売買契約を解除できます。しかし、住宅ローン特約の中には転職による審査落ちをカバーしていないケースもありますので、住宅購入時には必ず住宅ローン特約の内容を確認しておきましょう。

3. 住宅ローン返済中の転職についての注意点

返済が滞るわけではないので、住宅ローン返済中に転職したとしても、連絡は不要と思われている方もいるかもしれません。しかし、借入後に、申告していた内容に変更あった場合には金融機関へ連絡が必要です。

転職後は速やかに金融機関へ届け出る

多くの金融機関では、住宅ローンの契約約款の中で、届出事項に変更があった場合は所定の手続きや届出をするよう明記しています。したがって、転職した場合には、所定の手続きに沿って届出を行う必要があります。

同一年内での転職かどうかで住宅ローン控除の手続きが変わる

基本的に会社員であれば、2年目以降の住宅ローン控除については年末調整にて行います。年の途中で転職した人でも、転職先で年末まで勤務していれば年末調整の対象となり、手続きは年末に勤めている転職先で行います。

退職後、再就職をせずに年末を迎えた場合には、当然年末調整はできませんので、退職年に対応する年分の所得税の確定申告時に、自分で住宅ローン控除を受けるための確定申告をする必要があります。

年収の変化を考慮して返済計画を見直す

転職によって収入が減少し、今後の返済が困難になりそうな場合には、返済方法の変更などについて借入先の金融機関に相談するようにしましょう。年収が下がって手元資金もない場合には、返済期間の延長をする方法を検討してみてください。

収入が減少し、月々の返済が困難になった際に、一番やってはいけないことは、無断で返済を遅らせることです。どうしても返済の目途が付かない場合は、なるべく早めに金融機関に連絡し、一定期間返済額を減額してもらうなど、条件変更の対応をしてもらえないかどうか相談してみてください。

延滞をしてしまうと損害遅延金が発生する他、続いてしまえば信用情報に傷をつけてしまいます。注意しておきましょう。

ポイント

  1. 転職後は速やかに金融機関へ届け出る
  2. 同一年内での転職かどうかで住宅ローン控除の手続きが変わる
  3. 年収の変化を考慮して返済計画を見直す

4. 審査基準は勤続年数だけではない

住宅ローンの申込は転職の前と後、どちらにすべき?

転職後のローン審査を行って審査を通らなかった場合、勤続年数が原因ではないかと思われがちですが、自動車ローンやカードローンなど、住宅ローン以外にも借入がある場合や、信用情報に傷がある場合など、他の要因によって審査に通らない可能性があります。

また、借入したい金額が大きい場合には、その分返済能力に対する審査が厳しくなります。転職後であればなおさらといえるでしょう。借入金額が大きいと考えられるようであれば、無理のない額に抑える、もしくは返済期間を長くするなど、返済方法も合わせて検討してみてください。返済計画を立てやすい時期に申し込んで、無理のない返済計画を立てていきましょう。

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新井 智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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