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掲載日:2021年8月6日

住宅ローンの返済期間の決め方│ライフプランに合わせて適切に設定を

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住宅ローンを利用する際には、借入時に「何年で返済するのか」という返済期間を設定します。月々の返済額は、この返済期間をどのくらいにするのかによって決まるので、総返済額にも影響します。月々の返済額を減らしたいのであれば、35年間の返済期間を設定するケースもあるでしょう。とはいえ返済期間については、借入時の年齢や完済時の年齢なども考えながら決める必要があり、自分に適した返済期間を見極めるのはなかなか難しいものです。

そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナーの新井 智美さんに住宅ローンを利用する際の返済期間を決めるポイントについてまとめていただきました。

1. 住宅ローンの返済期間の平均

住宅ローンの返済期間の平均

実際に住宅を購入し、住宅ローンを利用している方は、どのくらいの返済期間を設定しているのでしょう?国土交通省が発表している「令和元年度住宅市場動向調査報告書」によると、住宅の種類別返済期間は以下のとおりですで、新築の物件であれば30年から35年、中古物件であれば30年未満で設定していることがわかります。

住宅の種類 返済期間
注文住宅 32.5年
分譲戸建住宅 32.7年
分譲マンション 31.5年
中古戸建住宅 28.1年
中古マンション 28.9年

(出典:国土交通省「令和元年度住宅市場動向調査報告書」)

また、住宅金融支援機構が発表している2020年度住宅ローン貸出動向調査によると、2019年度の金融機関における住宅ローンの平均貸出期間(約定貸出期間)は27年とのこと。さらに、完済までの期間は16年となっていることから、借入時における返済期間はなるべく長めに設定しておいて、繰上返済などを計画的に利用しながら、完済を早める努力をしていることがうかがえます。

2. 住宅ローンの返済期間の決め方

返済期間を決めるうえで重要なポイントは、無理なく返済を続けていける金額をしっかり考えて決めることにあります。その際には、返済負担率を考慮することも大切です。

返済負担率とは、年収における年間の住宅ローンを含む他のローンの返済額合計の割合のことです。フラット35では、年収が400万円未満であれば30%以下、400万円以上の場合は35%以下という基準を設けていますが、実際にフラット35を利用している方であっても、返済負担率については25%以下に抑えている方が大半を占めていることから、できれば20%~25%程度で考えることをおすすめします。

例えば年収600万円の方であれば、毎月の返済額は10万円~12万5,000円が妥当な額となります。しかし、住宅ローンの他にも車のローンなどがあるのであれば、住宅ローンの返済に充てる額はそれを差し引いた額となりますので、さらに少なくなるでしょう。

では、借入金額を3,000万円、金利年率1.0%(全期間固定)、ボーナス払い無し、元利均等方式での返済で借りる場合の返済期間別の毎月の返済額を試算してみましょう。なお、試算においては住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションを利用し、諸費用については含めないものとします。

返済期間20年の場合

毎月の返済額 13万7,968円
年間返済額 165万5,616 円
総返済額 3,311万2,271 円
総返済額のうち利息相当分 311万2,271 円

返済期間25年の場合

毎月の返済額 11万3,061 円
年間返済額 135万6,732 円
総返済額 3,391万8,377 円
総返済額のうち利息相当分 391万8,377 円

返済期間30年の場合

毎月の返済額 9万6,491 円
年間返済額 115万7,892 円
総返済額 3,473万6,908 円
総返済額のうち利息相当分 473万6,908 円

返済期間35年の場合

毎月の返済額 8万4,685 円
年間返済額 101万6,220 円
総返済額 3,556万7,804 円
総返済額のうち利息相当分 556万7,804 円

借入額などの条件が同じ場合、返済期間を長く設定するほど毎月の返済額は少なくなる点がメリットです。しかし、その分利息分の支払が増え、総返済額が大きくなる点がデメリットといえるでしょう。その他、返済期間が長い場合や短い場合のメリットおよびデメリットを以下にまとめましたので、参考にしてください。

返済期間が短い場合のメリットおよびデメリット

メリット ・ローンの支払を早く終わらせることができる
・借入期間が短いと適用される金利が低くなる傾向にある
デメリット ・毎月のローン返済が負担になる可能性がある
・返済期間を延長するためには、再度審査を受ける必要がある

返済期間が長い場合のメリットおよびデメリット

メリット ・毎月の返済額の負担を削減する効果がある
デメリット ・返済期間を長く設定することで、適用される金利が高くなる傾向にある
・ローンの支払が定年後まで続く可能性がある。

したがって、自分に合った返済期間を考える際には、まず毎月の返済可能額を把握し、その金額に見合った返済計画を立てる必要があります。子供の教育費用や自分たちの老後資金が貯金できるような余裕を持った内容にして、急な出費の際でも家計に負担がかからないような金額に設定することが大切です。

3. 住宅ローンの返済期間についてのよくある疑問

住宅ローンの返済期間についてのよくある疑問

ここでは、住宅ローンの返済期間について皆さんが疑問に思われる内容について回答していきましょう。

返済期間は契約後に短縮、延長できる?

返済期間の短縮および延長は、現在借り入れている金融機関に相談することで対応してもらうことが可能です。ただし、延長する際には以下の点に注意する必要があります。

1.審査が必要となる:審査基準は金融機関によって異なりますが、年収や返済状況、そして完済時の年齢などがチェックされます。
2.延長することにより総返済額が多くなる:延長した年数分の利息の支払が増えることになることから、当初の計画よりも総返済額が多くなります。

また、住宅ローン控除の適用を受けている間に返済期間を短縮する際には、住宅ローン控除適用の要件である「借入期間が10年以上」を下回らないように注意しましょう。残りの控除期間によっては、返済期間を短縮した利息削減効果の方がローン減税額を上回る可能性もあります。短縮することで得られる利息削減効果と、住宅ローン残高から計算した住宅ローン減税額を比較して決めることをおすすめします。

申込時の年齢が高いと返済期間は短くなる?

多くの金融機関においては、申込時の条件に完済時の年齢を設けており、その年齢を80歳未満としています。したがって、35年の借入を希望する場合は、45歳が申し込むぎりぎりの年齢となります。40代後半で住宅を購入しローンを組む際には、完済時年齢までの期間、つまり35年よりも短い期間でしか借入れができないことを覚えておきましょう。

4. 自身のライフプランに合わせた無理のない返済計画を立てることが大切

返済期間を決める指針として、毎月の返済額を考えるとともに、会社員の方であれば定年までの期間を考慮することも大切です。例えば、自宅購入時の年齢が40歳で35年の返済期間でローンを組んだ場合、返済期間中に繰上返済などを行わなければ、完済時の年齢は75歳となります。

現在、国は高齢者雇用に力を入れているところですが、実際にはまだ60歳を定年とし、その後は再雇用の扱いとなるケースが大半です。再雇用となると収入がそれまでよりも減少することから、毎月の返済額を低めに設定していたとしても、負担になる可能性も考えられるでしょう。

また、退職金を住宅ローンの返済に充てようと考える方もいますが、退職後の収入減は公的年金が主となることから、退職金についてはできるだけ、老後の生活のための資金として置いておく方がいいかもしれません。

自身のライフプランを考慮し、教育費の負担が大きくなる時期でのローン返済に無理がないか、老後の資金についても別に蓄えることができるかについても加味しながら、最終的に自分に合った返済期間を設定するとともに、繰上返済などを活用しながら賢く返済していきましょう。

新井 智美さんの写真

新井 智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者/一級ファイナンシャルプラン二ング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談の他、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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