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掲載日:2021年8月6日

住宅ローン返済中に病気やケガで
働けなくなったらどうなる?

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住宅ローンは20年や30年といった長期間にわたり返済しなければなりません。しかし、ローン返済中の「死亡、病気・ケガ」といったリスクについは避けては通れないもの。そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの浦川 正弘さんに住宅ローン返済中の病気・ケガ、あるいは死亡等に備えたリスク管理について解説していただきました。

1. 病気やケガで住宅ローンの返済ができなくなったらどうなる?

マイホームを建築または購入する場合、一般的には、金融機関からお金を借りて住宅ローンを組むことになります。でももし、その契約者が、万が一、病気やケガ、あるいは死亡して住宅ローンが払えなくなった場合はどうなるのでしょうか?

まず、ここでは、住宅ローンのリスク管理について説明します。

住宅ローンと生命保険

金融機関から住宅ローンを借りる際には、ほとんどの場合、「団体信用生命保険」(通称:団信)という生命保険への加入が条件となっています。

通常は団信への加入は必須となっていますが、住宅金融支援機構の「フラット35」ののように団信への加入が条件となっていない住宅ローンもありますので、自分に合った保険がどちらなのか比べてみると良いでしょう。

団信に加入している場合

団信に加入していれば、住宅ローン契約者に病気やケガ、死亡等の理由で返済ができなくなっても、その保険金で住宅ローンのすべてが完済されます。

団信に加入していない場合

独立行政法人住宅金融支援機構の「フラット35」のように、団信への加入が条件となっていないものもあります。その場合は、ローン契約者に万が一のことがおこっても保険金が出ないため、住宅ローンを払い続けなくてはなりません。

そういったリスクに備えるためには、一般の生命保険や貯蓄等で万が一の場合に備える必要があります。

住宅ローンと連帯保証人

住宅ローンで連帯保証人を求められることはほとんどありません。これは、万が一のことが起きた場合でも、団信に加入していれば保険金から住宅ローンの残金が支払われるためです。

団信に入っていないフラット35においても、基本的には連帯保証人は求められていません。

団信に入っていない場合、住宅ローンの契約者に万が一のことが起きた際には、住宅ローン契約者が被相続人となり、相続財産としてローン残高が加算されます。

住宅ローンの返済義務の観点では、住宅ローンを含めて相続をしない限り、配偶者や子供がローン返済の義務を負うことはありません。しかし、ローン返済ができなければ、マイホームを失ってしまいます。

ちなみに、連帯保証人が求められるのは以下のようなケースです。

  • 配偶者の収入を合算して、2人の収入で1本のローンを組む場合
  • 夫婦や親子でペアローンを組む場合など

2. 団体信用生命保険の支払事由となる病気や状態の例

それでは団信が支払われる判断基準は、どのように決められているのでしょうか?ここでは、団信の保険金が支払われる条件、支払事由となる病気や状態について説明します。

特約なしの団信の保障内容

「特約なしの団信」は、住宅ローン契約者が「死亡もしくは高度障害状態」になったときに保険金が支払われます。

この場合の保険金が支払われる例は、次のものがあげられます。

1.住宅ローン契約者が死亡した場合

2.住宅ローン契約者が高度障害状態になったとき

生命保険会社が「高度障害状態」と指定する所定の状態とは、具体的には次のような状態のことをいいます。

  • 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  • 中枢神経系、精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  • 両上肢(腕)とも、手関節以上(手首から先)で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 両下肢(足)とも、足関節以上(足首から先)で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

特約ありの団信の保障内容

住宅ローンは長期にわたって返済を行うものです。死亡や高度障害状態だけではなく、それ以外の病気になる可能性もあるでしょう。そのため、団信に加入する際は、特約なしの団信に対して、死亡や高度障害状態以外の病気に備えた特約を付加することができます。

一般的に、疾病保障が付加された住宅ローンのことを「疾病保障付住宅ローン」と呼びます。死亡や高度障害状態といった通常の団信の保障に加えて、所定の疾病が原因で一定の要件に該当した場合に、住宅ローンの返済が免除される仕組みになっています。追加できる特約や保険金が支払われる条件は、金融機関や商品によって異なりますので注意しておきしましょう。

それでは、団信に付加できる特約の種類について紹介します。

1.がん保障特約付団信

日本人のがんになる人の確率は2人に1人というデータも出ています。

がん保障特約付団信は、所定のがんになったときに保険金が支払われる特約が付加された団信です。

2.三大疾病保障、八大疾病保障付団信

がん・脳卒中・急性心筋梗塞に備える三大疾病保障、それに加えて、高血圧症・糖尿病・肝硬変・慢性腎不全・慢性膵炎に備える八大疾病保障の特約が付加された団信です。

3. 将来の病気やケガに備えるための団体信用生命保険選びのポイント

団信には、死亡や高度障害状態の保障といった基本契約に加えて、保障の幅を広げることもできます。

ここでは、将来の病気やケガに備える団信の選定ポイントについて説明します。

保障内容

団信における保障の基本部分は、「死亡もしくは高度障害状態」に対する保障です。

金融機関によっては、この基本保障に加えて、高度障害状態に至らない病気・ケガ等、日常生活におけるリスクを保障する特約を付加することができるようになっています。

以下は、その特約の例です。

  • がんに対する保障
  • 三大疾病・八大疾病に対する保障
  • 八大疾病以外のケガや病気に対する保障
  • 契約者の介護が必要になった場合の保障
  • 病気やケガで入院した場合の保障など

ご自分の将来の病気やケガのリスクを踏まえて、特約を選ぶことが大切です。

特約の内容は金融機関によって異なりますので、ご自分に合う特約かどうかをしっかり検討しましょう。

団信加入の審査

ご自分の健康状態が良い場合は問題ありませんが、持病等をお持ちの方は、加入できる団信が限られてしまうことがあります。団信に加入する際には、過去3年程度の病歴・治療歴に関しての告知義務があり、審査を受けて、この審査を通らないと団信に加入できません。以前は、持病等がある人は審査が通らず、団信に加入するのは困難な場合が多かったのですが、現在は、持病があっても団信を利用できる金融機関が増えています。

このように健康上の理由等で通常の団信に加入できない場合は、審査基準が緩めの「ワイド団信」を取り扱っている金融機関を選ぶと良いでしょう。

4. 団体信用生命保険の支払事由にならない病気やケガにはどう備える?

団体信用生命保険の支払事由にならない病気やケガにはどう備える?

たとえ団信に加入していても、保険金の支払いにあてはまらないケースもあるかもしれません。病気やケガに備えてどのような準備をしておけばいいのでしょうか?

ここでは、団信の保険金がおりない場合の備え方について説明します。

団信の保険金が支払われない場合に備える方法として、主に、次の2つの方法が考えられます。

定期保険で備える

団信に加入せず、フラット35を契約するという対処方法です。住宅ローン契約者に万が一のことがあった場合に、保険金を住宅ローンの残額に充当することができます。

この場合は、住宅ローンの残高に合わせて、定期的に保険の保障内容を見直すといいでしょう。

収入保障保険・就業不能保険で備える

収入保障保険とは、ローン契約者が死亡等の場合に、保険金を年金のような形で受け取れる保険です。 また、就業不能保険(所得補償保険)とは、病気・ケガで働けなくなったときに、給与のような形で受けとれる保険です。 どちらにしても、毎月の住宅ローン返済額と同額程度を受け取れる保険なので、万が一のときでも、保険金でローンをカバーすることができます。 なお、基本的には、団信は住宅ローンに対しての保障ですので、万が一のときの治療費や家族の生活費は、別途準備が必要です。 住宅ローンの返済に加えて、万が一のときの治療費や生活費がカバーできる、医療保険や生命保険、貯蓄についても合わせて検討するといいでしょう。

5. 住宅ローンが返済できなくなるリスクを管理しよう

今回は「病気やケガで住宅ローンの返済ができなくなったら……?」というリスクについて見てきました。住宅ローンの返済は多額のお金が必要になるものです。返済の途中で、病気やケガ、死亡によって住宅ローンが払えなくなってしまうと、日常生活に多大な影響を及ぼしてしまいます。

しかし、一般的には、団信に加入することで、死亡等万が一のときに備えることが可能です。加えて、三大疾病・八大疾病等の特約を付加することで、さらにリスクを下げることができます。団信の加入を考えるならば、一般の生命保険や貯蓄等、個人の責任で備えておくことも大切です。

浦川 正弘さんの写真

浦川 正弘(うらかわ まさひろ)

ファイナンシャルプランナー1級/宅地建物取引士
大手石油会社在勤中にFP1級を取得。60歳定年退職後、現在はFP業務を営みつつ、FPやファイナンスに関する執筆活動を行っています。会社在勤中は企業のリスク管理を担当しており、そのリスク管理の考え方を、わたしたち個人に応用し「人生100年時代のリスク管理」を念頭に業務を行っています。

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