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掲載日:2020年7月14日

相続・残す

50代こそ知っておきたい!贈与制度を知って経済的に有利に!

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「相続」と「贈与」の違いが分かりますか?これまで2回に分けて相続の説明をしてきました。今回は50代だからこそ知っておきたい「贈与」について解説します。
親から受けとったり子供へ送ったり、早いうちから財産の対策をしておくと税金の支払いを大きく下げることができます。
相続との違いや、様々な贈与制度を知ることで経済的に有利になりましょう。

借金があっても財産を相続できる?50代で知っておきたい相続の基礎知識【前編】

“争続”を避けるには・・・?50代こそ知っておきたい相続の基礎知識【後編】

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贈与を行うときのポイント

贈与は正しく行わないと、税務署に認められない場合があります。贈与と認めてもらうためには、いくつかポイントを押さえる必要があります。

①承諾を得る

相続は、相続人の意思に関係なく発生しますが、贈与は、財産を渡す側と受け取る側の双方の合意があって成立します。どちらか一方だけが「あげよう」「もらおう」と思っているだけではダメです。

②証拠を残す

「承諾を得る」の内容にも関連しますが、たとえ親子間であっても、トラブル等を避けるため書面を残しておくと良いでしょう。具体的には、財産を渡す側と受け取る側、それぞれの署名と日付、金額が入った契約書の作成があげられます。費用と手間はかかりますが、公証役場を活用するのも良いでしょう。

③財産を移転する

贈与を受ける人の口座に振り込むなど、資金移動した証拠を残しておきましょう。

贈与税がかかるため、確定申告が必要に

贈与を受けた人(受贈者)に贈与税が課されるため、受贈者が申告と納税を行う必要があります。贈与税の申告と納税は、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに行う必要があります。

納税をする際、基礎控除が適用されます。基礎控除とは、どんな人でも一律に課税額から差し引くことのできる金額で、贈与の場合は110万円が控除されます。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除の110万円を差し引いた残りの額に対して課税されるのです。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかからず、贈与税の申告を行う必要もありません。

贈与税の節税につながるポイント

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では、次に贈与税について、代表的な節税対策の方法を紹介します。
年間110万円まで非課税となる「暦年贈与」と、子世代を支援できる「教育・結婚子育て資金一括贈与」です。

1.毎年分割する「暦年贈与」

暦年贈与とは、毎年少しずつ子供や孫に贈与を行い、課税対象となる財産を減らす方法です。前述のとおり、贈与税には110万円の基礎控除があるため、毎年、年間110万円以下の額を贈与すれば、税金を支払う必要がありません。

ただ、贈与を受けた金額が110万円以下かどうかは受贈者ごとに判断されますので、例えば、両親からそれぞれ贈与を受けて、その合計額が110万円を超える場合には、超える金額に対して贈与税が課されてしまいます。

また、毎年110万円を贈与することにすれば、常に贈与税を払う必要がないという訳ではありません。例えば、10年間に渡って毎年110万円ずつ贈与をすることを約束したような場合には、約束をした年に「定期金に関する権利(10年間に渡り毎年110万円ずつの給付を受ける権利)」の贈与を受けたものとして贈与税が課せられてしまいます。

そのような贈与であるという疑義を生じさせないためにも、毎年契約書を作成するのが良いでしょう。

50代の方は、親の遺産に対し相続税がかかると見込まれる場合、毎年コツコツと贈与を受けることで課税金額を減らすことができます。また、多くの資産をお持ちの方は子世代に向けて早くから暦年贈与を行うことで後に税金の支払額を抑えることができます。

2.教育・結婚子育て資金一括贈与

「教育」と「結婚子育て」の資金を贈与する場合、非課税になる制度があります。
親世代から、孫の教育や子育て、結婚の資金援助を目的として贈与をする場合に非課税となります。もし、親世代が援助を考えてくれる場合、検討してみてはどうでしょうか。
なお、適用期限は2021年3月31日まで(但し、延長される可能性もあります。)なのでご注意ください。

(1)教育資金

両親や祖父母は、30歳未満の子や孫名義の金融機関の教育資金用の専用の口座等に、教育資金を一括して入金すると、この資金のうち、子や孫ごとに1500万円まで(学校関係以外で支払われるものについては500万円まで)が非課税となります。

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 贈与を受けた年の前年分の子や孫等本人の合計所得金額が1,000万円を超えているとこの制度は適用されません。
  • 子や孫が30歳になった日に使い残しがあると、贈与税が課されます。
  • 子や孫が30歳に達する前に両親や祖父母が死亡した場合に、使い残しがあれば、①子や孫が23歳未満であるか、②学校等に在学中であるか、③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合を除いて、相続財産に加算されます。

詳しくはみずほ信託銀行の教育資金贈与信託でご案内しています。

  • *みずほ信託銀行の商品・サービス紹介ページへのリンクです。
  • *みずほ銀行はみずほ信託銀行の信託代理店として、契約締結の媒介(商品説明・勧誘、本商品の申込書の受付)を行っています。

(2)結婚子育て資金

両親や祖父母は、20歳以上50歳未満の子や孫名義の金融機関の結婚子育て資金用の専用の口座等に、結婚・子育て資金を一括して入金すると、この資金のうち、子や孫ごとに1,000万円まで(結婚関係で支払われるものについては300万円まで)が非課税となります。

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 贈与を受けた年の前年分の子や孫等本人の合計所得金額が1,000万円を超えているとこの制度は適用されません。
  • 子や孫が50歳に達する日に使い残しがあると、贈与税が課税されます。
  • 子や孫が50歳に達する前に両親や祖父母が死亡した場合に、使い残しがあれば、相続財産に加算されます。

詳しくはみずほ信託銀行の結婚・子育て支援信託でご案内しています。

  • *みずほ信託銀行の商品・サービス紹介ページへのリンクです。
  • *みずほ銀行はみずほ信託銀行の信託代理店として、契約締結の媒介(商品説明・勧誘、本商品の申込書の受付)を行っています。

駆け込み贈与は危険

相続に備えて財産を子どもに贈与しても、相続税が課税される場合があります。「生前贈与加算」という制度があり、相続開始前3年以内に贈与された財産は、相続財産に加算して相続税の税額が計算されるからです。

得する?損する?相続時精算課税制度とは

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相続時精算課税制度とは、一定金額までの贈与については贈与税を課税せず、一定金額を超える贈与についても一律20%の税率で贈与税を課税する制度です。その代わりに、相続発生時には、贈与した財産を相続財産に合算して相続税を計算します。財産の種類や金額、贈与の回数には制限がなく、贈与者ごとに2,500万円の控除額が設定されています。すべての人が利用できるわけではなく、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫に贈与する場合に利用できます。

この制度は、相続が発生する時に、贈与された財産を相続財産と合算して税額を計算します。贈与税を支払っていればその分を相続税から控除するという制度なのです。したがって、税金を納めるタイミングを先延ばしにしているだけに過ぎないため、節税効果があまりないといわれています。ただし、贈与時の価額で評価されるため将来的に(相続時)値上がりを見込める財産があるなど、財産状況によっては節税になる場合もあります。

従来の贈与と相続時精算課税制度の比較

なお一度、相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの贈与については年間110万円の基礎控除が使えなくなります。また、都度申告が必要になるので、利用する場合は専門家に相談したほうが良いでしょう。
先ほどの暦年贈与とどちらが有利になるのか、かかる負担などと比較しご家族と検討してみてください。

贈与はしっかり考えてからやる

贈与による節税対策は注意しなければならない点が多く、財産を移す手段としては面倒といえるでしょう。しかし、暦年贈与は110万円以下であれば課税されないため、その点では相続よりも財産を多く残せる方法といえます。ただ、個人での判断は難しいかと思います。そのようなときは、相続に詳しい専門家の意見を聞いてみると良いでしょう。

相続と贈与のどちらによるにしても、財産の引き継ぎは必ず起こるイベントです。いざというときに混乱しないためにも、家族で話しあって制度を活用し、今のうちから対策をしておきましょう。

監修・鳥飼総合法律事務所 弁護士 瀧谷耕二さん

(記事提供元:サムライト株式会社、画像提供元:ピクスタ株式会社)

  • *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。

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