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掲載日:2021年8月10日

結婚・出産・子育て

世帯収入900万、子供を中学から私立に入れたらいくらかかる?

ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみた! 子供を中学から私立に入れたらいくらかかる?

子供に中学受験をさせたいと考えている方の様々な家計の悩みや費用に関する疑問や資産形成の方法について、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ長沼 満美愛(ながぬま まみえ)さんにお答えいただきます。

相談者は、東京都内で妻と小学校1年生の息子さん、そして3歳の娘さんと暮らす夫のNさんです。

Nさんと長沼さんのやり取りを通して、子供の教育費や資産形成について考えるきっかけになればと思います。

今回のご相談者 45歳男性 東証一部上場のIT企業勤務 37歳の妻と小学1年生の息子さんと3歳の娘さんの4人暮らし 夫:年収600万円(額面) 妻:年収300万円(額面)

家族の現状と子供に受けさせたい教育について

長沼FP:まずは、ご夫婦の働き方や大体の収入についてお聞かせ願えますか?

Nさん:私も妻も働いています。私の年収が額面600万円ほどで、妻の年収は約300万円ほどです。

長沼FP:世帯収入は約900万円ということですね。手取りに換算すると月58万円くらいだと思います。奥さまは現在の昇給ペースが維持できないことも想定して、手堅く見積もる方がこの先安心ですので、昇給率0%として考えましょう。現在の貯蓄残高も教えてください。

Nさん:よくテレビやWEBの記事などでも目にする資産運用に興味がありますが、なかなか始めるきっかけがわからず、銀行の普通預金に470万円ほど貯まっています。

長沼FP:きちんと貯めていらっしゃいますね!分かりました。早速本題ですが、お子さまが二人いらっしゃって、両方に私立の中学受験をさせたいんですよね?

Nさん:はい。妻とも話していて、二人とも私立の中高一貫校に通わせたいなと思っています。私立の中高一貫校の中には学習指導要領の範囲を越えた指導ができるような学校があるらしいので、子供の長所を伸ばすにはぴったりだと思いました。また、中学校のうちから大学受験や留学を見据えた教育を受けることで、将来の自分を具体的に考えられると思っています。そこで、私立の中学受験に備えて早い内から塾での勉強も必要かと考えているのですが、いつ頃から塾に通わせたら良いでしょうか?

長沼FP:受験に向けてしっかりと準備するつもりであれば、小学校4年生から塾へ行った方が良いでしょう。進学塾のカリキュラムは4年生と5年生で履修範囲が違って、6年生はそれを組み合わせた総合発展問題になります。なので、4年生から塾へいくと全範囲を網羅できますよ。

  • 中学受験に備えるなら小学4年生から塾を通わせるのが一般的

中学受験から大学進学までの費用は?いつから準備が必要?

Nさん:次に気になるのは教育費用です。子供を小学校4年生から塾に通わせて、私立の中高一貫校から大学へ進ませたいと思った時、トータルでいくら必要になるのでしょうか?

長沼FP:まずは塾の費用からご説明しましょう。おおよそ4年生で60万円、5年生で80万円、6年生で100万円、合わせて240万円くらいを想定しておいてください。

Nさん:結構塾代もかかるんですね……。

長沼FP:お子さまが4年生になるまでに多めに貯蓄した方が良いですよ。また、私立の中高一貫校へ進学する場合は、6年間の学費が全国平均で711万円といわれています。1ヵ月で10万円かかると考えましょう。

Nさん:1ヵ月に換算すると大きな数字ですね。ちなみに、大学受験に向けて高校の3年間で塾へ通わせる場合はいくら必要になるのでしょうか?

長沼FP:受験対策を学校でしっかり行う場合は、塾代を抑えることができますので、3年間で100万円程度見積もっておきましょう。4年制私立大学へ進まれる場合の学費ですが、理系だと542万円、文系だと399万円が平均的な数字(*)ですね。ここまでにご説明した小学校1年生から理系の私立大学卒業までの教育資金を合計すると、お子さま1人につき1,785万円となります。

Nさん:我が家の子供2人ともそのコースだと、ざっと3,600万円くらいになりますね。短期間で貯められる額ではないので少し不安になってきました。世帯収入を考えると、あまり現実的ではないのでしょうか。

長沼FP:それは今後どうやって資金計画を立てるかによります。一般的に子供が生まれてから18歳になるまでの18年間で、大学4年間の費用を積み立てます。大学費用を月収から捻出するのではなく、子どもの誕生と同時に1人あたり月25,000円の積み立てを継続すると無理なく大学費用は賄えるでしょう。お子さまのための貯蓄は今からでも始めるべきです。

  • 小学校1年生から理系の大学卒業までの費用を合計すると一人あたり1,785万円
  • 子供が生まれてから、一人につき月25,000円の貯蓄を続ければ大学4年間の学費は賄える

教育資金はどうやって準備したらいい?

Nさん:自分が想定していたより、ずっと教育費が必要だということが分かりました。住宅資金や老後資金との兼ね合いを考えつつ、どのように教育資金を準備すれば良いでしょうか?

長沼FP:教育・住宅・老後資金の3本柱をそれぞれ同時に形成することが理想ですが、個々の事情を考慮します。Nさん夫婦は共働きで年金収入が不足ない状況であれば優先順位が変わります。そのあたりを掘り下げていきましょう。今、どんな貯蓄をされていますか。

Nさん:家族用の普通預金口座に貯金したり、有事の際に安全と聞いて純金積立を続けたりしています。合計すると毎月の貯蓄額は12万円ですね。

長沼FP:Nさん夫婦の手取りが58万円ということなので、収入の20.7%を貯蓄に回せている計算になりますね。

Nさん:20.7%というのは、貯蓄として多いですか?それとも、少ないですか?

長沼FP:一般的に子どもが小さいうちは手取りの20~25%ほど貯蓄したいので、少なくはないです。

Nさん:貯金以外にやった方がいいことはありますか?

長沼FP:時間を味方にコツコツと積み立てる方法で資産形成をした方がいいと思います。おすすめは「つみたてNISA」と「iDeCo」ですね。つみたてNISAは、金融庁が選定したバランス型投資信託などに毎月同額を長期・分散・積立投資して税制優遇のメリットを享受しながら資産形成できます。iDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となるので、所得税・住民税を軽減しながら資産形成できます。賢く節税しながら、お金にも働いてもらいましょう。

Nさん:つみたてNISAやiDeCoを始めるなら、貯蓄の中でどれくらいの割合でお金を出したらいいですか?

長沼FP:つみたてNISAの投資限度額は年間40万円までです。なので、1ヵ月あたりの掛金は33,000円が最大になります。可能であれば、枠内の目一杯を使った方が良いでしょう。また、つみたてNISAは途中で売却して出金できるので、もし家計のやりくりが難しい時には予備の資金として使えるメリットもありますよ。iDeCoの投資限度額は、企業年金を導入していない企業にお勤めの場合は、年間276,000円までです。1ヵ月あたりの掛金は23,000円が目安です。夫婦2人共つみたてNISAとiDeCoに加入すると掛金合計は112,000円となり、毎月12万円の貯蓄から拠出できますね。10年以上積み立てを継続すると、損益の振れが小さくなり安定的収益を得られる傾向にあります。

  • 一般的に貯蓄は収入の20~25%あたりできていることが望ましい
  • 貯蓄は時間を味方に、長期・積立・分散投資による資産形成をした方がいい
  • 非課税のメリットがあり、税制優遇があり、賢く資産形成ができる「つみたてNISA」と「iDeCo」がおすすめ

貯蓄を作るために生活上意識すべきこととは?

Nさん:つみたてNISAやiDeCoを活用して資産形成する目途は立ちそうです。ちなみに、現在の毎月の貯蓄額はそのままに、別途、資産形成のための掛金を拠出したいのですが。

長沼FP:そうですね、収入をすぐに増やすのは難しいと思うので、現在の支出に目を向けてみると良いですよ。毎月の支出を把握されてますか?

Nさん:固定費については家計簿を付けています。

家賃 85,000円
光熱費 17,000円
携帯料金 13,000円
食費 63,000円
民間サービス利用代 8,000円
子供に使う諸費用 90,000円
合計 276,000円

長沼FP:しっかり記録してるだけで立派ですよ。お子さまへの費用が少し高いように見えますが、何か事情があるのでしょうか?

Nさん:息子を英語塾へ通わせていて、この費用が月40,000円近くになっています。

長沼FP:それを払ってでも、早い内からお子さまに英語を習わせたい理由があるのですか?

Nさん:子供には文化や言語の壁を越えた広い視野を持ってもらいたいと考えているので、将来の海外留学に備えて英語を勉強させています。

長沼FP:お子さまの海外留学をお考えだったんですね。でしたら、後ほど留学に必要な費用などをお伝えしましょうか。

Nさん:ぜひともお願いします!

長沼FP:では、支出の話題に戻しましょう。家賃85,000円というのはどれくらいの間取りでの金額ですか?

Nさん:間取りは3LDKで家族4人には十分ですが、相場より明らかに安いと思います。これは私の両親が購入したマンションに住ませてもらってるんです。

長沼FP:それはかなりの強みですね。首都圏ですと住居費は手取りの25%程度かかってしまうと言われていて、Nさん一家の収入だと本来は14万円くらいになります。食費は手取り収入の20%までなら許容範囲内なので、安心してください。

Nさん:収入に対する割合で支出を意識したことがなかったので、参考になります。

長沼FP:支出を減らすためには家計簿をつけて、1ヵ月で自分達がどれくらいお金を使っているかを意識することが大切です。そうすれば、削れるポイントが分かりやすくなりますし、先ほど挙げた割合の基準を超えないように気を付けられます。今後は、家具・家事用品、被服・履物、生命保険料、交際費、お小遣いも記録に追加してみてください。

  • 支出を減らして、掛け金を確保
  • 食費は手取り収入の20%までなら許容範囲内
  • 家計簿を付けて自分達がどれくらいお金を使っているかを意識することが大切

老後を豊かにするための資金計画はどう考えるべき?

Nさん:子供の教育資金は優先して貯めて行こうと思っていますが、私達夫婦の老後資産を同時に貯めるにはどうすればいいでしょうか?

長沼FP:Nさんは65歳以降も働くご予定はありますか?

Nさん:可能な限り仕事は続けたいと考えています。定年を迎えたからといって、すぐに社会とつながりがなくなるのも寂しいですし、妻と旅行に行ったり、新しい趣味を始めたりするためのお金があれば豊かな暮らしができると思っています。

長沼FP: 働ける限り仕事を続けると老後のキャッシュフローは良くなりますし、共働きですから老齢厚生年金は夫婦ともに受給できますので、老後を前向きに生きるための資金は作れるでしょう。退職金は、Nさん1,000万円で奥さま500万円ですね。60~65歳の収入を現状の半分、65~70歳の収入を100万円とします。現状の働き方ですと年金は夫婦合計で約350万円になるでしょう。

Nさん:安心しました。では今は、教育のための貯蓄に注力すれば、子供二人を大学まで無事行かせられそうでしょうか?

長沼FP:手元でキャッシュフロー表を作成してみたところ、長男19歳・長女16歳の頃に一旦つみたてNISAの資産を売却して現金化することにより、貯蓄残高を一時的に改善させる必要が出てきますが、人生100年において貯蓄残高が底をつくようなことはなく安心して老後も暮らせますよ。基本生活費25万円/月、住宅費8.5万円/月、教育費20万円/月を合算して手取り58万円/月に納まるため、教育費がかさむ時期は積立投資が滞ることがあって構いませんから、なるべく継続するように努めてください。

貯蓄残高推移のグラフ

  • 65歳以降は年間収入100万円程度の無理のない柔軟な働き方を選択すると良い
  • 年金の年平均受給額を概算で把握すると良い
  • 老後資金計画を立てておくと、教育資金について具体的に見通しが立てられる

子供を海外留学させる場合はどれくらい費用がかかる?

Nさん:最後に、先程話題に上がった海外留学にかかる費用についてぜひお聞きしたいです。

長沼FP:お子さまが中高生の間にアメリカへ1年間留学するストーリーを想定してみましょう。公立・私立また地域によって幅がありますが、1年間の学費は120~400万円超かかります。

Nさん:やはり、そんなにお金がかかるんですね。学費以外にも滞在費とか渡航費もあると思いますが、この点はどうですか?

長沼FP:学費以外の年間費用についてはこの表のようになります。

滞在費(ホームステイ代・食費など) 1,800,000円前後
渡航費 100,000~200,000円
海外保険 300,000円前後
書類作成費用(パスポート・VISAなど) 70,000円前後

長沼FP:渡航前の手続き等や滞在中の見守りをエージェントに依頼する場合は40~110万円ぐらい別途かかります。あくまで参考値となりますが、学費と併せて年間450万円ほど想定しておきましょう。

Nさん:場合によっては学費と同じくらい諸費用が必要なんですね。
ご丁寧にありがとうございます!今回のお話でどこに注力すべきかがクリアになったので、妻にも話そうと思います。勉強になりました!

  • アメリカの1年間の学費は120~400万円超
  • 学費以外の滞在費や渡航費なども含めると年間450万円ほど想定
  • 国や民間の留学支援制度で留学費用を抑える手段もある

家族の将来設計から逆算してお金を考えよう

今回の相談者であるNさんはあくまで一例であり、ご家庭の数だけ将来設計のパターンがあるでしょう。

しかしどのような場合であっても、具体的なライフプランニングを立てて、そこから逆算した貯蓄の方法や資産の作り方を考えることが重要です。

長沼FPが話していたように、1ヵ月あたりの収入と支出を細かく記録したり、つみたてNISAやiDeCoを活用した資産形成をするなど、今からできることを始めてみましょう!

長沼満美愛

長沼満美愛

ファイナンシャルプランナーCFP(R)・1級FP技能士

神戸女学院大学英文学科卒業後、損害保険会社に就職。積立・年金・介護など長期保険に特化した業務を担当。そのあと、FP協会相談室の相談員として従事。現在、大学・資格の学校TAC・オンスク.JPにて資格講座の講師として活動するかたわら、セミナー講師や執筆も手がける。『あてるFP技能士1級』(TAC出版)を執筆。毎日新聞「終活Q&A」コラム寄稿。毎日新聞生活の窓口相談員。塾講師・家庭教師の豊富な経験を活かして、「誰でも分かるセミナー講師」・「親身なFP個別相談」をめざす。

  • *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。

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