中国の外貨管理2023
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第5節 協議預金と大口譲渡性預金 預金種類 普通預金(活期存款) 金額制限なし 定期預金 一括預入,一括払戻し 積立預金(零存整取) 分割預入,一括払戻し 分割払戻定期預金(整存零取) 一括預入,分割払戻し 利息受取型定期預金(存本取息) 一括預入,利息を分割受取 定期金利普通預金(定活两便) 個人通知預金(通知存款) (出所)「貯蓄管理条例」,工商銀行ウェブサイトなど 特徴 なし 3ヶ月,半年,1,2,3,5年 1,3,5年 1,3,5年 1,3,5年 期間設定のない定期預金 預入期間 1.協議預金 2.大口譲渡性預金 人民元建て個人預金の種類 協議預金(协议存款)とは,大口かつ長期の預金で特別の金利を付利する預金であり,商業銀行にとっては安定的な長期資金の調達ソースとなっている。預金者は保険会社,全国社会保障基金理事会,各省の社会保険機構が運営する事業法人等に限定される。最低預入金額は人民銀行により決定されるが,その他の条件(金利,期間,利払い方法,違約条項等)は当事者間で決定する。適用金利は人民銀行に届出なければならない。商業銀行は預金者と協議預金契約を締結し,協議預金証書を発行する。期中解約はできないが,預金証書を商業銀行の質権設定融資の質物とすることができる。 人民銀行は2015年6月2日付で「大口預金証書管理暫定規則」(大额存单管理暂行办法)(人民銀行公告[2015]第13号,人民銀行公告[2016]第13号により改定)を公布,市場金利に基づいて金利水準を自由に決めることができる大口譲渡性預金について,個人や企業向けの発行を解禁した。人民銀行は13年12月9日付で「インターバンク預金証書管理暫定規則」(同业存单管理暂行办法)(人民銀行公告[2013]第20号)を公布し,金融機関向けに限り,5千万元以上の譲渡性預金の発行を認めていたが,15年6月以降は,個人や企業も購入できるよう対象を広げ,最低金額は個人向けが30万元(16年6月6日に人民銀行公告[2016]第13号により20万元に引き下げ),企業向けは1千万元と定めた。期間は1ヶ月から5年までの9種類で,金利は上海インターバンク取引金利(SHIBOR)を参考に決定される仕組みである。市場実勢で金利が決まる商品の取り扱いを広げ,金利の自由化に向けた地ならしを一段と進める。 高額資金の短期運用に適する 通知期間1日或は7日を選択 89

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