中国の外貨管理2023
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1.外資系企業の上場 2.信用取引 第4節 株式市場の改革 時期 2010年3月 証監会は信用取引の取扱証券会社の第1陣として,国泰君安,国信証券,中信証券,光大証券,海通証券,広発証券の6社を承認し,取引は3月31日からスタートした。第2陣の取扱証券会社として,申銀万国,東方証券,招商証券,華泰証券,銀河証券の5社が7月5日から取扱を開始した。なお取引を行う投資家は,取引口座に最低50万元入金することが求められた。取引に際しての保証金比率は50%を下回らないとの条件がある。 中国の株式市場は人民銀行の金融緩和を追い風に上昇傾向に入った。上海総合指数は,15年6月12日に終値で5,166.35ポイント,約7年5ヶ月ぶりの高値を付けた。しかし,過熱感から一転して下落に向かう。値上がりを見込んで借金をしていた個人投資家は追証に迫られ,ロスカットによる投げ売りが株安の連鎖につながった。 2014年11月~2015年6月 (出所)公開情報に基づき整理 内容 た。これにより,中国本土の証券取引所は現在,上海,深圳,北京の3カ所となっている。 2017年1月,国務院は優良な外資系企業の本土上場を支持する方針を表明。19年3月15日に可決された「外商投資法」においても,外資系企業による株式や,社債等の発行を認めることとなっている。 外資系企業のA株上場は中国国内企業と同様に扱われる。しかし,独立性の確保や,資本取引上の規制など実務上の課題が存在するため,実現は容易ではない。 独立性の確保について,関係会社との利益相反や,不必要な関係会社間取引の回避,組織運営,事業,人事,財務等の面で親会社との独立性確保に注意しなければならない。海外親会社が上場企業である(スピンオフ上場)場合,開示情報の一致性や海外ルールとの適合性等を考慮する必要がある。 一方,外国企業(外国法人)の中国上場については現在,レッドチップ企業とロンドン上場企業に限定される。レッドチップ企業は科創板で株式もしくはCDR(中国預託証券)を発行することが可能である。ロンドン上場企業は上海・ロンドン預託証券相互上場(沪伦通)という制度を利用し,上海証券取引所にCDRを発行することが可能であるが,2022年10月時点,取引はまだ開始されていない。 2010年1月に証監会は国務院が証券会社による信用取引(margin transaction)の試行を承認したと発表した。なお,中国での信用取引は「融資融券」(融资融券)と表記される。信用取引に関する出来事は下表の通り。 73

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