中国の外貨管理2023
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2.ドイツ証券取引所と「中欧国際取引所」合弁設立 3.北京証券取引所の設立 上海証券取引所は2021年4月16日,証監会の手引と一致した改定後の「上海証券取引所科創板への上場申請及び企業推薦暫定規定」を発表,同日より実施した。一方,流動性改善のため,適格個人投資家のハードル引き下げも検討されている。適格個人投資家の資産残高要件について,創業板の10万元以上に対し科創板は50万元以上に設定されている。 その後,活性化に向けて中国共産党中央委員会及び国務院(政府)が2021年7月15日,「浦東新区でハイレベルな改革開放を通じ社会主義現代化建設の牽引区の構築を支持する意見」(中共中央 国务院关于支持浦东新区高水平改革开放打造社会主义现代化建设引领区的意见)を公布し,QFIIによる人民元での科創板の新株発行の購入を認めた他,科創板へのマーケットメイク制度の導入に言及した。 証監会は2022年5月13日,「証券会社の科創板株式マーケットメイク業務の試行規定」(证券公司科创板股票做市交易业务试点规定),上海証券取引所は同年7月15日,「上海証券取引所の科創板株式マーケットメイク業務の実施細則」(上海证券交易所科创板股票做市交易业务实施细则)を公布し,科創板のマーケットメイク業務に関する規定を明確化した。 2015年10月28日,上海証券取引所は(出資比率40%)は,中国金融先物取引所(同20%),ドイツ証券取引所(同40%)と共同でフランクフルトに合弁会社「中欧国際取引所」を設立することで合意し,中欧国際取引所を同年11月18日に開業させた。これにより,欧州の投資家は同取引所を通じ,人民元建ての証券を売買することが可能となっている。 2019年11月20日付証券時報によると,中欧国際取引所は,上海・独市場における預託証券の相互上場を認める制度「滬徳通」を推進している。同制度により,独市場の優良上場企業による上海証取でのCDR発行,製造業を中心とする優良な中国上場企業によるフランクフルト証取での預託証券の発行が可能となるという。 習近平国家主席は2021年9月2日,「2021年中国国際サービス貿易交易会・グローバルサービス貿易フォーラム」で北京証券取引所を開設すると明らかにした。新興企業等の資金調達を容易にし,直接金融の拡大による中小企業の技術力向上へのサポートを図る。 新三板を運営する「全国中小企業股份転譲系統有限責任公司」は2021年9月3日,「北京証券取引所有限責任公司」を全額出資(資本金10億元)で設立した。未だ会員制の上海証取・深圳証取と異なり,北京証取は会社制(有限会社)として発足し72

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