中国の外貨管理2023
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1.ハイテク新興企業向け市場「科創板」の設立と関連規定 第3節 上海,北京証券取引所の動き 項目 上場の流れ (続き) 上場日 上場の再申請 取引所が上場申請を却下する,又は証監会が登録を却下する場合,6ヶ公募価格の 決め方 値幅制限等 上場廃止 (出所)証監会,深圳証券取引所 時期 2019年1月 証監会は「上海証券取引所での科創板設立及び登録制試行に関する実施意見」(关于在上海证券交易所设立科创板并试点注册制的实施意见)を公布・施行し,科創板における登録制の試行や議決権種類株採用企業の上場を認めた他,「中国本土におけるイノベーション企業による株式,預託証券の発行試行に関する若干意見」に適合するレッドチップ企業による科創板での株式,預託証券の発行も認めた。 上海証券取引所は科創板での上場・証券発行に対する審査を行い,審査通過後,上海証券取引所は審査意見及び登録申請書類を証監会に提出し,登録手続を行う。証監会は20営業日内に登録可否の判断を下す。 (出所)証監会,上海証券取引所 創業板での株式新規公開・上場管理規則の内容 審査通過の場合,取引所は登録申請書類等を証監会に提出する。証監会はその申請を受理した後20営業日(発行者による登録申請資料の修正・追加や,取引所による追加ヒアリング,主幹事等による精査の時間は含まず)以内に登録の可否を発表する 発行者は上場日を自由に選択することが可能であるが,証監会の登録認可から1年以内に完了しなければならない 月経過後,改めて上場の申請が可能である 従来のPER23倍を上限とするという不文律の設定方法を廃止した 従来の±10%から±20%に拡大する。上場日から5営業日まで値幅制限なし。取引手法に終値取引も導入 売買基準について,「時価総額が20営業日連続で3億元を下回れば上場廃止となる」との内容が追加された。上場廃止となる売買基準に抵触する場合,これまで設けられた整理売買期間が撤廃された 財務基準について,「直近会計年度の純利益(税引後経常利益と純利益のうち低い方を採用)がマイナスとなり,且つ営業収入が1億元を下回る場合,上場廃止リスクが提示されることになる。この情状が1年続けば,翌年が上場廃止となる」との内容も盛り込まれた。純利益は税引後経常利益と比べて低い方を採用するため,これまで延命策として利用されがちな資産売却や,補助金・助成金の受給などが効かなくなっている 内容 2019年1月23日,中央全面深化改革委員会の第6回会議で,上海証券取引所にハイテク新興企業に特化した新市場「科創板」(Sci-Tech Innovation Board/STAR Market)を創設し,併せて株式発行登録制度を試験的に導入することが承認された。ハイテク新興企業の資金調達を容易にし,自主技術の研究開発(R&D)の力を高める効果,スタートアップ意欲の喚起などを狙っているとみられる。科創板の関連規定等については下表の通り。 68

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