中国の外貨管理2023
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2.ベンチャー市場「創業板」 中小企業市場への上場企業数の推移 関するいくつかの意見3」の中で「段階的にベンチャー市場の構築を推進し,リスク投資のメカニズムを改善し,中小企業の資金調達ルートを拡大する」(分步推进创业板市场建设,完善风险投资机制,拓展中小企业融资渠道)の方針が示された。その後04年5月17日に証監会は国務院の承認を受け,深圳証券取引所が中小企業市場(中小企业板块,略称「SME BOARD」)を開設することに同意した。なお深圳での中小企業向け市場は,既存の上場基準の範囲内で運営される。 深圳証取は上海証取との棲み分けを図るため,2004年以降,メインボードでの新規上場申請の受付を停止していた。しかし,上海証取の「科創板」開設に伴い,深圳証取は21年3月,メインボードと中小企業市場を4月6日より統合することを発表した。統合後,深圳証取はメインボードと「創業板」の2市場体制となった。 証監会は2009年5月1日より「創業板での株式新規公開・上場管理暫定規則」(首次公开发行股票并在创业板上市管理暂行办法)を施行した。これに基づき,09年10月30日に第1陣28社がベンチャー市場「創業板」(growth enterprise board)に上場を果たした。20年6月に登録制が導入され,同年末の上場社数は前年末比101社増加し,892社となった。 証監会は2020年6月12日に「創業板における株式新規公開登録の管理規則(試行)」を発表し,同日より実施した。これによりIPOの条件や,登録手続,情報開示等に関する規定が明確化された。IPO条件から従来の純利益,繰越欠損金(直近期末は繰越欠損金が存在しない)に関する規定が撤廃されたことにより,赤字状態での上場が可能となった。 また,深圳証券取引所は6月12日に「深圳証券取引所創業板株式発行上場審査規則」や「深圳証券取引所創業板株式取引特別規定」「深圳証券取引所創業板株式上場規定(2020年改定)」等創業板における登録制実施・上場基準見直しに関する一連の規則を発表し,同日より実施した(一部の規則を除く)。これら規則の概要は次の通りである。 上場企業数(社) 新規上場企業数(社) (出所)深圳証券取引所 2015年 776 44 2016年 822 46 2017年 903 81 2018年 922 19 2019年 943 21 2020年 994 51 66 3「国务院关于推进资本市场改革开放和稳定发展的若干意见」

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