中国の外貨管理2023
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1.事業会社による短期CPの発行 第5節 事業会社による短期CP,MTNの発行 項目 債務調達手段の定義 中国インターバンク市場交易商協会への登録 預り保管,決済 取引市場 情報開示 引受販売 信用格付 金利,発行価格, 手数料率 投資リスク 中国インターバンク市場交易商協会による自律管理の実施 人民銀行による 監督管理 短期CPに適用 (出所)「インターバンク債券市場での非金融企業の債務調達手段管理規則」 内容(抜粋) 短期CPの発行は2005年5月から開始され,08年4月15日施行「インターバンク債券市場での非金融企業の債務調達手段管理規則」(银行间债券市场非金融企业债务融资工具管理办法)(人民銀行令[2008]第1号)により,CPに加えて中期の債務証書(MTN)の発行も解禁された。CP,MTNは実質的には事業会社の社債であるが,「証券法」や「会社法」の社債に対する規制の枠外で発行される債務証書である。 人民銀行は本規則に係る具体的なルールの制定を全て中国インターバンク市場交易商協会(NAFMII)に任せている。CPとMTNの発行はNAFMIIの自主ルールに基づき行い,08年4月15日以降は人民銀行への事前の届出や承認取得は不要となった。 この短期CPは,中国語では短期融資券と名付けられているが,その内容は市場性のあるコマーシャルペーパーである。実際は企業が無担保で発行する短期金融手形(譲渡性のある債務証書)であり,インターバンク市場で流通する事業会社の短期社債ともいえる。 なお人民銀行による英文訳では短期融資券は「Short‐term Financing Bills」法人格を有する非金融企業がインターバンク債券市場で発行する一定期間内に元利金を償還することを約定する有価証券。(第2条) 債務調達手段は,中国インターバンク市場交易商協会に登録されていなければならない。(第4条) 中央国債登録決済公司が登録,預り保管,決済をする。(第5条) 全国インターバンク・コールセンター。(第6条) インターバンク債券市場で情報開示。(第7条) 金融機関によって引受販売。(第8条) 中国国内に登記された資格のある格付機関が行う。(第9条) (注)2021年8月11日から非金融企業が発行する債務調達手段(デットファイナンスツール)に対し,第9条を一時適用中止し,発行に際する信用格付を不要とした。(人民銀行公告[2021]第11号) 市場化方式で確定。如何なる商業機構も詐欺・市場操縦等の行為によって不正利益を得てはならない。(第11条) 投資家が自己責任で判断する。(第12条) 人民銀行の関連規定に基づき中国インターバンク市場交易商協会が発行・取引に対し自律管理を行う。同協会はこの規則に基づき関連自主規則を定め,人民銀行に報告のため届け出る。(第13条) 人民銀行は中国インターバンク市場交易商協会,全国インターバンク・コールセンター,中央登録決済公司に対し監督管理を行う。(第18条) 短期CP(短期融资券)にはこの規則を適用する。(第20条) 62

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