中国の外貨管理2023
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第6節 人民元為替制度 1.人民元為替制度の歴史的推移 人民元の為替制度は,国有計画経済体制における制度から市場経済体制への移行にともない改革が進んできたとされている。しかし2005年7月までは,対米ドル為替レートの実質固定化という価格制限,ならびに外貨の受取・支払に対する各種制限,資本取引に関する許可制度などの数量規制がおこなわれていたため,市場経済化には適していない状態が続いてきた。 中国の法定通貨である人民元(中国語では人民幣)は,1948年12月1日に新中国の発券銀行である人民銀行の設立によって誕生した。新中国初の西側通貨に対する為替レートは,49年1月18日人民銀行の天津分行が公表した。人民元為替制度の時代区分は,次のように大きく4つの時期に分類できる12。 ① 計画経済の時期(1949年~78年末):中華人民共和国の成立から改革・開放路線への方針転換までの時期 この時期は,さらに次のように区分される。 ・国民経済回復期(1949年~52年) ・社会主義建設期(1953年~67年末) ・西側通貨に対する変動相場制(1968年~78年末)の時期 ② 経済体制の転換期(1979年~93年末) ・人民元の貿易用内部決済レートと公定レートとの並存(1979年~84年末) ・内部レートの廃止,公定レートと外貨調節市場レートとの並存(1985年~ 93年末) ③ 社会主義市場経済の時期(1994年~2005年7月) 為替レート一本化された後インターバンク為替市場でのレート形成制度導入迄。 ④ 通貨バスケットを参考とする管理変動相場制(2005年7月~現在) 49 12 呉念魯 陳全庚 著『人民幣匯率研究(修訂本)』中国金融出版社 2002年

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