中国の外貨管理2023
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(3)資本項目に係る外貨収入の支払利便化試行業務 ① 条件に合致する区内企業が資本項目外貨収入を国内での支払に使用するとき,「資本項目外貨収入支払利便化試行業務支払指示書」を以って,条件に合致する銀行で直接手続をすることができ,事前に1件ごとの真実性に係る証明資料を提出する必要はない。 これに先立ち施行された上海匯発[2019]7号では,すでに「銀行は条件に合致する区内企業に対し,資本項目収入に係る元転・支払利便化試行を実施することができる」としたが,今回公布された「実施細則(バージョン4.0)」では,上述の上海匯発[2019]7号の一部内容に対し調整を行った。同年8月2日,外貨管理局上海市分局は「資本項目収入元転支払利便化試行に関する説明」(关于资本项目收入结汇支付便利化试点的说明)を公布し,調整を行った内容について説明した。具体的な内容は以下の通りである。同試行政策の適用対象は20年3月6日より上海市全域まで拡大された(上海匯発[2020]8号)。 項目 外貨資本金,国内資産現金化口座内の資金,国内再投資専用口座内の資金,外貨建て外債資金及び国外上場による戻入資金 (注)2020年2月1日より,従来の「国内資産現金化口座」と「国外資産現金化口座」は「資産現金化口座」に統合。従来の「国内再投資専用口座」は「外貨資本金口座」に統合。(匯発[2019]29号) 資本項目 収入 1.区内に登録した非金融企業(不動産企業,政府系融資プラットフォームを除く) 2.直近1年間において外貨関連行政処罰記録がないこと(設立して1年未満の企業は,設立日より外貨関連行政処罰記録がないこと) 試行企業の 条件 3.貨物貿易分類がA類であること(分類結果がある場合) (注)上海市の銀行は試行業務を展開する前に,従来通りに銀行自律メカニズムに試行業務のオペレーション規程を報告しなければならず,銀行自律メカニズムによる業務展開メカニズムの評価を受けた後に,利便化試行を展開することができる 試行企業は事実通りに取扱銀行に対し資金の使途を記入・報告する。試行業務に係る資金の使用は法令遵守,真実,自社での使用との原則にしたがい,合わせて資本項目収入資金の国内使用に関するネガティブリストの要求に合致しなければならない 資金の 使途範囲 1.国家外貨管理局資本項目情報システムを開通していること 2.前年度の外貨業務コンプライアンス・プルーデンス経営評価(旧銀行外貨管理規定執行年度査定に当たる)の結果がB類(B-は含まず)及びそれ以上であること(ある場合) 取扱銀行 3.完備された内部統制制度及びリスク防止措置を備えていること 試行企業は,直近5年間の試行業務の真実性及びコンプライアンス性に係る証明種類を保管し,銀行及び外貨管理局による事後の検査に備えなければならない 証明書類 内容 376

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