中国の外貨管理2023
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375ア金融サービスの4方面から革新的な試行業務について定めた。このうち,資本項目に係る外貨収入の支払便利化改革,非投資性外資系企業の資本金による国内持分投資への使用制限の撤廃,非銀行債務者の外債登記抹消手続の所在地の外貨管理局から銀行への取扱先の変更などの政策はすでに全国に普及した。 (1)貨物貿易に係る電子エビデンス審査条件の緩和 従来,「貨物貿易外貨収支電子エビデンス審査の規範化に関する通達」(国家外汇管理局关于规范货物贸易外汇收支电子单证审核的通知)(匯発[2016]25号,失効)では,銀行が条件に合致する企業(貨物貿易分類がA類であるなどの条件)のために貨物貿易外貨収支業務を取り扱う際,紙ベースのエビデンス審査あるいは電子エビデンス審査のいずれかを選択することができると定めていた。 「実施細則(バージョン4.0)」では,「登録かつ営業場所がともに区内にある銀行が,自主的に慎重に区内企業を選択し,それのために貨物貿易の外貨収支を取り扱う際,電子エビデンスを審査することができる」とした。貨物貿易外貨管理分類等級がA類である区内企業は,輸出受取代金の審査待ち口座(出口收入待核查账户)を開設する必要はなく,貨物貿易外貨収入を経常項目外貨口座に直接入金することができるとした。 (2)ファイナンスリースプロジェクトに係る代金支払の利便化 「実施細則(バージョン4.0)」では,「区内の金融リース会社(金融租赁公司),外資系ファイナンスリース会社及び中資系ファイナンスリース会社(外商投资融资租赁公司及中资融资租赁公司)が国内の賃借人に対しファイナンスリース業務を取り扱う際,そのリース物件の購入に用いる資金の50%以上が自社の国内外貨借入もしくは外貨建て外債に由来する場合,外貨建てのリース料を受け取ることができる」とした。 区内のファイナンスリース会社が受け取る外貨建てリース料収入は,規定に基づき自ら銀行で開設した外貨口座に入金することができる(その他資本項目専用口座に振り替えること)。外貨債務償還に必要な分を超える部分については,直接銀行で元転することができる。リースバック(回租)構造を採用する場合,賃貸人は外貨あるいは人民元の形式を選択し,賃借人にリース設備代金を支払うことができる。賃借人が受け取る外貨資金は元転することができる。国外から航空機を購入し国内の賃借人にリースするにあたり,前払代金を支払う際に国家発展改革委員会の批准文書を提供できない場合,事後に銀行へ補足的に提出することができる点などを定めた。詳細については「実施細則(バージョン4.0)」付属文書1を参照されたい。

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