中国の外貨管理2023
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1.新たな金融改革方針 2.上海FTZにおける外貨管理改革試行のさらなる推進 テクエリアの3区域を加え,その総面積は従来の28.78平方キロから120.72平方キロへと拡大した。 2019年7月,国務院は上海の大治河より南側,金匯港より東側及び小洋山島,浦東国際空港南側などの地域において新エリアを設立することを認めた。南匯新城,臨港装置産業区,小洋山島,浦東国際空港南側などの地域を先行的に開発するとし,その面積は119.5平方キロである。同年8月6日付で公布された「中国(上海)自由貿易試験区臨港新エリア総体方案」(中国(上海)自由贸易试验区临港新片区总体方案)(国発[2019]15号)では,新エリアにおいて投資の自由化,貿易の自由化,資金の自由化,輸送の自由化,ヒトの就業の自由化などを中心に,投資・貿易の自由化,利便化を進めることを支持するとした。 上海FTZの1度目の拡張後,人民銀行など6部門と上海市人民政府は,2015年10月30日付で公布した「中国(上海)自由貿易試験区における金融開放革新試行のさらなる推進,上海国際金融センター建設の加速方案」(进一步推进中国(上海)自由贸易试验区金融开放创新试点 加快上海国际金融中心建设方案)(銀発[2015]339号)おいて計40項目の方針を取りまとめた。 新たな金融改革方針における外貨管理やクロスボーダー人民元の使用に関連する試行方針は,①FTA口座の機能拡張,②FTA口座を通じた渉外貿易・投資活動の展開,③国内適格個人投資家による国外投資(実業,不動産,金融類の投資)の試行,④条件に合致する機関・個人による国内外の証券・先物市場投資の許可または拡大,⑤区内でのマクロプルーデンス管理の枠組みにおける国外融資・資本流動管理体系の構築・整備,⑥個人両替可能な限度額のさらなる拡大と区内非金融企業による限度額内での両替可能の実現,⑦区内企業の国外親会社・子会社による国内での人民元債券(パンダ債)の発行,⑧区内個人工商業者によるそれの国外経営主体へのクロスボーダー人民元資金の提供,⑨オフショア人民元が投資可能な国内金融商品の投資範囲の拡大,である。 2019年7月12日付で公布された「中国(上海)自由貿易試験区外貨管理改革試行のさらなる推進に係る実施細則(バージョン4.0)」(进一步推进中国(上海)自由贸易试验区外汇管理改革试点实施细则(4.0版))(上海匯発[2019]62号,以下「実施細則(バージョン4.0)」という)では,上海匯発[2018]1号の一部内容を踏襲したほか,行政簡素化,貿易・投資の利便化,多国籍企業地域本部発展の促進,オフショ374

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