中国の外貨管理2023
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第3節 金利自由化に向けての改革 2.預金貸出金利の換算,利息計算の公式 1.金利自由化の歩み2 「人民元建て預金・貸出利息計算・利息決算問題に関する通達」の第3条は,金利の換算,計算について次の通り定めている。 日歩=年利(%)÷360。月利(千分)=年利(%)÷12 中国では,金利自由化は「金利の市場化」(利率市场化)とよばれている。 中国における金利自由化改革は1990年代中期から始まった。93年の第14回三中全会では「中央銀行は資金需給状況に応じて基準金利を速やかに調整し,商業銀行が規定のレンジ内で預金・貸出金利を自由に変動させることを認める」とした。また,03年の第16回三中全会では「金利の自由化を着実に推進し,市場の需給に基づく金利形成メカニズムを構築・健全化させ,中央銀行が金融政策(货币政策)ツールを活用して市場金利を誘導する」とした。 1996年に全国インターバンクコール市場が創設され,CHIBORの公布開始から,金利自由化改革が漸進的に推し進められてきた。 ①金利規制自由化 2013年7月及び15年10月に,貸出金利の下限規制と預金金利の上限規制がそれぞれ撤廃され,これにより金利に対する行政的規制は原則自由化された。 ②市場金利形成メカニズムの健全化 中国では貨幣市場と債券市場が創設された後,人民銀行は実際の取引に基づく債券レポ金利などといった基準的な金利の設定を行った。そして2007年には上海インターバンクコール市場金利(SHIBOR)の公表を開始し,13年10月には貸出プライムレート(LPR)の公表と運用を始めた。 ③公開市場操作メカニズムの改善 人民銀行は,公開市場操作の実行頻度を高めると共に,常設貸出ファシリティ(SLF)を導入し,中期貸出ファシリティ(MLF)を創設した。 ④市場金利の価格決定メカニズムの確立 2013年9月に市場金利プライシング自律メカニズムが設立され,金融機関が自主的に確定した貨幣市場,貸付市場等の金融市場金利に対し自律的な管理を行うようになった。 30 2 人民銀行公布の「国際基準金利改革への参与及び中国基準金利体系の健全化」(『参与国际基准利率改革和健全中国基准利率体系』 2020年8月31日),「秩序のある貸出プライムレート改革の推進」(『有序推进贷款市场报价利率改革』 2020年9月15日)に基づき作成。

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